【精神科医師監修】夜に落ち着かない、そわそわする、原因や対処法は?
「夜になると落ち着かなくなり、そわそわしてしまう」時、どのような対処法で乗り切っていますか? 夜が怖い大人は意外にも多いもの。本記事では、夜に落ち着かなくなる原因や対処法をお医者さんに聞いてみました。
男女100人に聞いた対処法もご紹介するので、眠れない時の参考にしてください。
▼監修者プロフィール
こころと美容のクリニック東京
院長 大和行男
なぜ?夜になると落ち着かない・そわそわする「原因」
夜は、昼間と違って静かな時間を過ごすことが多いですが、1日の気疲れや肉体疲労が溜まっています。そのため、かえって集中できない状況になり、不安や焦燥感を感じる方が多いです。
以下に、夜になると落ちつかない・そわそわする具体的な原因をご紹介します。
原因① 不安なことや悩み事がある
不安事や悩み事について感がると、交感神経が活性化します。
それにより、
- 心拍数や呼吸数の増加
- 脳の覚醒が強化
され、神経過敏な状態になり、そわそわして落ち着かなくなってしまいます。
原因② 過度なストレスを抱えている
過度なストレスは、①と同様に交感神経を刺激するとともに、精神や情緒の安定に欠かせない脳内神経伝達物質である「セロトニン」を消費させます。
その結果、不安や過覚醒を引き起こし、夜に落ち着かない状況を作り出してしまいます。
原因③ 病気
精神的な病気
ストレスや不安から生じる、
- 入眠障害
- 不安障害
などの場合、夜に落ち着かずそわそわすることがあります。
これらの病気は、寝つきが悪い・中途覚醒・寝ている間に急な不安感が増して動悸が激しくなるなどの症状もあらわれることが多いです。不眠症や不安障害の症状が続く場合や、社会生活に支障をきたしている場合は、精神科・心療内科を受診しましょう。
身体的な病気
夜になると落ち着かない場合は、
- 睡眠時無呼吸症候群
- むずむず脚症候群(レストレスレッグス症候群)
などの身体的な病気も考えられます。
後者は女性の場合、過多月経や手術後に体内の鉄分が不足した結果起こるリスクがあります。生理が重い方は、婦人科で相談してみてください。
夜そわそわして眠れない時の「対処法」
夜にそわそわして眠れない人は、まず寝室の室温や湿度を適正(ご自身が心地よく眠れる室温や湿度)に調整してみましょう。
それでもどうしてもどうしても眠れない場合は、無理に横にならずに暖色灯のまま、
- ホットミルクを飲む
- ヒーリングミュージックを聞く
- リラックスできるフレグランスをかぐ
などの対処法を行ってみてください。
寝ないといけないと焦ると、気持ちが焦って余計に眠れなくなってしまいます。まずは気持ちを落ち着かせて、ゆったりとした時間を過ごしてくださいね。
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【体験談】落ち着かずそわそわする夜の乗り越え方
ストレスや不安から落ち着かない夜って、悲しくなったり寝ようとしても眠れなくなったり……つらいですよね。そんな不安な夜の乗り越え方・過ごし方を、100人の男女に聞いてみました。
乗り越え方① 動画を見る
- スマホで動物の癒される動画を見る(50代女性)
- ドラマやアニメを見る。無理に寝ない(20代女性)
- 楽しい動画を見て眠らず過ごす(50代男性)
動画に没頭すると、不安な気持ちが和らぎますよね。ただ、スマホなどから発せられるブルーライトは、睡眠の質を下げるのでほどほどに!
乗り越え方② 誰かと話す
- 友人と他愛もないことを話す(20代女性)
- 夫に話を聞いてもらう(40代女性)
夜は静かだからこそ、孤独を感じやすいもの。そのため、誰かと話して「つながっている」ことを実感できれば安心して眠れるかもしれませんね。
乗り越え方③ 読書をする
- ベッドで横になって難しい本を読みます。数ページで眠気がやってきます(50代女性)
- 買ったまま読んでない本を読む。夜は静かなので集中できます(20代女性)
本の中の物語に集中すれば、心のざわつきが落ち着くでしょう。難しい本であれば、眠気がやってくるかもしれませんね。
乗り越え方④ あたたかいものを飲む
- 温かい飲みものを飲んで、心を落ち着かせる(30代女性)
- ホットミルクを飲む(60代女性)
森永乳業が行った調査によると、「スマホを見ながら過ごす休憩」と「ホットミルクを飲む休憩」では、ホットミルクを飲む方が約4倍も落ち着いた気持ちになれるそうです。
乗り越え方⑤ 思い切って寝ない
- 眠ろうとすればするほど絶対に眠れなくなるため、もう寝ないぞ、起きていてやる!と逆に考える。そうすると意外と眠れるのでオススメ(40代女性)
- 無理に眠ろうとせず、録り溜めた録画を見ます。少しでも眠れそうな感じがあれば、布団に入ったまま、音声だけでも楽しめるトークバラエティをオフタイマーで聞きます(50代女性)
「寝なければ……」と思うと焦って、逆に眠れなくなってしまいますよね。そんな時はいっそのこと開き直って寝ないという声も多かったです。
乗り越え方⑥ その他
- リラックスできる音楽を聴く(30代女性)
- ホットアイマスクをしたり、睡眠導入音楽を聴いたりする(50代女性)
- 不安な夜は思い切り泣いてしまいます。泣くとスッキリしますし、疲れからいつの間にか眠れています。(30代女性)
- radikoでラジオを聞く(50代男性)
音楽やラジオなど、目を閉じながらも楽しめることをする人も多かったです。また、不安な気持ちに寄り添って泣くという意見も。自分の感情を思い切り吐き出すのは、スッキリして良いかもしれませんね。
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夜になると不安に襲われる人は、就寝環境づくりも◎
夜になると不安に襲われて寝付けないという人は、就寝環境にも注目しましょう。就寝環境を改善することで、気持ち良く入眠でき、質の良い睡眠が取れるでしょう。
具体的にどんな就寝環境がいい?
- 眠りやすい気温や湿度に調整する
- 自分に合う寝具を使用する
- 布団カバーや枕カバーはこまめに洗濯し、清潔な状態を保つ
「夜が怖い大人」は意外に多い
これまで外来いただいた大人の患者様の中でも、「夜が怖い」と訴える方は多いです。夜にあなただけ取り残されているわけではありません。大丈夫ですよ。
特に、日曜夜になると翌日が不安になる方は非常に多いです。(かつてはサザエさん症候群と言いました)その場合、「夜が怖い」=「朝を迎えるのが怖い」という等号関係が成立しており、年齢関係なく夜が怖いと思う方はいらっしゃいます。
私の外来では、いきなり睡眠薬を処方するのでなく、どんな不安や体調不良があるか、家庭や職場環境はどうかの確認から始め、良眠を得るための方策やリラクゼーション法を患者様と相談します。夜が怖くてご不安であれば、安心して精神科にご相談くださいね。
監修者プロフィール
こころと美容のクリニック東京
院長 大和行男(医師)
専門領域は児童精神科であるが、精神科全般を得意としている。また、漢方治療に加えて、総合診療の何でも診療する外来を行っており、小児科、皮膚科、一般内科の診療を経験し、心身双方を診察することに力を入れている。睡眠についても詳しく、脳波を用いた睡眠検査の読影も得意領域である。
▼取得資格
・子どものこころ専門医
・精神科専門医
・精神科指導医
・精神保健指定医 など
<Edit:編集部/取材協力:ミルトーク>