会社やめたい人へ!なんとか行く?退職する?心理士が教える対処法2パターン (2/2)
会社をやめたいと思っているとき、「転職せず」なんとか乗り切る方法
まず、なぜ自分が会社を辞めたいのか、その要因を明らかにすることから始めることが良いでしょう。
人間関係、業績不振、友人の会社が良く見えてしまう、などでしょうか。
“同僚が好成績、自分は一件も契約がない”というケース
たとえば、“同僚が好成績を上げているのに自分は一件も契約がとれていない”という場合、どう思うでしょうか。
事実は、“一件も契約をとっていない”です。
事実(情報)を解釈するとき、重要なステップがあります。それは“選択”です。
道路を歩いていて赤信号で止まる。これは赤信号だから止まったのではありません。赤信号の視覚情報を取得して、止まる選択をしただけです。
深夜で車や誰もいない場所の赤信号であれば、渡ってしまう人もいるでしょう。人はすべての情報に対して無意識に「思考」と「行為」という選択をしています。
赤信号で止まる、止まらないという例のように、選択肢はひとつではありません。
事実(情報)に対してどう思考するかは自分で決めることができる
“同僚が好成績、自分は一件も契約がない”、これは事実(情報)です。
それについてこんな思考が出てくるかもしれません。
「自分はダメだ! あんな成績は一生かかっても無理、あーあいつもこうなる、もう転職しようかな」
一方で、こんな思考の選択もできます。
「あの人はなんでもソツなくこなしてしまうなぁ。でも、なんでもできてしまうとピンチのときに弱い可能性だってある。自分は、うまくいかないことでいろいろな経験をしている。この経験は宝だ。もしかして、神様が期待をして成長しろと言ってくれているのかも!」
行動をプラスすることで、さらに肯定的解釈が得やすくなる
さらに「じゃあ、少し心理学を勉強して、契約獲得に役立ててみよう」と思考し、本屋に行って営業時に使えそうな心理学の本を探して購入(行為)を行うことで、感情は肯定的なものに変わるでしょう。
思考だけでなく、実際に行動を起こすことで、肯定的解釈が得やすくなるのです。
このように、いま自分の置かれている状況を自己分析し、肯定的解釈につなげていくことで、転職せず現状を乗り切ることも可能かもしれません。
なにもやる気力が起きないときどうしたらいい?
とはいえ、上記のように行動へ移すことができないときは、変えやすい部分から変化させていくと行動へつなげやすくなります。
行動を分解してみる
人の行動は4つに分解できます。
- 思考(考える、思うなど)
- 行為(歩く、読むなど)
- 感情(楽しい・イライラなど)
- 生理反応(汗をかく、ドキドキするなど)
この中で、変えやすいものと変えにくいものがあります。
「思考」と「行為」は自分の意志で変えやすい
変えやすいものは、「思考」と「行為」です。変えにくいものは、「感情」と「生理反応」です。
いま、何もやる気力が起きないというのは、「感情」が負の方向に反応しています。感情は変えられないと思ってしまうため、さらにやる気がなくなってしまいます。
ただ、感情は変えにくいだけであって、変えることはできます。
「感情」も、「思考」と「行為」で変えることができる
たとえば、「今すぐうれしくなってください」と言われてもできないと思いがちですが、うれしくなるために、以下の「思考」と「行為」を行うことができます。
今すぐうれしくなるにはどうしたらいい?
- 旅行に行ってうれしかった記憶を思い出そうとする(思考)
- そのときに撮ってスマホに保存した写真を見てみる(行為)
どうですか、うれしくなってきませんか? 「思考」と「行為」を変えた結果、「感情」にも変化が出てきたのではないでしょうか。
これを仕事に当てはめて考えてみます。
入社当時の想いや願望を思い出し、それを分析してみる
入社したときは誰でも、会社でこうなりたいという願望があったはずです。それを思い出し、その願望に近づくための「思考」と「行為」を選択してみましょう。
会社で仕事のやりがいを感じたかったということであれば、“自分にとってのやりがいとはなにか”をセルフカウンセリングしてみるのもよいと思います。
結果として、“お客様に喜んでもらうこと”をやりがいと感じていた自分に気づくかもしれません。
“希望しない部署で働くことになってしまった”というケース
商品開発をやりたかったが、営業になってしまった。しかし、営業でも“お客様に喜んでもらう”というやりがいは共通している。
また、商品開発の仕事に携わるまでに、営業で顧客と接する機会を多く経験することで、いかにしてお客様に喜んでもらえるかというスキルを磨けるかもしれない。
そのスキルを手に入れてから商品開発に部署移動すれば、他者にはない“強み”となるだろう。
このような視点を持つこともできます。
「精神的に疲れたから会社辞めたい」は甘えなのか。別の視点から考えてみる
とはいえ、メンタル的に疲れてしまい、仕事を辞めたいと感じてしまうこともあるでしょう。ここでは、なぜ精神的に疲れるのか考えていきたいと思います。
人は、好きなことをしているときは疲れを感じにくい
好きなゲームを徹夜でやってしまったときは、イヤな仕事を徹夜でこなしたときより疲れは少ないでしょう。
仕事を苦役として捉えていると、疲れがやってきます。ということは、精神的に疲れないためには、仕事を好きになることがポイントとなります。そんなことができるのかって? 実はあります。
仕事を好きになる方法はふたつある
仕事を好きになるには、“好きな仕事に就く”または“仕事を好きになる”のふたつが挙げられます。
“好きな仕事に就く”というのは一見よさそうですが、その仕事を辞めてしまえば終わってしまいます。再び好きな仕事の採用募集を探すしかありません。
一方、“仕事を好きになる”ノウハウを持っていれば、今の仕事を好きになることもできますし、たとえ転職したとしても、どんな仕事でも大丈夫という自信になります。
“仕事を好きになる”ノウハウとは
“仕事を好きになる”ノウハウとして、ぜひ試していただきたいことがあります。
それは、いま自分に課せられている仕事を、一生懸命、一心不乱に取り組んでみることです。3日間だけで構いません。
3日過ぎたころには、今までにない自分の姿をみることができるでしょう。
▼やる気がなくても行動したい
連休明けや休暇後のみ「会社を辞めたい」と感じる人の乗り切り方
GWなどの大型連休、そして年末年始の休暇明けは、仕事に行きたくないという声を聞くことが多くなります。
休暇後に「会社を辞めたい」と感じるのは、求めるイメージに“仕事をしている自分”がないからです。
人は理想に近づくために行動する
人は誰でも、頭の中に“求めるもの(理想のイメージ写真)”を持っており、それに近づくために行動します。
“休暇で旅行をして楽しんでいる自分”というイメージ写真があれば、旅行に行く前にワクワクします。休暇前に「あー明日から旅行だ、嫌だな」とはなりません。それは、自分の求めるものが“休暇を楽しんでいる自分”であって、そのイメージ写真に向かって行動しているからです。
そう考えると、休暇後に「会社を辞めたい」と感じるのは、求めるイメージ写真に“仕事をしている自分”がないからと言えます。
休みが終わる前に仕事について考える時間を設ける
乗り切り方としては、休暇が終わる前に、30分でもいいので時間を作り、仕事のことを集中して考えてみることです。
休暇中に仕事のこと考えたくない! というのもわかりますが、わずかに時間をとるだけで、明日から楽になれると思うといかがでしょうか。
イメージ写真として“仕事をしている自分”が現れてきたら、少しああしてみようか、こうしてみようかという思考が現れてくるかもしれません。そして、今すぐ仕事にとりかかる気になるかもしれません。
そのイメージ写真を持つことができれば、それを手に入れるために行動スイッチが入りやすくなります。
運動はメンタルケアにいいってホント?
運動はメンタルケアにもよいと思います。運動することで、脳内の神経伝達物質であるノルアドレナリンが増え、やる気を促したり、肯定的解釈をしやすくなります。
散歩も効果的ですが、少し早足で歩く、ジムでのトレーニングや水泳も効果的です。
有酸素運動中に今抱えている問題について考えてみると、アイデアが浮かんできたり、やる気が出ることもありそうです。
▼メンタルにもいい運動は?
食べ物でメンタルケアはできる?
運動だけでなく、食生活でもメンタルケアはできると考えています。もちろんバランスの良い食事は大切ですが、より幸福感を得やすいのは“自分が好きな食べ物を食べる”ことです。
好きなものを好きな仲間や家族と食べるということは、脳内の神経伝達物質であるセロトニンを増やす効果があります。セロトニンが増えると気分が良くなり、メンタルケアによい影響も与えると考えられます。
逆に、怒って食べれば食べた気がせず、嫌いなものを無理やり食べれば気分が悪くなります。
会社を辞めたいけれどやめられない人へ
辞めたいけれどやめられないのであれば、そんな中でもいかに気分良く過ごせるかを考えたいですね。そのためには、(前述しましたが)仕事を好きになることが有効であると私は考えています。
おさらいしましょう。
仕事を好きになるには、“好きな仕事に就く”または“今の仕事を好きになる”こと。そして“今の仕事を好きになる”には、その仕事を好きだろうが嫌いだろうが、一定期間、業務に打ち込んでみることです。ぜひお試しください。
▼会社に行きたくないときでも、ひとまず出社するには
※本記事は以下の過去記事を再編集したものです。
監修者プロフィール
角田智之(つのだ・ともゆき)
歯科医師。つのだデンタルケアクリニック院長・歯科医師臨床研修指導医・日本選択理論心理学会認定選択理論心理士。1992年、明海大学歯学部卒業。日本大学板橋病院、社会保険横浜中央病院、久留米大学病院、(医)高邦会高木病院歯科口腔外科を経て、2008年福岡市博多区につのだ歯科口腔クリニックを開設。2015年同じ博多区内で移転開設し、つのだデンタルケアクリニックに名称変更。予防診療と舌痛症のメンタルカウンセリングを行っている。専門分野は口腔外科、歯科心身症。
公式HP(https://tsunoda-dentoral.net)
舌専門サイト(舌痛症)(https://zettsu.com)
インスタグラム(https://instagram.com/tsunoda_dc)
<Edit:編集部>