「相手を思いやり、和を重んじる日本人」…のはずが、なぜ誹謗中傷が相次ぐのか?その心理と対処法 (1/3)
オリンピックは、4年に1回という希少性や、国の代表という重みなどもあり、他の競技と比べても注目される大会です。
これは、テレビ中継の多さからもわかります。そのため、応援する私たちも、手に汗握る熱戦に、つい引き込まれてしまいます。選手と一緒になって感動を分かち合えたり、涙を流したりできること、これがスポーツ観戦の醍醐味なのでしょう。
ただ中には、ネットを中心に誹謗中傷のコメントもあります。
このコメントに対して、「言われる側の立場になってほしい」と注意喚起がなされます。しかし、中傷をする側は「間違ったことはしていない」と意に返さない人も多いです。
また「人に迷惑を掛けてはいけない」という価値観を私たちは強く持っています。「相手を思いやり、和を重んじる日本人」がどうして、このような誹謗中傷を行うのでしょうか。
誹謗中傷をする6つの心理とは
(1)匿名性とバンドワゴン効果
ネットの書き込みはX(旧Twitter)が多いです。Xは匿名のため、発信源の名前までは特定されにくい傾向にあります。
この、自分は安全な側にいるという安心感、これが相手を叩いても大丈夫という心理を生みます。
そして、「バンドワゴン効果」により拡散されやすくなります。
バンドワゴン効果とは、「勝ち馬に乗る」心理のこと。誹謗中傷の投稿が拡散し始めると、我も我もと同調する人が増えます。そして、多勢に無勢で「おかしい」と反論しにくい雰囲気が生じてしまいます。
(2)雰囲気を守るというマナー
「和を以って尊しとなす」日本人には、みんなと同じでることに安心感を持つ傾向があり、乱す者に対しては「村八分」という制裁が下されます。そして、その場の雰囲気が和に該当する場合があります。
たとえば以下のシチュエーションなど。
- みんなで一緒に勝利を目指していたのに、この人だけ足を引っ張った
- みんなで楽しんでいたのに、雰囲気をぶち壊した
以前、KYという言葉が流行りました。空気(K)を読めない(Y)人を指した言葉です。空気を壊す人が村八分の対象として選ばれる傾向があります。
雰囲気を壊すことが、この国では広い意味でマナー違反に該当します。
本来罰せられるのはルール違反の場合ですが、それにもかかわらず、マナー違反も罰して良いという認識を持つ人がいます。これはルールとマナーの混同です。
その例が「自粛警察」です。コロナ禍の最中、飲食店に求められたのは自粛でした。これは、あくまでもマナーの段階です。