
腹筋を割りたいならコレ!ケーブルクランチの効果と正しいやり方
腹筋をしっかり割りたいなら、体幹の強化だけではなく「腹直筋をピンポイントで鍛える種目」が必要です。その代表格がケーブルクランチ。スポーツ整形外科医・樋口直彦先生監修のもと、正しいやり方や効果、注意点まで詳しく解説します。
ケーブルクランチで鍛えられる筋肉と効果
ケーブルクランチは主に腹直筋に効かせるマシンを使ったトレーニングです。特に「盛り上がったシックスパック」を目指す人におすすめです。
腹直筋をピンポイントで刺激できる種目
ケーブルクランチで主に鍛えられるのは、「腹直筋(ふくちょくきん)」という筋肉です。腹直筋はお腹の正面を縦に走る筋肉で、いわゆる「シックスパック」を形づくる部位です。この筋肉をしっかり収縮させて刺激を与えることで、凹凸のある腹筋を作ることができます。
特にケーブルクランチでは、腹直筋の中でも上部から中部にかけて強く効かせることができるのが特徴です。自重のクランチと比べて、よりはっきりとした収縮感が得られやすく、筋肉に強い刺激を与えることができます。
ケーブルならではの負荷が筋肥大に効果的
ケーブルマシンの特徴は、動作中ずっと筋肉にテンション(負荷)がかかり続けることです。たとえば自重のクランチでは、動作の途中で負荷が抜けてしまうこともありますが、ケーブルクランチではそれが起こりにくくなります。
このため、筋肉に持続的な刺激を与えることができ、腹直筋の筋肥大(=厚みを出す)につながりやすいというメリットがあります。シックスパックをはっきりと浮かび上がらせたい人にとっては、非常に有効なトレーニングです。
腹斜筋にも自然と刺激が入る
ケーブルクランチのメインターゲットは腹直筋ですが、補助的に腹斜筋(お腹の横の筋肉)も使われます。動作中の姿勢を安定させたり、左右に体がブレないようにコントロールするために、体幹の横側の筋肉も働くのです。
そのため、腹斜筋を直接狙う種目ではないものの、体幹全体の安定性を養う効果も期待できます。美しい腹筋ラインを作りたい人にとっては、この点も大きなメリットといえます。
ケーブルクランチの正しいやり方
ジム初心者でも実践できるように、ケーブルクランチの基本的なフォームと手順を解説します。
正しいフォームと手順
1.ケーブルマシンにロープアタッチメントをセットし、一番高い位置に設定する
2.ロープを両手で握り、頭の上に持ってくる
3.マシンの正面に膝をつき、足を肩幅に開く
4.腹筋を意識しながら、背中を丸めるようにして、肘を膝に向かって引き寄せる(おへそをのぞき込むようなイメージで)
5.腹筋が最大限収縮した位置で1秒間キープ
6.ゆっくりと元の姿勢に戻す
10〜15回を目安に、ゆっくり丁寧に動作しましょう。
呼吸とリズム
・引き寄せるときに息を吐き、腹圧を抜くように腹筋に力を入れる
・戻るときに、息を吸う。リズムを安定させる
・1回3秒程度のテンポが理想
よくあるNG例
・腰を曲げず、ただ体を倒してしまう
・首から曲げてしまい、腹筋に刺激が入らない
・呼吸を止めて力みすぎてしまう
効果を最大化するフォームと意識するコツ
フォームの理解に加えて、以下のような細かい意識が「効かせる感覚」を格段に高めてくれます。
・腰ではなく「みぞおち」を丸める意識で引く
・重量を上げすぎない(腹直筋の収縮が逃げる)
・ボトムで1秒止めて、ギュッと力を入れる
・ロープを引くより「腹で丸まる」ことに集中
・ケーブルとの距離を調整してテンションを維持する
重さや動作回数より、「腹筋を使って体を丸める感覚」を優先しましょう。
目的別|おすすめの重量と回数設定
筋トレの目的によって、適切な回数と負荷は異なります。
目的 | 回数 | 重量の目安 | セット数 | インターバル |
筋肥大 | 8〜12回 | 高め(限界重量) | 3〜5セット | 1〜3分 |
引き締め・脂肪燃焼 | 15〜20回 | 中〜軽め | 3〜4セット | 30秒〜1分 |
腹筋は回復が早い部位なので、週3回程度を目安に継続しましょう。
ケーブルクランチに関するよくある質問(Q&A)
Q. ケーブルクランチで首や腰が痛くなるのはなぜ?
首を下げすぎたり、腰で引いてしまうのが主な原因です。みぞおちを中心に丸めるように意識すると腹筋に効きやすく、他の部位の負担を減らせます。
Q. 重量はどれくらいから始めればいい?
まずは15回で限界になる程度の軽中量:10kg前後で始めましょう。慣れてきたら、筋肥大目的なら徐々に重量を上げていきます。
Q. 週に何回やれば効果が出る?
初心者は週2〜3回を目安に、1日おきに行うのがおすすめです。連日やりすぎると、回復が追いつかず効率が落ちます。
自宅で代用するなら?ケーブルクランチの代替メニュー
ケーブルマシンが使えない場合でも、代替できる種目があります。
チューブクランチ
チューブを柱などに結び、ロープ代わりに使う方法です。伸縮性があるのでフォームも再現しやすく、手軽に取り組めます。
ダンベルクランチ
胸にダンベルを抱えて、通常のクランチを行う方法。収縮の強度は落ちますが、手軽に負荷を追加できます。腰や首に違和感がある人は、タオルを背中に挟むなどの工夫をしましょう。
飽きずに追い込めるケーブルクランチのバリエーション
刺激に慣れてきたら、以下のバリエーションで筋肉に新しい刺激を与えましょう。
スタンディングケーブルクランチ:立位で行うことで体幹のバランス力も向上します。
シーテッドケーブルクランチ:椅子に座ることで安定性を確保します。
ケーブルアブツイスト:斜め方向へ収縮することで、腹斜筋にも刺激が入ります。
ケーブルサイドベント:脇腹を引き締めるのに最適な横方向のトレーニングです。
監修者プロフィール
なか整形外科京都西院リハビリテーションクリニック
樋口 直彦 先生
帝京大学医学部卒業後、いくつかの病院で勤務し、院長を経験後、2021年1月に医療法人藍整会 なか整形外科の理事長に就任。バレーボールVリーグ「サントリーサンバーズ」のチームドクターも務める。骨折治療をはじめ関節外科、スポーツ整形外科を専門に治療。
<Edit:編集部>