競泳選手に必要な陸トレとは?北島康介を支えた3人の名トレーナーが集結した特別セミナー(田村尚之・桑井太陽編) (4/4)
コンディショニングの評価と実施
「バーを身体の上に挙げて、身体の伸張幅を確認する胸郭ストレッチ。バーを身体全体で回転させ前・後・左右回旋差を確認する胸郭回復です。静止画や動画で、身体がどこまで動いているのか確認してください」(桑井さん)
「次は、肩関節外旋ストレッチです。普段行っているストレッチは、内旋が多く外旋が少ないんです。内旋は泳ぐ動作と直結しますが、その逆をやりたいんです。そこでバーを使ってクルクル回していきます」(桑井さん)
肩関節外旋ストレッチは、バーを人差し指や中指で軽く引っかけ、腕を後ろに倒す動作でしたが、意識しないと動かない関節を使うためか、みなさん上手く回せず苦労していました。続いてバーを掲げたまましゃがみ腕が後ろに倒れているかを確認する「じゃがみ挙上」や、バーを担いで背中と心窩部(しんかぶ/みぞおちの辺り)を意識しながら水平に回旋させる「胸郭水平回旋」。バーを使って腕で水をかく動作を再現する「シャドーストローク」などを実践していきました。
「最後に、みなさんが疑問に思う点。説明した動作をどの順番でどの程度やると幅が広がるのかです。残念ながら確実的なものはありません。本日撮影した写真や動画をみて、動きが悪くなるポイントや角度などを確認してください。これで悪いポイントがわかります。関節の動きを悪くする原因は2つあります。1つは、肩甲骨上腕関節の固さです。これは外旋させることで解消することができます。もう1つは、回旋で意識した背中です。背中なのか心窩部なのかで強化する筋肉が変わります。あとは肩の位置。私の経験則ですが、体幹強化をがんばっているんだけど、あまりストロークに活きてこない選手は、肩が上手く下がっていないケースだと考えられます」(桑井さん)
関節の可動域を自分で確認する方法や意味、シャドーストロークなどを陸上で再現する意味などを解説してセミナーは終了しました。
参加者が競泳コーチ・マスターズスイマー・トレーナー・理学療法士など専門的かつ実践情報が欲しい方向けに組まれたプログラムだけあり、3時間にも及ぶセミナーに集中している姿が印象的でした。さらに終了後の質疑応答では、参加者の熱量の高い質問に3人の講師が、真摯に回答する時間が約20分も続いたほどです。もちろん最後は、代表の北島さんも参加しての記念撮影。各々自分の場所に戻り、学んだ内容を実践し教えていくことで、競泳という競技が発展するんだと実感することができるセミナーでした。
▼前編はこちら
競泳選手に必要な陸トレとは?北島康介を支えた3人の名トレーナーが集結した特別セミナー(小泉圭介編) | トレーニング×スポーツ『MELOS』
【Perform Better Japan】https://www.performbetter.jp
<Text:松田政紀(アート・サプライ)/Photo:小島マサヒロ>