
体脂肪1kg減らすには7,200kcalの消費が必要!最速で正しく体脂肪率を下げる方法を医師が解説 (3/3)
脂肪を減らす「カロリー消費の仕組み」
体脂肪のこと、どこまで知っていますか?体脂肪を「最速で」「正しく」落とすなら、カロリー消費の仕組みについて理解しておきましょう。
体脂肪1kg減らすには、7,200kcalの消費が必要
まず知っておきたいのは、体脂肪を1kg減らすには、約7,200kcalのエネルギーを消費する必要があるということ。これは体脂肪1gあたり約9kcalに換算されることから導き出された目安です。
しかし、実際の減量では水分量や筋肉量の変化も関係するため、単純に「7,200kcal=体脂肪1kg」とは限りません。あくまでも「7,200kcal以上の消費が必要」だという目安としてとらえましょう。
体脂肪1kg減=体脂肪率1%減ではない
体脂肪率は「体脂肪量 ÷ 体重 ×100」で決まるため、体脂肪を1kg減らしても、体脂肪率が必ず1%下がるとは限りません。体重や筋肉量が変動すると割合が変わるため、人によって数値の動きが異なります。
たとえば体重60kg・体脂肪率25%(体脂肪量15kg)の人が、体脂肪を1kg減らして体重59kgになった場合、計算式は「14 ÷ 59 ×100 = 約23.7%」。
つまり、体脂肪1kgの減少で1.3%下がることもあれば、筋肉量が減るとこの変化が小さくなることもあります。
体脂肪率を正しく下げるには、筋肉を維持したまま脂肪を減らすことが大切です。有酸素運動だけでなく、筋トレや高タンパクな食事を組み合わせて行いましょう。
体脂肪を減らすには「アンダーカロリー状態を作る」
体脂肪を減らすには、「摂取カロリーより消費カロリーを下げる」=アンダーカロリー状態を継続することが重要です。体は足りないエネルギーを脂肪から補おうとするため、継続的なエネルギー赤字をつくることで脂肪が燃焼していきます。
まずは1日の消費カロリーを知る
消費カロリー(TDEE:Total Daily Energy Expenditure)は、基礎代謝に生活や運動の活動量を加えたものです。簡易的には「体重(kg)×30〜35」でおおよその1日の消費カロリーを求められます。
例)体重60kgの場合
軽めの活動(デスクワーク中心) → 約1,800kcal
普通の活動(通勤+軽い運動) → 約2,000kcal
活発な活動(運動習慣あり) → 約2,300〜2,400kcal
1日の摂取カロリー目安
アンダーカロリーは「消費より−300〜−500kcal」が目安です。無理な制限をせず、1か月で体重の2〜3%減を目標にします。
活動レベル | 消費カロリー | 摂取目安(−500kcal) |
---|---|---|
軽め(デスクワーク中心) | 約1,800kcal | 約1,300kcal |
普通(軽い運動あり) | 約2,000kcal | 約1,500kcal |
活発(運動習慣あり) | 約2,400kcal | 約1,900kcal |
※極端に減らすと筋肉が落ち、基礎代謝が下がるため注意。
アンダーカロリーを作る2つの方法
アンダーカロリー状態を作るには、2つのやり方があります。それぞれ解説します。
食事で「摂取カロリーを減らす」
1食あたりのカロリーを意識して、無理なくバランスを取ったメニューに置き換えます。
食事 | メニュー例 | 目安カロリー |
---|---|---|
朝食 | オートミール+ゆで卵+無糖ヨーグルト | 約350kcal |
昼食 | 雑穀ご飯+鶏むね肉のグリル+野菜スープ | 約500kcal |
夕食 | 豆腐ハンバーグ+温野菜+味噌汁+ごはん少なめ | 約450kcal |
間食 | 素焼きナッツ・プロテインドリンク | 約150kcal |
合計:約1,450kcal(消費2,000kcalの人なら−550kcal)
■ポイント
・「減らす」より「置き換える」を意識(例:白米→雑穀米、揚げ物→焼き魚)
・たんぱく質(肉・魚・卵・豆製品)を毎食入れると、筋肉量を保てます
・飲み物は水、お茶、無糖コーヒーでカロリーを抑えます
運動で「消費カロリーを増やす」
食事だけでなく、運動での消費を加えるとアンダーカロリーを作りやすくなります。
運動内容 | 時間 | 消費カロリー (体重60kgの場合) |
---|---|---|
ウォーキング(やや早歩き) | 30分 | 約120kcal |
ジョギング(軽め) | 30分 | 約200kcal |
自重筋トレ(スクワット・プランクなど) | 30分 | 約100kcal |
食事+運動で、1日−600kcalのアンダーカロリーを実現
例えば、食事−400kcal+運動−200kcal=1日−600kcalのアンダーカロリーを実現できます。これを2週間続けると、「600kcal×14日=約8,400kcal」=体脂肪約1kg分に相当します。
お酒を飲む人はどうすればいい?
短期の禁酒で体脂肪率を一気に下げるのも効果的ですが、リバウンドしやすい傾向があります。
理想は、週2日の休肝日を設けながら、アンダーカロリーを長期的にキープする方法。飲む日は糖質を控えめにして、翌日に軽い運動をプラスしましょう。
体脂肪率を下げるペースは「速すぎてもNG」
健康的に体脂肪率を下げるためには、「ゆるやかに」「筋肉を落とさず」に進めることが大切です。急激に体脂肪を減らすと、筋肉量まで落ちて基礎代謝が下がり、リバウンドの原因になります。
体脂肪率を下げる理想的なペース
・1週間に体重の0.5〜1%減
・1か月で体脂肪率0.5〜2%減
体重60kg・体脂肪率25%の人の場合
・1か月で体重0.6〜1.2kg減
・体脂肪率は約0.5〜1.5%減
このくらいのペースを目指すと、筋肉を保ちながら脂肪だけを落としやすくなります。
体脂肪率の変化、いつ頃出る?
体脂肪率の変化は、体重よりも少し遅れて現れます。一般的には、2〜3週間で体重の変化を実感し、1〜2か月で体脂肪率の変化を数値で感じ始める人が多いです。
初期のうちは体内の水分変動が大きく、数字が安定しにくいですが、継続してアンダーカロリーと運動を続ければ、次のような流れで結果が出てくることが多いです。
3週間:見た目の変化(ウエスト・顔まわり)
6週間:体脂肪率の数値変化(−1〜2%)
8〜12週間:見た目・体脂肪率ともに明確な変化
体脂肪率を減らしたい時によくでる質問(Q&A)
体脂肪率を下げるための基本や正しい方法はわかっても、「どのくらいで効果が出る?」「毎日測るべき?」など、実際に取り組むと気になる疑問は多いものです。知っておきたいポイントをQ&A形式で紹介します。
Q:体脂肪率を下げるのに最も効果的な方法は?
A:アンダーカロリー(消費>摂取)を維持することが基本です。摂取カロリーを少し減らし、筋トレと有酸素運動を組み合わせることで、脂肪を効率よく燃焼できます。
Q:どれくらいの期間で体脂肪率が下がりますか?
A:早い人では2〜3週間で見た目に変化が出始め、1〜2か月で数値の変化を感じる人が多いです。無理せず、1か月あたり0.5〜2%減を目安にしましょう。
Q:食事制限だけでも体脂肪率は下がりますか?
A:下がりますが、筋肉量も減って代謝が落ちるためおすすめしません。食事制限と軽い運動を組み合わせることで、リバウンドしにくい体を作れます。
Q:毎日体脂肪率を測ったほうがいい?
A:毎日測っても構いませんが、水分や食事で数値が変動します。同じ条件(朝・空腹・トイレ後)で測り、1〜2週間単位の変化を見るのがおすすめです。
参考:
タニタ「体組成計 内臓脂肪レベル評価基準」
厚生労働省「特定健診・特定保健指導」
国立健康・栄養研究所「生活習慣病予防のための身体活動指針」
日本肥満学会「肥満症診療ガイドライン2022」
WHO「身体活動ガイドライン 2020」
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」
監修者プロフィール
美容外科 SO グレイスクリニック院長
近藤惣一郎
医学博士(京都大学)
ロンリー侍ドクター
日本脳神経外科学会専門医
日本美容外科学会(JSAS)専門医
1988年 京大医学部卒
若返り専門の美容外科医。美は健康の上になり立つという理念のもと、正しい食生活・運動習慣・ダイエットに関する知識が豊富で、自らもダンサーとして、プロフィッシングアングラー(DAIWA)として、若さとナイスボディを保ち続ける。
Instagram:https://www.instagram.com/kondo.soichiro/
<Edit:編集部>