管理栄養士に聞いた、サラダチキン(鶏むね肉)のいいところ
筋トレに励む人たちの頭を悩ませるのが、トレーニング後の食事。直後はプロテインなどのサプリメントで済ませる人もいますが、その後の食事では、高タンパク・低脂質・低カロリーの条件を満たした食べ物をメインに置くことが多いでしょう。なかでも「鶏むね肉」や「サラダチキン」は、多くのトレーニーから愛されている食材です。
なぜ鶏むね肉は筋トレ向けの食材と言われるのでしょうか。
Japanマラソンクラブで走り方や食事指導を行なう管理栄養士の深野祐子さんと、料理家・栄養士の田村つぼみさんの回答をもとにまとめています。
栄養面からみた、サラダチキンのいいところ
「ズバリ、低脂質・高たんぱく質であるところ。たんぱく質は体を作る材料で、筋肉や皮膚・爪・内臓、血管など体のあらゆる組織、ホルモンや酵素・免疫力を高める抗体を作るために必要な栄養素です。たんぱく質を多く含む食品は、肉や魚、卵、大豆製品などで、たんぱく質とともに脂質もあわせて摂取することになります。
もちろん脂質も体には必要な栄養素なのですが、とり過ぎは体脂肪を増やす原因に。ボディメイクや健康的なダイエットには、必要以上の脂質摂取をおさえ、たんぱく質量は減らさないようにすることがひとつのポイントとなります。
つまり、低脂質・高たんぱく質のサラダチキンは、ボディメイクやダイエットの強い味方! というわけですね」(深野さん)
ちなみに鶏むね肉に含まれるイミダペプチドは、だるさや疲れをとる抗疲労効果が実証されています。疲労改善のためには1日200mgのイミダペプチドが必要といわれ、鶏むね肉なら100gに相当。サラダチキン1個をいただくことは、疲労回復にも役立つというわけです。
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筋トレ民は毎日「鶏むね肉」を食べるべきなのか?
「トレーニング後はやっぱり“タンパク質”を摂ることが大切です。鶏のささみ肉やむね肉は、低脂質・低カロリーでタンパク質の塊とも言える食材です。良質なタンパク質としては、豚肉や牛肉という選択肢もありますが、もれなく脂肪がついてきます。どうしてもというならば、赤身肉を選んでください。同じタンパク質でも食材ごとに含まれる栄養素が違います。大豆や卵や魚などのタンパク質もバランス良く、摂ることも意識しておくといいでしょう」(田村さん)
ちなみに鶏むね肉と並んでよく食される「ササミ」ですが、100gあたりで比較してみると、タンパク質・炭水化物量はほぼ同じ。脂質だけはササミの方がやや低めです。
「ささみや胸肉には、抗酸化作用があり疲労回復に効果的なイミダゾールジペプチドや、筋たんぱく質の合成を促すビタミンB6など、たんぱく質のほかにもトレーニーが注目すべき栄養素が多く含まれます」(深野さん)
タンパク質の吸収率を高めるポイントは?
「サラダもそうですが、タンパク質の吸収率を高めるビタミンを多く含む野菜と一緒に食べることで、効率よく摂取できます」(田村さん)
筋トレ終了後、48時間以内にいただこう
「筋たんぱく質の合成反応は、筋トレ終了後48時間、少なくとも24時間上昇しています。バルクアップを目指すならば、この時間内にできるだけ鶏肉などたんぱく質を摂取し、血液中のアミノ酸濃度を一定(低下させない)にします。『合成>分解』の状態を常に意識すると効果的です」(深野さん)
トレーニングを終えて、どんなに長くても数時間後には食事をするであろうと考えれば、筋トレ後に急いで食べる必要はなく、まずはプロテインで一息ついてから、ゆっくりと準備をしても大丈夫そうですね。
1食あたりのたんぱく質の摂取量の目安
トレーニングの強度や体重によって異なりますが、おおよその目安としては、1食あたり20~30gほど。タンパク質は大量摂取しても一定以上は吸収されず、消化しきれない分は脂肪へ回されたり、腸内環境の悪化にもつながるおそれがあるため注意が必要です。
[監修者プロフィール]
深野祐子(ふかの・ゆうこ)
管理栄養士・ジョギングインストラクター。Japanマラソンクラブでインストラクター兼フードアドバイザーとして市民ランナーに向け走り方の指導や食事の指導を行なう。
[プロフィール]
田村つぼみ/料理家・栄養士
短大卒業後、料理教室講師として勤め、料理研究家のアシスタントを経て独立。毎日の“ふだんごはん”を無理せず楽しく健康に! をモットーに、書籍や女性誌でのレシピ掲載を中心に活躍中。そのほか、飲食店や企業のメニュー開発、店舗立ち上げのプロデュースやCM制作などを行う。
【HP】https://www.tsubomi-t-cooking.com/
【Instagram】@tsubomi_tamura
※本記事はMELOSで公開された記事「筋トレ民の味方“鶏むね肉”を美味しく食べる方法を見つけた!いま話題の低温調理器レビュー&オススメレシピ」を再編集したものです。
<Edit:編集部/Text:松田政紀(アート・サプライ)/Photo:玉井幹朗>