なぜマッチョは熱中症に強いのか。筋トレと熱中症のアツ~い関係性[医師監修] (2/2)
マスク着用で筋トレはOK? 呼吸筋アップにもつながるのか
筋トレに励む筋トレ民にも、ジムでのマスク着用を続けている人がいるかもしれません。そこで、マスク着用での筋トレにはどのような影響があるのか? マスク着用で筋トレをすることについても伺いました。
「プロのアスリートに対する専門的なトレーニングであれば話は別ですが、一般の人がマスクをつけて行なう筋トレにメリットはないと思います」(増富先生)
そもそも運動自体が、心臓をはじめとした全身の筋肉の酸素需要量を増やす行為でもあります。運動を行なう際にマスクを着用するという行為は、この必要となる酸素需要量を無視して、いきなり供給量を抑えるという行為であり、危険とも。
「素人目には効率的筋トレに思えるかもしれませんが、たとえば同じく筋肉である心臓にとっては過大な負担となり、狭心症や心筋梗塞の発症につながり命に関わる可能性もあります。まして暑さと運動負荷により脱水傾向に傾いた状態で、故意の酸素供給不足は、心臓にとっては、極めて危険に思います」(増富先生)
マスク着用は任意となりましたが、増富先生が警鐘を鳴らす通り、マスクをつけてのハードなトレーニングは思わぬ事故や熱中症の危険を高める行為ともなりますので、くれぐれも注意したいものです。
「筋肉は1日にしてならず。正しく、徐々に鍛えてやるしかありません」(増富先生)
医師として、また、筋トレに励む筋トレ民としての増富先生よりのメッセージでした!
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監修者プロフィール
増富健吉(ますとみ・けんきち)
国立がん研究センター研究所 がん幹細胞研究分野分野長。1995年、金沢大学医学部卒業。2000年医学博士。2001-2007年ハーバード大学医学部Dana-Farber癌研究所。2007年より現職。日本内科学会総合内科専門医、がん治療認定医、日本医師会認定産業医。専門は分子腫瘍学、RNA生物学、内科学。がん細胞の増殖とコロナウイルスを含むRNAウイルスの増殖に共通の仕組みがあることを突き止めており、どちらにも効く治療薬開発が可能かもしれないと考えている。趣味は筋トレ。
<Text:京澤洋子(アート・サプライ)>