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50代、医師の場合。「マラソンにラッキーはない。タイムより、弱い自分に打ち勝つこと」┃連載「仕事とランの両立を目指して。#1」

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 トップアスリートの経験やアドバイスは参考になるものの、生活スタイルなどを考えると、「自分には合わない」と感じることは多いかもしれません。そこで本連載では、さまざまな職業に就きながらも、日々ランニングに取り組む一般ランナーにスポットを当て、走り始めたキッカケやトレーニング、時間の使い方などを聞いていきます。

 お話を伺ったのは、東京都葛飾区にある『吉田機司クリニック』院長の吉田明弘先生。医師という多忙な身でありながら、フルマラソンはサブ3.5、さらに100kmマラソンも複数の完走経験を持つランナーです。

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必死に取り組める“何か”を求めて出会ったランニング

 もともと小学生からゴルフに打ち込み、大学でも体育会で競技していたという吉田さん。38歳の頃にはサーフィンと出会い、ゴルフ以上にハマってしまったようです。それが、なぜランニングに打ち込むようになったのでしょうか。その背景には、父親としての思いがありました。

「ゴルフやサーフィンは楽しかったですよ。でも心の中で、それこそ死ぬほど一生懸命に頑張れる“何か”が欲しいという思いがありました。必死になって取り組み、そして、その姿を子どもたちに見せたかったんです。そんなとき、インターネットで目に入ってきたのが『NAHAマラソン』の募集でした。どうせやるなら、やっぱり未経験の競技がいいですよね。それで、さっそくエントリーしてみたんです」

 奥さまが沖縄出身ということ、また、ゴルフに取り組んでいたときもトレーニングで走る機会は多かったことから、なんとかなるだろうとエントリー。しかし実際に走ってみると、想像していたほど簡単ではなかったようです。

「とりあえずランニングウェアとシューズを購入し、自宅からクリニックまで1.3kmを走ってみました。しかし、なんと走りきれなかったんですよ。ペースはゆっくりなのに……。これはショックでしたね。そこから独学でトレーニングし、2007年のNAHAマラソンに出場しました」

 想像以上に走れない。市民ランナーの皆さんなら、同じような経験をお持ちの方は多いかもしれません。しかし、そこで落胆するのではなく、吉田さんはNAHAマラソンに向けて考え、努力しました。その結果、マラソンは吉田さんに大きな感動を与えてくれたと言います。

「中盤までは走れたものの、終盤は歩くといったレース展開。なんと、レース中に3回も涙してしまったんです。1回目はスタート直後、あまりに多くの応援に感動。そして中〜終盤では、とにかく痛みと辛さ、苦しさに泣きました。しかし最後、走りきったという達成感に涙が溢れ出てきたんです。結果は5時間を少し超えるタイムでしたが、すっかりハマりましたね」

 何か1つのことに集中すると、ほかのことができなくなるという吉田さん。すっかりマラソンの魅力に引き込まれたようです。これまで取り組んでいたゴルフやサーフィンを止め、マラソン1本に絞った活動がスタートしました。

限られた時間ではコンディションの維持が重要

 医師といえば、やはり多忙なイメージがあるでしょう。実際、吉田さんが院長を務める『吉田機司クリニック』は休診日が日曜のみ。また、診察時間は9時〜12時、13時30分〜17時となっています。さらに4人のお子さんがいらっしゃり、仕事後はご自宅で家事・育児にも積極的に関わられているとのこと。いったい、どうやってトレーニングしているのでしょうか。

「NAHAマラソンを完走後、偶然に見つけた『小出道場』に応募し、当選したんです。小出(義雄)監督から指導を受けられるなんて、素晴らしい機会ですよね。門下生として約3ヶ月、以後も監督とは時々コンタクトを取らせていただいています」

 名監督として知られる小出義雄さんから、直接指導を受けられる。ランナーなら、誰もが羨ましいと感じることでしょう。その際の門下生募集は、東京マラソンに出場するランナー限定だったとのこと。偶然にも同大会に当選されていた吉田さんですが、“引き”の強さを感じます。

 小出道場が終わった後は『club MY☆STAR』というランニングチームに所属。時間などの関係から練習会にはなかなか参加できないものの、代表である岩本能史さんの理論をもとに練習へ取り組み、記録を伸ばしていきました。

「現在、基本的に1時間半の昼休みを使って走っています。妻もランナーなので、一緒に走ることもありますよ。ただし時間が限られているので、量より質を重視。主にビルドアップ走を中心としながら、坂道ダッシュなども取り入れています。クリニックのすぐ近くにある江戸川河川敷が、いつものトレーニングコースです」

 初めてサブ4を達成したのは、2009年の『北海道マラソン』。そして現在、フルマラソンの自己ベストは3時間28分です。限られた中でも工夫してトレーニングを継続した結果、着実に記録を伸ばしてきた吉田さん。しかし走ること以上に、もっと大切なことがあるそうです。

「月間走行距離で言えば、レースが無い月だと100〜150kmです。あまり多くないでしょ?その代わり、常にコンディションを整え、良い状態で走れるようにしています。例えばサプリメント。L-グルタミンやオルニチン、医療用BCAA、あとはアリナミン注射することも。これによって疲労回復に努めています。栄養の摂り方に詳しいのは、医師という仕事の特権ですかね」

 実は吉田さん、ランニングを初めてすぐの頃、シンスプリントを痛めた経験をお持ちとのこと。その経験が、コンディションの大切さを考えさせるキッカケとなりました。

「怪我したとき、自分なりに原因などかなり調べました。シューズはソールの厚いものから薄いものに替え、インソールも作っています。そのお陰で、以降は大きな怪我なんて一切無縁ですね」

 ちなみに吉田さん、フルマラソンはOn『クラウドフラッシュ』、ウルトラマラソンではadidas『アディゼロジャパンブースト』を愛用しているとのこと。こうしたシューズも、いくつも試履した結果、自分に合ったものを見つけられたそうです。時間が限られているからこそ、怪我で無駄にしたくない。そうした思いが、トレーニング内容やアイテム選びへと繋がっているのでしょう。

「マラソンって、ラッキーのないスポーツだと思うんです。いくら走っても、結果が出ないことってたくさんあります。でも、やはり走らなければ結果には結びつかない。誰かとの競争ではなく、常に相手は自分自身なんですよね。タイムより、弱い自分に打ち勝つこと。これが、私にとって走ることの楽しさです」

 走っていると、さまざまな局面で弱い自分が見え隠れするもの。そんな自分に打ち勝つ先にこそ、吉田さんにとって最大の喜びがあるようです。

目指すは「サロマンブルー」

 ランニング歴10年を超える吉田さんは、果たして何を目指し走り続けているのか。最後に、これからの目標についてお話を伺いました。

「『club MY☆STAR』にはウルトラランナーが多く、私も刺激を受けました。いつか自分もウルトラマラソンを走ってみたい……その思いを実現させたのが、2011年に開催された『第26回サロマ湖100kmウルトラマラソン』です。実際に走ってみると、まさに“ウルトラ級”の感動が待っていましたね。今ではフルマラソンよりウルトラマラソンというほど、その素晴らしさに魅了されています。そんなサロマ湖100kmウルトラマラソンは、10回完走すると“サロマンブルー”と呼ばれ、専用のブルーゼッケンを付けられるんですよ。さらに足型を取り、そのプレートが残されます。この足型プレートを、ぜひ私も残したいんです」

 努力の結晶とも言える、サロマンブルーの足型プレート。このプレートを残し、子どもたちにも見て欲しいと言います。基本的には毎年この『サロマ湖100kmウルトラマラソン』をメインレースとし、そこに向けてトレーニングを重ねているという吉田さん。あと4回の完走で、その目標が達成されるそうです。

「もちろん、サロマ湖100kmウルトラマラソンには、出場を続けるだけの価値が他にもあります。雄大なサロマ湖の景色、そしてエイドの温かさ。どれも最高ですね。そしてウルトラマラソンは、走るたびに少しずつ強いランナーになれるような気がしています」

 いつまでも走り続けたい。そう思える大会との出会いは、ランナーにとって貴重なものではないでしょうか。その大会があるから、走り続けられる。だからこそ吉田さんは、医師という多忙な環境でも工夫しながら、工夫を惜しまずトレーニングに取り組まれています。強い目標を持つことは、ランニングを楽しむために欠かせない要素なのかもしれません。

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[プロフィール]
吉田明弘(よしだ・あきひろ)
1962年生まれ、東京都葛飾区出身。子どもの頃からゴルフを始め、大学卒業後まで継続。その後、サーフィンを経てランニングに出会う。小出義雄監督の門下生として指導を受けるほか、ランニングチーム『club MY☆STAR』に所属。フルマラソンでサブ3、100kmマラソンでもサブ12の記録を持つ。東京都葛飾区にある『吉田機司クリニック』院長

[筆者プロフィール]
三河賢文(みかわ・まさふみ)
“走る”フリーライターとして、スポーツ分野を中心とした取材・執筆・編集を実施。自身もマラソンやトライアスロン競技に取り組むほか、学生時代の競技経験を活かし、中学校の陸上部で技術指導も担う。またトレーニングサービス『WILD MOVE』を主宰し、子ども向けの運動教室、ランナー向けのパーソナルトレーニングなども行っている。3児の子持ち。ナレッジ・リンクス(株)代表
【HP】http://www.run-writer.com

<Text & Photo:三河賢文>

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