腹筋トレーニング、1日何回がもっとも効果的?トレーナーの意見とは (2/3)
シットアップやクランチは体に悪いのか
皆さんは腹筋を鍛えるために、どんなエクササイズを行っているでしょうか。
多くの人は、シットアップやクランチを行っているものと思います。しかし、これらのトレーニングに警笛を鳴らしている人たちもいるのです。
シットアップやクランチが危険であると広まったのは、カナダ・ウォータールー大学のスチュアート・マックギル教授が発表した研究(※)がきっかけです。
研究では、シットアップを繰り返し行うことによって、椎間板に大きなストレスがかかる危険性があるという結果が報告されました。
それを受け、体力測定として腹筋運動を採用していたアメリカ陸軍は、腹筋運動が腰部のストレスを増大させ、椎間板ヘルニアなどの原因になるとして体力測定から除外。
日本バスケットボール協会も、昔から行われているシットアップが腰痛の原因になるとして、推奨できないと情報を発信しています。
(※)参考 The man who wants to kill crunches : The man who wants to kill crunches - Health - Macleans.ca
シットアップやクランチ自体が悪いわけではない
しかし、シットアップやクランチをやってはいけないということではありません。
注意すべきは、何百回も繰り返し行ったり、速い動作を意識しすぎてフォームをおろそかにするやり方が問題なのです。
昔よく取り組まれていた、膝を伸ばしたまま足首を押さえて行う腹筋運動や、足首を押さえたまま行うシットアップは、腹筋よりも股関節の周囲にある「腸腰筋」や、太ももの前側の筋肉である「大腿四頭筋」をより強く刺激してしまいます。
腸腰筋や大腿四頭筋にストレスがかかり、緊張が強くなると腰痛を引き起こしますので、そのようなやり方でシットアップやクランチを行うことは控えましょう。
腹筋運動で鍛えられる筋肉はどこ?
ところで腹筋というワードを何度も使ってきましたが、腹筋は腹部にある筋肉の総称であり、特定の筋肉名ではありません。
腹筋群のそれぞれの名称として、以下が挙げられます。
- 腹部の中央にありシックスパックと呼ばれる部分の筋肉である「腹直筋(ふくちょくきん)」
- 腹直筋の両脇にありウエスト部分を構成している「外腹斜筋(がいふくしゃきん)」
- 腹斜筋の深部にある「内腹斜筋(ないふくしゃきん)」
- お腹をコルセットのようにぐるりと囲っている「腹横筋(ふくおうきん)」
鍛えたい腹筋部位によって筋トレメニューを変えよう
腹筋運動も、種目によって刺激が入りやすい筋肉が異なってきます。そのため、目的の筋肉を鍛えるためにどのエクササイズをすればよいか選ぶ必要があります。
直線的な腹部の屈曲伸展であれば腹直筋、捻りを加えたものであれば外腹斜筋・内腹斜筋。お腹をグッと凹ませるようなエクササイズは、おもに腹横筋が刺激されます。
自分が行っているエクササイズがどこを刺激しているか意識しながら取り組んでみましょう。これを「意識性の原則」と言います。