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2020年12月23日

あなたの心肺機能は大丈夫?コロナ禍で注目、最大酸素摂取量をApple Watchで測定&管理できる機能が進化

 2020年は新型コロナ禍の中で、健康の自己管理にも役立つガジェットとしてスマートウォッチやフィットネスバンドが大いに注目されました。9月にアップルが発売したApple Watchも特に人気の高いスマートウォッチです。

 12月15日にApple Watch向けの最新OSである「watchOS 7.2」が公開されました。ユーザーの最大酸素摂取量(VO2 Max)を測定できる心肺機能も使いやすくアップデートされています。Apple Watch Series 6のユーザーである筆者が新機能を体験してみました。

最大酸素摂取量(VO2 Max)は、心肺持久力や健康のバロメーター

 アップルは9月にApple Watch Series 6と、エントリーモデルのApple Watch SEを発売しました。新しい心肺機能測定はこの2機種だけでなく、watchOS 7.2をインストールしたApple Watch Series 3以降のモデルと、iOS 14.3をインストールしたiPhone 6s以降のiPhoneを組み合わせた環境で広く使えます。

 ユーザーが屋外でウォーキングやランニングなどにより体を動かすと、Apple Watchが内蔵するモーションセンサーとGPSを使ってユーザーが心肺機能の測定に適したワークアウト中であると判別します。その間、Apple Watchは内蔵する光学式心拍センサーを使って、人間の心肺機能を測る指標となる最大酸素摂取量を14〜60mL/kg/分の間で記録します。

▲Apple Watchの本体に内蔵するセンサーで最大酸素摂取量を計測します

 最大酸素摂取量とは、運動の際に体が消費できる最大の酸素量を指します。数値は高いほどその人の持久力が高く健康であることを示します。アスリートの心肺持久力レベルを示す指標として活用されることも多い最大酸素摂取量は、同時に心臓や肺、筋肉に血液など身体の重要な部分の健康状態を把握するためにも大事なデータとして近年特に注目されています。

 測定はバックグラウンドで自動的に行われるため、Apple Watchの操作は必要ありません。またはApple Watchにアプリとして搭載されているワークアウトを起動して、任意のメニューを開始すると自動的に心肺機能も記録されます。

▲iOSのヘルスケアアプリに心肺機能のデータが蓄積されます

Apple WatchとiPhoneの組み合わせで「心肺機能が見える」

 心肺機能のデータはiPhoneのヘルスケアアプリに時系列ごとに並んで記録されます。実はApple Watchでは数年前にもう最大酸素摂取量を記録できる機能を提供していましたが、激しい運度をした時だけに最大酸素摂取量の数値をポイントで記録する機能でした。

 今回の機能アップデートにより、ヘルスケアアプリからユーザーの年齢/性別/身長・体重、および心拍数に影響を与える薬の服用の有無などユーザーのID情報を入力すると、ユーザーの心肺機能のレベルが同性・同年代の人の平均値に比べてどの程度のレベルにあるのか、アプリで“見える化”できるようになりました。

▲アップデートされた心肺機能では、ユーザーの最大酸素摂取量が
平均値と比較してどのレベルにあるか知らせてくれます

▲測定値の変化を時系列に追うこともできます

 新型コロナウィルス感染症の影響が広がってからというもの、記者・ライターである筆者も足を使って屋外へ取材に出る機会がぐんと減りました。気が付くと1日中、家でイスに座りっぱなしになって原稿を書いていることもあります。Apple Watchの心肺機能測定が簡単・便利になったことをきっかけにして、外に出てウォーキングする時間が増やせそうです。

 心肺機能のグラフは日・週・月・年単位で履歴が追えます。筆者も1週間ほどApple Watchを着けて試してみたところ、しっかりとグラフができました。幸い判定結果は「平均より上」。安堵とともに、今後も感染予防に気を配りつつも、日々体を動かすことの大切さを痛感した次第です。

心肺機能が低下した状態が続くとアラートが飛んでくる

 最大酸素摂取量は、例えば「高強度インターバルトレーニング:High-Intensity Interval Training(HIIT)」のような激しい有酸素運動を、その人に合ったペースで継続的に行うことで改善も図れます。iPhoneのヘルスケアアプリから「心肺機能の解説記事」を読むと、心肺機能を高める方法がよくわかって、ためになります。最初は毎日のウォーキングコースに坂道を数カ所追加するだけでも効果が得られるそうです。

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▲ヘルスケアアプリには心肺機能を高める方法の解説もあります

 watchOS 7.2へのアップデート後から、心肺機能の指標である最大酸素摂取量のレベルが下がったときに、Apple WatchやiPhoneに通知を飛ばしてくれる機能も加わりました。幸い筆者は今回のテストを行っている最中に低レベルの通知が届くことがなかったので、代わりにヘルスケアアプリから心肺機能をセットアップする際に表示される解説画面のイメージを紹介します。

▲心肺機能が低いレベルが続くとApple Watchに通知を飛ばして知らせてくれます

 体調の変化によって、最大酸素摂取量が一時的に低レベルであると判定されることもあるようです。そのため、出てきた数値に対してあまりナイーブになり過ぎることは禁物ですが、低い数値の測定が続いた場合は病気のサインかもしれないので要注意です。

 Apple Watchの場合、計測レベルが20以下の状態が4ヶ月間続くと再度通知が届きます。大きな病気にかかる前に、念のため医師に相談してみたり対策を打つこともできるでしょう。

 最大酸素摂取量を正確に測定するために、通常は研究施設に足を運び、大がかりな検査装置を身に着けて激しい運度を行う必要があります。Apple WatchとiPhoneがあれば、誰もが気軽に自身の心肺機能のレベルを知ることができて、日ごろの健康管理にデータを役立てることもできるでしょう。対応するApple WatchとiPhoneを使っている方は、ぜひヘルスケアアプリを開いて、新しい心肺機能を試してほしいと思います。

<Text & Photo:山本敦>