正しくカラダを使えば、楽器もスポーツも上手くなるってホント⁉ ミュージシャンあだち麗三郎の身体論 (1/2)
トレーニングはそれ自体が目的ではなく、スポーツが上手になりたい、痩せたい、健康になりたい、カッコよくなりたい、など目標があって始める人がほとんどではないでしょうか。
シンガーソングライターであり、数々のアーティストとともに音楽活動をするマルチプレイヤーとして知られるあだち麗三郎さんは、「たくさんの楽器を上手に弾けるようになるために」カラダの使い方を研究したと言います。最初は教えてもらう側だったあだちさんですが、現在は自らがワークショップを開催し、その知識を広めているのだとか。今回は、そんなあだちさんの「身体ワークショップ」をレポートします。
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動きをリセットするとカラダが変わる
あだちさんのワークショップは、体力のない人や運動に自身のない人でも参加できる、簡単な動きばかり。この日やっていたのは、「デスクワークで疲れない方法」。
まず座り方にコツがあります。
「『座る』という動作をするのではなく、力を抜いて『骨にカラダを乗せる』感じで椅子にカラダを置いていく。筋肉のエネルギーを使う必要がなくなるので、肺を広く使えて、呼吸が深くなります」(あだちさん)
そうして姿勢を整えたあと、手の平を上に向けてデスクの上に置きます。これだけで、肩に力が入りにくくなるのです。
あとはいつも通りにお仕事をするだけ。え? これだけ? と思うような動作ですが、本当にこれで疲れ具合が変わってきます。
続いて、「長時間座っても腰が疲れない方法」。座った状態で姿勢を正して力を抜き、足を真っ直ぐ下に下ろします。次に、両手で太ももを持ち上げて、ストンと落とします。
「脚の重さを手に乗せて、手の力だけで持ち上げてストンと下ろす。脚の力を使わないで、脚の重さを量るように」とあだちさんの指導。これだけで、腰への負担が大幅に変わるのだそう。確かに、やって見ると“バリ硬”だった腰がスッと和らぐ感覚が。これは不思議です。
と、どちらも簡単すぎて逆に不安になる内容ですが、その原理についてあだちさんに伺いました。
「例えば、座るときに脚を組んだり、かかとが常に上がっていたりしますよね。そういう姿勢は、カラダの一部に力がかかるので疲れるんです。人間はクセがあるので、力を抜く動作を入れてリセットするきっかけを作ると、カラダに『ラクに動ける感覚』を教えることができます」(あだちさん)