AKB48佐藤朱「テニスで全国大会出場。あの瞬間はいまでも鮮明に」(前編)│新連載「アイドルと、スポーツと、青春と。#1」 (2/4)
——プロのレッスンはレベルが高いんですね。
コーチとふつうにラリーするだけで、息が上がっちゃうくらいきついですね。プロの打つボールは重いし伸びてくるので。ジュニアの子が打つものとはまったくの別物でした。しかも、疲れてちょっとでも打ち方が変わると「それは教えた打ち方じゃない!」って怒られるんです。
——なかでも一番大変だったのはどんな練習ですか?
カウンターを決める練習ですね。コートの端からスタートして、逆の端まで走ってからボールを打つのをひたすら続けるんですけど、人数が少ないときに限ってこのメニューをやるんです。すぐに自分の番が回ってきちゃうから、ほんとにきつくて…。疲れてくると、もっと活を入れられて。あれはつらかったですね。
——当時のことを思い出してしまったのか、ずっとつらそうな顔をしていましたよ(笑)。
本当ですか(笑)。あと、チャンスボールを狙う練習もきつかったですね。コーチとラリーをしながら甘い球を狙うメニューがあったんですけど、決めるまで終わらないんです。でも、今振り返ってみると、すごい大事な練習だったと思います。「絶対決めてやる!」って気持ちを身につけることができたので。試合でも長いラリーが続いてチャンスボールが来る……っていう展開があるんです。そういうときに「あの練習の状況と似てる!」と思って、確実に得点を決められた試合もたくさんありました。
——試合中にそんなことを考えられるんですね。
その瞬間に考えているわけではないと思うんですけど、「あ、これは絶対に決めなきゃ!」って本能的に感じるようになったんだと思います。チャンスボールが来るときって、ラリーの応酬で疲れてるからプレイしている側としては本当につらいんです。決まらないと精神的なダメージがあるし。でも、練習のおかげでチャンスボールが来たときの気持ちの持ち方が変わりましたね。メンタル的にとても鍛えられたと思います。
——佐藤さん自身は、どんなスタイルのテニスが得意なんですか?
フェイントや駆け引きが苦手で、ストローカータイプでした。いまは身長が170cmなんですけど、小さい頃から背が高くて、背の順ではいちばん後ろしか経験したことがないんです。
——フォアを打つとき、両手で打つスタイルですよね。いつから?
小さい頃からずっとです。子どもの頃って力が足りないから両手で始めることが多いんです。私は片手に変えるタイミングを逃しただけだったのもあるんですけど(笑)。でも、途中で持ち方は変えました。順手で持っていたのを変えて、右手を下にして。バックハンドでもそのまま打つようになりました。これは、教わっていた田口亮太コーチが現役時代は両手打ちだったので、そのスタイルに習って。可動域を広くして、遠心力を利用することで、インパクトを強くすることができました。