ありそうでなかった!プロジェクションマッピングで体を動かしながら遊ぶ「エアホッケー」│特集:SPORTEC 2018 #2
7月25日から27日までの3日間、東京ビッグサイトでは日本最大級のスポーツ・健康産業総合展示会「SPORTEC 2018」が開催されました。会場には次世代のスポーツエンターテインメントも勢ぞろい。話題のプロジェクションマッピングの技術を応用したバーチャルな“エアホッケー”のゲームが注目されていました。
・去年の様子はこちら:SPORTEC 2017特集
・今年の様子はこちら:SPORTEC 2018特集 NEW!
テクノロジーを駆使したコンテンツ制作
プロジェクションマッピングと言えば、いまテーマパークや公共施設の建造物を巨大なキャンパスに見立てて、ストーリー仕立ての映像などを投射して華やかなエンターテインメントを楽しませる人気急上昇のアトラクションです。今回スポルテックに出展したラディックスのトロン事業部は、プロジェクションマッピングを含むVRやAR、アニメーションや3DCGなど幅広いコンテンツ制作に携わるプロフェッショナル集団です。
▲天井に2台のプロジェクターを吊った状態で映像を床面に投射します
▲脚の動きを検知するセンサーは2台配置しています
同社がブースに出展した「サイバースタジアム」は、センサーの技術とプロジェクションマッピングを掛け合わせた次世代の体験型アトラクションのプラットフォーム。ラディックスは国内の名城やスカイツリーなどをキャンパスにした大規模なプロジェクションマッピングにも実績を持つコンテンツクリエイターですが、プロジェクターとパソコン、センサーにスピーカーなどプロジェクションマッピングを実現するために必要なコンテンツ制作から演出、イベントのプランニングまで一貫したプラットフォームとして提供するノウハウを持っていることを強みとしています。
そのサイバースタジアムの第1弾として制作したプロジェクションマッピングのゲームはすでにドバイ(アラブ首長国連邦)など海外で採用されて話題を呼び、このたび日本でもパートナーを募るためにスポルテックへの参加を決定したそうです。
会場に出展されていたのは6m四方の床面に、天井に吊るした2台のプロジェクターで映像を映し出す対戦型エアホッケーのようなゲーム「Cyber Hockey」です。ルールはテーブルタイプのエアホッケーと一緒でとてもシンプル。“パック“を相手よりも先に多くゴールに放り込んだ方の勝ち。全身を動かすエクササイズとして没入できるゲームです。
プレーヤーの足の動きは床面に近い場所に設置された2台のセンサーがトラッキングします。プレー人数は片側コートに3人ずつ最大6人まで並ぶことができますが、同社の担当者によると「プレー範囲を広げて、センサーを設置すれば何人でも遊べる」とのこと。床面に映し出されるパックが、プレーヤーが差し出した足の動きにすばやく、正確に反応する様子を見ていると、まるで本物のパックが床を滑っているようなリアリティでした。来場者がゲームにのめり込む様子を、ブースに訪れた多くの来場者が取り巻きながら賑わっていました。
プロジェクションマッピングとの相性の良さ
▲足し算クイズのゲーム「Cyber Monjya」
スポルテックに出展したことで、スポーツジムやトレーニング施設などから多くの引き合いがラディックスに寄せられているそうです。同社では例えばエアホッケーの他にも、画面の片側方向から“降ってくる”数字を足でタップして正解を選択するクイズタイプのゲーム「Cyber Monjya」や、いわゆる“音ゲー”と呼ばれるリズムゲーム「Cyber Rhytm」などのコンテンツもすでに開発を完了。「プロジェクションマッピングは体を動かしながら楽しめるアクティブなコンテンツの制作に相性の良いエンターテインメントです。アイデアを工夫すれば座ったままでも楽しめるゲームも作れるので、例えば介護施設でもご活用いただけると思います」とスタッフが説明していました。
▲音楽に合わせて迫ってくる音符を脚で蹴る“音ゲー”「Cyber Rythm」
ただ、一方でプロジェクションマッピングのコンテンツを楽しむためにはある程度広いスペースや、プロジェクターにセンサーなど導入必須のアイテムがあります。必然的に費用もかかるため、当面はエンターテインメント施設やトレーニングジムなどBtoB向けの展開の中心になるものと思われます。
ただ、もし将来によりコンパクトなサイズのプロジェクターやセンサー機器でもプロジェクションマッピング的なことが可能になって、導入しやすいパッケージ商品も出てくれば、個人が自宅で体を動かしながら楽しめるエクササイズもプロジェクションマッピングで実現できるかもしれません。来年ごろにはスポルテックの会場を沢山のプロジェクションマッピングによるコンテンツが埋め尽くすなんてこともあるのでは?
<Text & Photo:山本敦>