子どもの運動におすすめの時間帯は「朝」。その理由は? (1/2)
年齢を問わず、子どもに習い事をさせる家庭は少なくありません。水泳や野球、サッカーなどをはじめ、公園に行って身体を動かす、あるいは身体の動かし方から習えるキッズスクール。保育園・幼稚園や学校でも、子どもにとって運動はとても身近です。
朝イチで出かけ、野球の練習や試合に取り組む子。あるいは平日の放課後、プールに通っている子など。運動は脳にもいい影響を与えると言われていますが、その効果が、運動する時間帯によって違ってくるとしたら? 習い事なら最初から時間が決まっていますから、運動する“時間”について意識していない人も多いはずです。
朝と夜、いったいどちらが子どもの運動に適しているのか。筆者自身、子ども向けの運動教室を運営していますので、その経験ももとに、運動と脳の関係から答えを考えてみたいと思います。
運動することで、脳にどんな影響があるのか
運動をすると「BDNF」の分泌が増加する
「運動すると頭が冴える」というのは、運動を経験していれば多くの人が感じたことがあるでしょう。思いっきり空気を吸い、適度に運動した後の清々しさは、確かにスッキリとした気持ちにさせてくれます。
脳と運動との関係をで出てくるのが「BDNF」というもの。これは「brain deriverd neurotrophic factor」の略で、日本語では脳由来神経栄養因子と呼ばれます。人間が生活・成長するうえで欠かせない分泌性タンパク質の1種ですが、この「BDNF」、運動によってその分泌量が増加すると言われているのです。
親ならどうしても気になる「学習」との関係。この「BDNF」は勉強する際にも重要な働きを持ち、その分泌増加は学力アップなどに繋がる可能性を秘めているようです。
「BDNF」の分泌が増加すると記憶力が向上する
「BDNF」の分泌が増加すると、記憶力がよくなるとされています。そう聞くと、授業で習ったことがしっかり覚えられるといった効果をイメージされるでしょう。しかし、単純に「覚える」ということだけではありません。
人は何かを判断するとき、自分自身の経験をもとに「どうすべきか」を考えます。勉強はとても分かりやすい例ですが、習っていないことは当然ながら答えられません。たとえば「1+1は?」と聞かれれば、過去に習ったことを思い返して「2」という回答を弾き出しますが、これは物事の良し悪しを判断したり、おつかいに迷わず出かけたり、あるいはカードゲームなどの遊びでも同じことです。瞬時に脳内の引き出しからその場に適したものを選び、言葉・行動に繋げているということ。つまり「覚える」という記憶力ではなく、記憶そのものの「使い方」がうまくなるのです。
せっかくテスト勉強したのに、「習ったはずなのに思い出せない」と本番で正解が浮かんでこない。あるいは何かトラブルを起こしてしまったとき、「こういうとき、どうするんだっけ」と取るべき対応が思い浮かばないなど。子どもならよくある経験ですが、こうした事態が運動によって回避できるかもしれないのです。
朝と夜、どちらが運動に向いている時間帯なのか
では、朝と夜どちらで運動すればよいのでしょうか。結論から言えば、朝の運動が最適となるでしょう。
最適な時間帯は「朝」。その理由は?
運動によって「BDNF」の分泌が増加すると、しばらくその効果が続くとされています。そして時間とともに少しずつその分泌量が減っていき、やがて通常モードに戻ります。朝の運動で記憶力がアップしているのですから、脳が活性化した状態で学校に行けば、授業の吸収度合いが違ってくるはずです。
運動することで身体が目覚めますから、寝ぼけたまま学校に行くなんていうこともありません。1日のスタートに運動というのは、理にかなったことではないでしょうか。
実際に“朝運動”を行ってみたときの体験談
実際、私は“朝運動スクール”という活動に取り組んでおり、そこでは自分の子どもにも定期的な“朝運動”を行わせています。早朝なので最初こそ眠そうにしていますが、どんどん目覚め、イキイキと学校に向かうようになりました。学校の先生からも、運動してから登校した日は集中してしっかり勉強できているようだと報告を受けたこともあります。
勉強は子どもの将来を考えるうえで大切なこと。朝の運動で脳を活性化させ、学校でたくさんの知識を吸収できるようになれば、「できた!」という成功体験も増え、勉強に楽しさを感じられるようになるのではないでしょうか。