
「毎日スクワットすれば痩せる?他にどんな効果があるの?」その疑問、今こそ解決します!
下半身を鍛える王道トレーニングといえば、やっぱり「スクワット」。ジムに通わずとも自宅で手軽にできて、筋トレ初心者から上級者まで取り入れている人気メニューです。
でも、「毎日続けたら、どんな効果があるの?」「何回やれば痩せるの?」「そもそもスクワットってダイエットに効くの?」──そんな疑問に、今回はプロのトレーナーがズバリお答えします。
毎日スクワットをすると、どんな効果が期待できる?
自重スクワットを毎日続けることで、ダイエット・体型改善・健康維持のすべてに大きな効果が期待できる。そう語るのは、パーソナルトレーナーの深澤 智也さん。
数々のトレーナー資格を持ち、海上自衛隊で10年従事した経験を持つ、トレーニングのプロです。
監修者プロフィール
パーソナルトレーナー・深澤 智也(フカサワ トモヤ)
■経歴
2010〜2020年 海上自衛隊
2020年 2ndPASS(パーソナルトレーナースクール)卒業
2021〜2022年 仙台市キックボクシングジム所属(ボディメイクトレーナー)
2022年〜現在 パーソナルトレーニングジム 9INE-GYM設立
■保有資格
NESTA-PFT(全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会)
NESTA-FAS(ファンクショナルアナトミースペシャリスト)
CBMS(認定ファンクショナルボディメイクスペシャリスト)
KUBIRE ARTIST
普通救命講習終了
■コンテスト歴
自衛隊プレミアムボディ2019 ファイナリスト
ベストボディジャパン2021日本大会 TOP10入り
マッスルゲート仙台2025 メンズフィジーク新人 優勝
マッスルゲート仙台2025 メンズフィジーク一般 3位
深澤さん:下半身には全身の約6割の筋肉が集まっていて、毎日刺激することで基礎代謝が高まり、痩せやすく太りにくい体質づくりにつながります。
さらに、継続することで立ち座り・階段昇降などの日常動作の向上、下半身の引き締め、むくみ解消、腰痛予防にも有効であり、見た目の変化や身体の機能改善も得られやすくなります。
一方で、ダンベルやバーベルを担ぐような高負荷スクワットを毎日続けると、筋肉の回復が追いつかず逆効果になることもあります。毎日行うなら、自重で正しいフォームを意識するのが安全で効果的です。
くわしく見ていこう! 「毎日スクワット」の効果とは
スクワットは単に脚を鍛えるだけでなく、基礎代謝の上昇やスタイル改善、健康面へのメリットまで多方面に作用します。特に注目すべき効果を解説します。
基礎代謝が上がり痩せやすい体質に
スクワットは体全体の約6割の下半身の大きな筋肉を刺激するため、基礎代謝を上げやすい運動です(*)。
基礎代謝が上がると、日常生活のちょっとした動きでもエネルギー消費が増えるため、自然と「痩せやすく太りにくい体」に近づいていきます。
ただし効果を実感するには、正しいフォームで継続することが大前提。毎日のトレーニングで成果を出すために、まずは正しいやり方を身につけましょう。
▶スクワットの正しいフォームとやり方
\動画で見るならコレ/
*e-ヘルスネット「筋肉量と基礎代謝」(厚生労働省)
有酸素運動並みの消費カロリーに
研究では、1セットで20〜30回ほどで限界になるような中程度以上の強度でスクワットを行った場合、有酸素運動に匹敵するエネルギー消費が報告されています(*血流制限を伴うものや高負荷条件での研究)。
たとえば、体重60kgの人が中程度以上の強度(6〜8MET)で5分スクワットをすると、約40〜60kcalを消費します。
これはジョギング7〜9分程度に匹敵します。この強度を意識して続ければ、単なる筋トレにとどまらず、脂肪燃焼や持久力アップといった有酸素運動に近い効果も得られます。
*Garcia-Sillero et al., J. Clin. Med., 2023、Hu et al., J. Sports Sci. Med., 2025
血流改善・むくみ解消・冷え改善に有効
スクワットには下半身の血流を促す働きがあり、むくみや冷えの改善に役立つ可能性が示されています(*実験条件は短期・限定的)。血液の巡りがよくなると、脚のだるさが軽くなったり、体が温まりやすくなるメリットがあります。
特にデスクワーク中心で長時間座りっぱなしの方にとっては、立ち上がってスクワットを数回行うだけでも手軽なリフレッシュになります。
骨密度を保ち、テストステロンが増え、筋肉がつきやすくなる
骨密度維持やテストステロン分泌の促進については、中高年男性を対象にした研究で関連性が示されています(*)。
骨密度が保たれると骨折や骨粗しょう症のリスクを減らせるほか、テストステロンが増えることで筋肉がつきやすくなり、代謝や活力アップにもつながると考えられています。
対象は中高年男性の研究が中心のため、誰にでも同じ効果が得られるわけではありません。ただし、特に40代以降の男性にとってはプラス要素になりやすく、女性でも骨粗しょう症予防という観点からメリットがあります。
*Wu et al., J. Orthop. Surg. Res., 2021、Yeap et al., J. Clin. Med., 2021
「スクワットは痩せる」の? ダイエット効果はどのくらいあるのか
スクワットは「痩せるための筋トレ」として代表的ですが、実際に他の種目と比べて効率はどうなのでしょうか。理学療法士・パーソナルトレーナーの安藤 瑞樹さん監修のもと見ていきましょう。
監修者プロフィール
理学療法士・パーソナルトレーナー 安藤 瑞樹
総合病院で約7年間、理学療法士として、スポーツ・一般整形のリハビリに従事。独立後約4年間、パーソナルトレーナーとして勤務。2021年にパーソナルトレーニングジムJuntosをオープン。現在、パーソナルトレーナーの他、高校サッカー部のトレーナーとしても活動中。パーソナルトレーニングジムJuntos https://www.juntos2021.com/
消費カロリーで考えた場合、スクワットは。筋トレの中ではもっとも効率的にカロリーを消費できる種目といえます。
国立健康・栄養研究所のMETs表をもとに、体重60kgの人が3分間行った場合の消費カロリーを比べてみましょう。
消費カロリー (3分間・体重60kg) |
特徴・効果 | |
スクワット | 約16kcal | 下半身の大きな筋肉を一度に刺激。消費カロリーが大きく、基礎代謝アップにも直結 |
ランジ | 約15kcal | スクワットのバリエーション種目。片脚ずつ行うため消費カロリーはスクワットよりやや低いが、バランス力を養える |
腕立て伏せ | 約12kcal | 上半身中心のトレーニング。引き締め効果はあるが、消費量はやや少なめ |
腹筋運動 | 約12kcal | 体幹を刺激してお腹の引き締めに有効。ただし筋肉が小さいため消費カロリーは低い |
さらにスクワットは、継続することで基礎代謝を高める効果も期待できるため、筋トレの中でも痩せる目的に直結しやすい種目です。
では、有酸素運動と比べた場合はどうなのでしょうか。
消費カロリー (3分間・体重60kg) |
消費カロリー (30分間・体重60kg) |
|
スクワット | 約16kcal | 約160kcal |
ウォーキング(やや速歩) | 約12kcal | 約120kcal |
ジョギング | 約21kcal | 約210kcal |
3分換算ではスクワットが筋トレの中でも効率的で、消費量はジョギングに迫ります。
30分スクワットは厳しい
ただし「スクワットを30分続ける」のは非現実的。実際はセットごとに休憩を挟むので、この数値はあくまで理論上の目安です。
スクワットは「短時間で効率よく消費」、有酸素運動は「長時間でまとまった消費」と考えるとわかりやすいでしょう。
また、スクワットは短時間で大筋群を刺激して「基礎代謝を上げる」点が強みと言えます。
スクワットは1日何回やれば痩せる?
ダイエット目的なら「10〜15回 × 3セット」が基本です。
これは厚生労働省のレジスタンス運動ガイドラインでも推奨されている「10〜15回がギリギリできる負荷」で行う原則に沿っています。
自重スクワットなら毎日やってもOKです。太ももやお尻の筋肉は大きいため回復力も高く、軽い負荷であればオーバートレーニングになる心配は少ないからです。
ただし筋肉痛のときはお休みしましょう。
スクワットに腹筋を割る効果はある?
下半身の筋力強化のみならず、腹筋まで割れちゃうという話も耳にします。スポーツドクター・樋口 直彦先生に聞きました。
監修者プロフィール
なか整形外科京都西院リハビリテーションクリニック
院長 樋口 直彦 先生
帝京大学医学部卒業後、いくつかの病院で勤務し、院長を経験後、2021年1月に医療法人藍整会 なか整形外科の理事長に就任。バレーボールVリーグ「サントリーサンバーズ」のチームドクターも務める。骨折治療をはじめ関節外科、スポーツ整形外科を専門に治療。
樋口先生:腹筋を割るには、『お腹の上にある脂肪を落とすこと』と『腹筋を鍛えてラインを際立たせること』の両方が必要です。
太もものような大きな筋肉を使うスクワットは、効率的に脂肪を燃やし、筋肉量を増やして基礎代謝を高めるため、腹筋を割りたい人にとっては有効なトレーニング種目のひとつと言えます。
スクワットは下半身のトレーニングというイメージが強いですが、実際には腹筋にも大きな刺激が入ります。
スクワットでは、背中をまっすぐに保ち、姿勢を崩さないようにするために腹筋や背筋が働きます。
とくに、腹直筋や腹斜筋に加えてインナーマッスルである腹横筋も動員されるため、体幹全体を自然と鍛えることができます。
これにより、スクワットは脚のトレーニングでありながら、腹筋にも効果が及ぶのです。
また、先述の通り、腹筋を割るためには、筋肉を鍛えるだけでなく体脂肪を減らすことが不可欠です。
スクワットで下半身の大きな筋肉を鍛えると、筋肉量が増えて基礎代謝が向上します。基礎代謝が上がることで1日の消費エネルギー量が増え、太りにくく痩せやすい体質に近づきます。
結果としてお腹の脂肪も落ちやすくなり、腹筋が浮き出やすくなる効果は期待できます。
スクワットの効果をきちんと得るには、正しいやり方がマスト。ここからは、スクワットの正しいフォームとやり方を写真と動画で解説していきます。
スクワットの正しいフォームとやり方
1.足を腰幅に開き、つま先は膝と同じ向きにする
2.お尻を後ろへ突き出すように、股関節から折り曲げる
3.太ももが床と平行になるまで下ろしたら、ゆっくりと元の姿勢に戻る
肩甲骨を寄せて下げ、自然な背筋を保ちます。膝がつま先よりも前に出ないよう注意!
トレーニング指導
鳥光健仁(とりみつ・たけのり)
フィットネスランニングトレーナー。1991年生まれ、千葉県出身。出張パーソナルトレーナー、SUUNTO 5 アンバサダー、VX4アドバイザリー、(株)BOOSTマネジメント契約、HOKA ONE ONE サポート。
(株)BOOST(https://boost-inc.jp/)マネジメント契約、故障せずに年間7000kmを走破する男を合言葉に、積極的にランニングを行っている。
出演者プロフィール
MIHO(みほ)
市民アスリート。トライアスロン、トレイルランニング、マラソン、スパルタンレース、筋トレが大好き。フルマラソン自己ベストは3時間0分18秒。1児の母。
■ Instagramアカウント → @mip0000
<Edit:MELOS編集部>