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2022年5月20日

入浴剤で疲労回復やリラックス効果を実感。疲れたカラダに効果的な入浴法をお風呂博士に聞いてみた(後編)

 スポーツ後の筋肉疲労や全身の疲れ、ちゃんとケアしていますか? 汗を流すために、とりあえずシャワーを浴びて済ませていませんか?

 前編ではバスクリンのお風呂博士・石川泰弘さんに、スポーツ後などの疲労回復と入浴の関係や入浴のコツについてお聞きしました。後編はスポーツをする人におすすめの入浴剤についてです。
※石川泰弘さんは現在、大塚製薬に所属(2019年4月より)。本稿の情報は初出の2017年8月10日当時のものです。

《前編》
・お風呂に入れば睡眠の質も上がる。疲れたカラダに効果的な入浴法をお風呂博士に聞いてみた(前編)

 スポーツ後の疲労回復を効果的にサポートしてくれる入浴剤。はたしてそんな入浴剤は、あるのでしょうか? 入浴剤のパイオニア、バスクリンを直撃しました。

ズバリ、スポーツをする人におすすめの入浴剤は?

 実はオリンピック日本代表選手にも入浴剤を提供するバスクリン。いろんな競技団体からの問い合わせも多いのだそうです。お風呂博士の石川さん、スポーツをする人におすすめする入浴剤ってありますか?

「入浴剤は入浴の効果を高めるものです。いろいろな種類がありますが、ひとつは血液循環と血行促進、保温に特に優れたブリケットタイプの『きき湯 ファインヒート』です。もうひとつはスキンケアに着目した『薬用 ソフレ 濃厚しっとり入浴液』ですね」

 『きき湯 ファインヒート』は、パッケージからして疲労回復に効きそうで、スポーツをする人におすすめなのが分かる気がしますが、スキンケアに着目した『薬用 ソフレ 濃厚しっとり入浴液』はなぜ?

▲アスリート向けに開発された入浴剤「薬用 きき湯 FINE HEAT」

「スポーツをする人にとって実はスキンケアはすごく大切です。情報の約8割は目から入ってきますね、視覚から。でも、それを感じるのは触覚や味覚、聴覚であったりといろんなところで感じます。なかでも触覚に大いに関係する肌の面積は約1.6㎡(約1畳分)っていわれています。すごく広くて大きい。また、体重の6%から7%ぐらいの重さがある。ということは、それだけ大きないわゆる臓器みたいなものなので、そこをしっかりさせておかなきゃいけないんですね」

▲生薬有効成分とクリムオイル入りの保湿入浴剤「薬用 ソフレ」

 肌が臓器という発想は、ぜんぜんなかったです! 臓器って言われると、ものすごく大事なもので、危ういものに思えてしまいますが……。

「肌は細菌をブロックしたり、体温調節もしています。スポーツにかかわらず、人間にとって肌はとても重要です。スポーツによっては、たとえばレスリングは肌に病気があったら試合に出られないんです。あとはアーチェリーもそう。アーチェリーは70m先の的に矢を当てますよね。それって計算されて当たるんだけど、でも外でやるスポーツなので日によっては風が吹いていたりする。それを感じるのは肌で、肌がコンスタントにちゃんとしてないと感覚が鈍ってうまく当たらない。そういうことからも肌はすごく大切なんです」

 それでスキンケア系入浴剤が、スポーツをする人におすすめなんですね。血行促進効果と保湿を中心にした、保湿剤ともいえる入浴剤。2016年のリオオリンピックでも日本代表選手に使われていたのだそうです。リオの選手村にはお風呂がなかったので、パフォーマンスセンターのシャワールームにバケツと一緒にソフレが置かれ、選手たちはソフレの入ったお湯を最後にかけ湯していたのだとか。日本選手たちの活躍の影に入浴剤あり!

「『きき湯 ファインヒート』は、温浴効果を高めて血行促進と保温で血のめぐりを向上させ、その状態をある程度維持してくれるという機能性入浴剤で、循環ということが考えられています。シュワシュワッと出る炭酸ガスが多く、お湯にとけ込んだ炭酸ガスが末梢系に入って代謝機能が働きます。お湯にとけた炭酸ガスは0.43nm(ナノメートル)とすごく小さいので、皮膚にしっかり浸透してくれます。プクプクという泡がなくなってからがいいんです。なくなるってことはちゃんと作り終わったってことなんです」

 『きき湯 ファインヒート』は「アスリート向け」という方向性で開発された、まさにスポーツをする人のための入浴剤。ボディメンテナンスとボディケア、どちらもスポーツのパフォーマンスアップのためには重要なアイテム。自分のコンディションにあわせ、状況によってうまく組み合わせて入浴剤を使うのですね!

疲労回復やリラックスをサポートする入浴剤の色や香りの効果

 やさしい色やいい香り、炭酸ガスの泡など、入浴剤はお風呂を楽しくしてくれるツールでもあります。それも入浴剤の醍醐味。入浴剤の入った湯に浸かるワクワク感は大人も子どもも同じ。入浴剤の色や香りの効果とは。また、どうやって決めているの?

「色については平和色の黄色やグリーンとかは心が落ち着くっていうのがあります。赤系はやっぱり興奮の色になっちゃうので、赤よりもピンクっぽく、白く白濁したもののほうがリラックス系だったりしますね。たとえば温泉をイメージした入浴剤では、本来の温泉の色や香りではなくても、緑は新緑の気持ちいい季節のイメージだったり、オレンジだと紅葉とか、その温泉地の気持ちのいい季節をイメージして作ったりしています。香りも温泉地をイメージできる香調にします。たとえばみかんの産地の温泉地なら、みかんの香りを少し入れるとかね」

 どんな色や香りでリラックスするかは、人それぞれ。定量的に測れるものではないのが難しいと石川さんは言いますが、だからこそ同じシリーズでも色や香りにいろんなバリエーションがあって、使う側に選ぶ楽しみもある。入浴剤で疲労回復やリラックス効果を実感するのも、自分のお気に入りの色や香りによる相乗効果かも。

「色や香りも含めて、お風呂の効果を高めるものが入浴剤の役割なので、入れた方がいいか、入れない方がいいかと言えば、それは入れた方がいい。ですが好き嫌いがあったり、効果の違いもやっぱりあるので、製品の持つ特徴を分かって使い分けるといいと思いますね」

入浴効果をもっとも得られる入浴剤の使い方は?

 何度ぐらいのお湯にどれぐらいの量を入れて、何分後に入ってのような、入浴効果を最も得るためには入浴剤をこう使え! というのはあるんでしょうか?

「湯に溶かす量としては、1回分は200リットルのお湯に対して入れたときの効果を厚生労働省へ申請をして許認可を得ています。それ以外は特にありません。入浴剤を入れたすぐのタイミングがやっぱり香り立ちがいいので、香りを楽しみたい場合は入浴時に入れるといいです。もし、炭酸の発泡力をあげようと思ったら湯の温度は高いほうが発泡しますが、そのかわり溶存する炭酸がなくなるのも早いですね」

 ちなみに、入浴剤を入れた前日の残り湯を再び湧かし直しても大丈夫とのこと。ただし、炭酸ガス系のものは、炭酸ガスの効果はなくなってしまうそうですが、ミネラルの部分は残るとのこと。また、お湯の量が減っていたら、その減った分に入浴剤を追加してもOKだそうです。

 最後に、入浴剤の疲労回復効果はお湯に入るだけの部分以外にもあるか聞いてみました。

「入浴後の保温効果がやっぱり大きいですね。血液循環が続くことにもつながります。『きき湯 ファインヒート』は炭酸ガスのほかにも硫酸ナトリウムといった温泉の成分が+αで入っていて温浴効果を高めてくれます。肌に付着してベールを作ってくれるのでカラダを冷やさない。保温効果が高いです。また、『薬用 ソフレ 濃厚しっとり入浴液』は入浴後もしっとり感が持続します。どちらも入浴後の効果も注目していただければと思いますね」

 リオオリンピックで日本選手たちのパフォーマンスをサポートした入浴剤。次の東京オリンピックでは、海外の選手にも使ってもらいたいと、石川さん。海外でもリカバリーにお風呂を取り入れている国は多いですが、入浴剤を使うという発想はまだないのだそう。

 入浴剤がスポーツ後の疲労回復をサポートしていることは確実。スポーツを楽しむみなさん、お風呂博士・石川さんに教えてもらったお風呂とスポーツのいい関係&入浴剤、すぐに実践必至です!

前編:お風呂に入れば睡眠の質も上がる。疲れたカラダに効果的な入浴法をお風呂博士に聞いてみた(前編)

[プロフィール]
石川泰弘(いしかわ・やすひろ)
株式会社バスクリン販売管理部販売促進課マネージャー広報責任者。博士(スポーツ健康科学)。温泉入浴指導員や睡眠改善インストラクターの資格を持ち、“お風呂博士”としてTVやラジオ、雑誌などに数多く登場。健康・スポーツとお風呂の関係や、効果的な入浴法などについて学校や自治体、他企業など全国各地で講演会も行なっている。サッカー好きで週末ランナーというスポーツ愛好家。著書に『バスクリン社員が教える究極の入浴術 お風呂の達人』(草思社)、『バスクリン社員が教える おうちでバスタイム』(ネコ・パブリッシング)、『バスクリン社員がそっと教える肌も腸も健康美人になる入浴術26』(スタンダードマガジン社)ほか共著、監修も多数

【バスクリン公式HP】https://www.bathclin.co.jp/

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<Text & Photo:京澤洋子(アート・サプライ)>