フィットネス
2020年9月9日

ランナーにおすすめの筋トレ「スクワット」。目的別のやり方、トレーニングメニュー例を解説

 ランニングは優れた有酸素運動です。ダイエットで痩せたい人や健康になりたい人、運動能力を高めたい人、基礎体力をつけたい人など、誰にとってもおすすめといえるでしょう。

 それだけに、多くのランナーが走る“だけ”のトレーニングに陥ってしまい、走力の向上が頭打ちになったり、足や膝に痛みを覚え、故障してしまうケースが多々見られます。ランニングはよい運動かもしれませんが、唯一の運動であってはなりません。ランナーがするべき筋トレをひとつだけ選ぶとしたら、私は自信を持って「スクワット」をおすすめします。

 ランナーの目的やレベルはさまざまです。しかし、どのランナーにとってもスクワットはメリットがある筋トレです。ここでは初心者・長距離ランナー・スプリンターの3つに分けて、スクワットのやり方やトレーニングメニュー例をご紹介します。

スクワットを行うときの共通チェックポイント

 自重で行うかバーベルを担ぐかに関わらず、スクワットを行う際には、以下のポイントをチェックしましょう。

☑ 両足は肩幅まで広げる
☑ お尻を後方に突き出し、次に下げる
☑ お尻が膝より低くなるまでしゃがむ
☑ 背筋の自然なカーブを維持する
☑ かかとは常に地面に着ける
☑ 両膝をやや外側に開く
☑ 立ち上がるときは膝と腰を完全に伸ばして直立する

ランニング初心者がスクワットを行う場合

週に2~3回、基本の15回×3セットから

 ランニングを始めたばかり、あるいはそれほど距離やスピードにこだわらずダイエットや健康を目的とするランナーなら、器具を使わない自重スクワットが最適です。上記チェックポイントに留意しつつ、週に2~3回ほど自重スクワットを行ってみましょう。無理なくこなせるだけの回数で構いません。

 走るだけでは鍛えることが難しい体幹と足の筋力が身につくので、ランニングの蓄積疲労による故障の予防にも繋がります。また、正しく行えば、体幹から下半身の柔軟性と安定性を高めることも可能です。

関連記事:はじめての自重スクワット、まずはこのフォームから│ライザップトレーナー直伝!自宅筋トレ

長距離ランナーがスクワットを行う場合

 当たり前のことですが、長距離ランナーは練習でもレースでも長い距離を長時間かけて走ります。走る動作を数えきれないほど繰り返すことによって、筋肉や関節、靭帯に大きな負担が蓄積されていくのです。

 とくにランニングフォームに問題があるランナーは、走れば走るほど足の筋肉が不均衡になりがち。多くの場合において、そのことが膝周辺の故障に繋がってしまいます。スクワットは膝周辺の筋肉を強化するとともに、不均衡を正し、バランスのよい安定した関節づくりに役立ちます。結果として、故障の予防やリハビリに大きな効果が期待できるでしょう。

関連記事:筋トレ効果がイマイチなのは「筋力の左右差」が原因かも。直し方をトレーナーが解説

レース終盤で姿勢が崩れる問題もスクワットが役立つ

 また、レースの終盤になって姿勢が崩れてしまうランナーは、大腿四頭筋と体幹のどちらか、あるいは両方が弱いことがおもな原因と考えられます。その点、スクワットは大腿四頭筋と体幹の両方を同時に鍛えることができます。

低重量・高回数で行う

 長距離ランナーに大きな筋肉は必要ありません。したがって、筋トレは低重量・高回数が基本になります。スクワットは自重で行うか、バーベルを使うときでも軽い重量で充分です。

スプリンター、あるいはスピードをつけたいランナーがスクワットを行う場合

高重量・低回数で行う

 筋肉繊維には、パワーに富む“速筋”と持久力に富む“遅筋”があります。高重量・低回数のスクワットを行うことで下半身全体と体幹の速筋を強化し、ランニングのスピードを上げることが可能です。

 具体的な例として、最大挙上重量の80~90%程度(1~3回しか挙げることができない重量)のスクワットを数セット行いましょう。その際に大切なのは、正しいフォームでスクワットを行うことと、セット間の休息を充分にとることです。

関連記事:下半身を鍛える筋トレ「バーベルスクワット」徹底解説│正しいフォームとやり方、重量と回数

▲バック・スクワット(前から見たフォーム)

▲バック・スクワット(横から見たフォーム)

筋トレにおける重量と回数の決め方

 スクワットに限らず、筋トレはある程度継続して行わないと効果がありません。そして徐々に負荷を高めていかないと、効果が止まってしまいます。筋トレの負荷は重量と回数によって増減できますが、その際、トレーニングの目的に沿って変化をつけることが大切です。

 原則的としてスピードやパワーをつけるなら重量を増やし、筋持久力をつけるなら回数を増やします。

関連記事:マラソンランナーも「筋トレ」をやるべき理由とは。高重量×低回数トレーニングで効果的に筋肉をつける 

[筆者プロフィール]
角谷剛(かくたに・ごう)
アメリカ・カリフォルニア在住。IT関連の会社員生活を25年送った後、趣味のスポーツがこうじてコーチ業に転身。米国公認ストレングス・コンディショニング・スペシャリスト(CSCS)、CrossFit Level 1 公認トレーナーの資格を持つほか、現在はカリフォルニア州アーバイン市TVT高校でクロスカントリー部監督を務める。また、カリフォルニア州コンコルディア大学にて、コーチング及びスポーツ経営学の修士を取得している。著書に『大人の部活―クロスフィットにはまる日々』(デザインエッグ社)がある。
【公式Facebook】https://www.facebook.com/WriterKakutani

<Text:角谷剛/Photo:角谷剛、Getty Images>