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1521kmの本州縦断レースを約467時間で一気に完走。その偉業にチャレンジした理由とは (2/2)

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「私の住んでいる高知県は、お世辞にもアクセス環境に恵まれた場所とは言えません。青森から山口の下関まで走るのに、何往復もするのではお金がもったいないじゃないですか。そこで、どうせなら一気に走り通してしまおうと思ったんですよ。もともとショートスリーパーで短時間睡眠は慣れていましたし、故障も多くありません。そして、ラスト100〜150kmはペースを上げられるので、これらが自分にとっての強みだと考えました。その強みを活かせるのが、荷物を全て背負い、止まらずに走るという方法だったんです」

 ご自身の中で、だいたい480時間(=20日間)あれば走れるという自信があったという村場さん。仕事は約20日休みを取り、通しでの出場を決めました。その裏には、いつでも休めるという環境をなくし、レースに緊張感を持たせるという意味合いもあったようです。

「レース前には夜の睡眠時間を少しずつ減らし、普段から3〜4時間睡眠で活動するようにしました。また、コンスタントに月500kmくらい走りましたね。通勤ランをメインにしながら、休みの日は50〜60km走る。たまにオーバーナイトでもトレーニングしました。レース中に背負ったバックパックは7〜8kg。雨対策やエイドキット、着替えなど、必要最低限のものだけです」

 考えうる限りの準備を行い、満を持して挑んだ「本州縦断・青森~下関1521kmフットレース」。結果、約467時間でゴールとなり、このタイムは歴代3位の記録です。

人との出会い、支えが繋いだレース走破

 1521kmという果てしないレース。きっと道中には、さまざまなトラブルがあったことでしょう。当時の出来事や走り終えての感想を、詳しく伺いました。

「レース中には左前脛が痛くなったり、寝袋で寝ていた際に熱が出たりしました。熱が出た際は市販薬で解熱したのですが、いつも薬を飲まないためか効きましたね。あと驚いたのが、走っている最中、いきなり大きなイノシシが出てきたんですよ。走り過ぎていきましたが、当たりそうになって危なかったですね。本当に焦りました。あとは福井県から京都府に入る際、路肩のない崖沿いを進んでいたらトレーラーとすれ違い、バックパックが引っかかるという事態も。トレーラーが気付いて大事には至りませんでしたが、あのときは私も寝不足と集中力の低下、またペースが落ちて焦っていたタイミングで、命の危険を感じましたよ。コースレコードを出せなかったことが悔しいものの、ゴール後は、もうこれで走らなくて良い……という安堵感が強かったです」

 走る場所は大きな道路沿いばかりとは限りませんし、オーバーナイトランでは転倒・衝突などの可能性が増します。また、何百時間にも及ぶランニングでは、当然ながら体調を維持することさえ難しいでしょう。村場さんも走り続ける中で、さまざまな危険に遭遇したようです。しかし、それでもゴールまでたどり着いた村場さん。その背景には、多くの人々との出会いと支えがあったと言います。

「いろんな方が応援に来てくれました。知らない方が私設エイドを出してくれたり、わざわざ金沢から応援に駆けつけてくれたり。千葉から新潟まで車で応援に来てくれる方や、広島から併走してくれた方もいたんですよ。本当にうれしかったですね。レース中、大きな支えになりました」

 そのほか、車から乗っていかないかと声を掛けられたり、飲食店でおかわりのご飯を無料にしてくれたり。「これでメシを食え」と言って、1000円札を手渡してきたトラックドライバーもいたそうです。人との触れ合いは、村場さんがレースを走破するうえで欠かせないものだったと言えるでしょう。

 なお、道中はさまざまな景色との出会いもあり、特に新潟から福井にかけては、本当に日本にいるのか疑いたくなるような光景が目に飛び込んできたそうです。また、日本海側の東北地方を訪れたのも初めてのこと。さまざまな意味で、「本州縦断・青森~下関1521kmフットレース」は忘れられない人生経験になったのではないでしょうか。その世界を体験してみたいという方は、ぜひレースへの参加を検討してみてください。

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[プロフィール]
村場伸也(むらば・しんや)
1971年生まれ、大阪府出身、高知県在住。小学4年生から社会人2年目までは、短距離(100m/幅跳び)選手として活躍する。その後、2007年よりランニングを始め、ウルトラマラソンを中心にさまざまな超長距離レースへ挑戦。2017年に「本州縦断・青森~下関1521kmフットレース」を走破。現在は高知県内のフィットネスジムでトレーナーとして活動中。

[筆者プロフィール]
三河賢文(みかわ・まさふみ)
“走る”フリーライターとして、スポーツ分野を中心とした取材・執筆・編集を実施。自身もマラソンやトライアスロン競技に取り組むほか、学生時代の競技経験を活かし、中学校の陸上部で技術指導も担う。またトレーニングサービス『WILD MOVE』を主宰し、子ども向けの運動教室、ランナー向けのパーソナルトレーニングなども行っている。3児の子持ち。ナレッジ・リンクス(株)代表。
【HP】http://www.run-writer.com

<Text&Photo:三河賢文>

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