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2020年2月6日

NIKE幹部が語る、新型厚底シューズ「アルファフライ ネクスト%」の実力とは?短距離・中距離スパイクも登場 (1/2)

 東京五輪のマラソン日本代表選考レースのMGC(マラソングランドチャンピオンシップ/2019年9月開催)や、今年の箱根駅伝で驚異的な着用率を見せ、大きな話題となったNIKE(ナイキ)の厚底シューズ。

 その厚底シューズの新世代モデルとなる「ナイキ エアズーム アルファフライ ネクスト%(Nike Air Zoom Alphafly NEXT%)」が2月6日未明、ついに発表されました。また今回の発表された陸上競技向けシューズには、アルファフライ ネクスト%を含む5種がラインアップしています。

 なお、1月中旬にはNIKE幹部が来日し、国内メディアに対して発表イベントを行っています。今回はその際にNIKEから紹介された内容と、日本時間6日未明にグローバルに発表されたプレスリリースをもとにしたレポートをお届けします。

※2月6日7時30分時点で日本国内向けのプレスリリースは未発表のため、そちらについては発表され次第、必要に応じて追記予定です。

ついにベールを脱いだ、新型厚底シューズ「アルファフライ ネクスト%」

 今回登場した「ナイキ エアズーム アルファフライ ネクスト%」は、MGCや箱根駅伝で多くの選手が履いていた「ナイキ ズームエックス ヴェイパーフライ ネクスト%」と比べて、一目でわかる大きな違いが、前足部にビジブルの「ナイキ ズームエア ポッド(Nike Zoom Air Pods)」を2つ搭載している点でしょう。

▲ナイキ エアズーム アルファフライ ネクスト%

▲前足部に搭載された「ナイキ ズームエア ポッド」。よくみると、2つ搭載されていることが分かる

 「ナイキ ズームエア ポッド」は、高圧のエアバッグ内にきつく伸ばされた伸張性の高い繊維を閉じ込めたもの。アスリートの足が地面に着地すると、その繊維が圧縮されて衝撃を吸収、瞬間的に元の形状に復元することで反発性を生むクッショニングシステムです。

 「ナイキ ズームエア」は、1995年に初めて発表され、定番のランニングシューズ「ナイキ エア ズーム ペガサス」シリーズなどにも使われているものです。1月中旬に東京都内で開催された発表イベントに登場した、ナイキランニングフットウエアのヴァイス・プレジデントであるブレット・ホルツ氏によれば、「ナイキ ズームエア ポッド」は、ナイキの数あるテクノロジーの中でもエネルギーリターンが最も高いテクノロジーなのだそうです。

「これまで採用してきた『ズームX フォーム』と『カーボンファイバープレート』に加えてどんなツールを使うと、今まで以上にアスリートの求めるものを提供できるか。いつくかオプションを考えて試した結果、 『ナイキ ズームエア ポッド』が最適だったのです。『ナイキ ズームエア ポッド』はエネルギーリターンが高いのが特徴で、フォームよりも耐久性に優れています。その結果、シューズ自体の耐久性も高くなり、前モデルのヴェイパーフライ ネクスト%よりも長くクッション性や反発性が持続するようになしました」(ブレット・ホルツ氏)

▲ナイキランニングフットウエアのヴァイス・プレジデントを務めるブレット・ホルツ氏
(写真は2018年7月撮影)

▲ナイキ エアズーム アルファフライ ネクスト%

 アスリートが生むエネルギーを、ロスすることなく推進力へと変えるために搭載された「ナイキ ズームエア ポッド」。その反発性の高さによって、アスリートが過度な突き上げを感じないよう、ミッドソールは「ナイキ ズームエックス ヴェイパーフライ ネクスト%」よりも、7mm厚くなっています。爪先と踵の高低差であるオフセットは変更されることなく8mmの設定です。なお、ソールの厚さは、世界陸連の新ルールである「40mm以下」に。また、突き上げの緩衝のためにカーボンファイバープレートの形状を変更。「ナイキ ズームエア ポッド」を搭載した前足部のみ、幅が広くなっています。

▲ナイキ エアズーム アルファフライ ネクスト%にも、もちろん「カーボンファイバープレート」が搭載されている

 厚底のミッドソールがさらに厚さを増したとなると、気になるのは安定性。その点は、前足部の幅を広げることでバランスをとっています。

 「ナイキ ズームエックス ヴェイパーフライ ネクスト%」では、アッパーに「ヴェイパーウィーブ」というナイロンをベースにした素材を使用していましたが、「ナイキ エアズーム アルファフライ ネクスト%」では、「アトムニット」という名のTPUの糸を編んだ素材を採用しています。通気性、サポート性が高く、水にも強いという特性があるとのこと。

 アウトソールのデザインにも調整が加えられ、ドライな路面、ウェットな路面に関わらず、高いトラクション性能を発揮できるものになったそうです。

 「ナイキ エアズーム アルファフライ ネクスト%」のプロトタイプは、2019年10月に開催されたイネオス1:59チャレンジというイベントで、男子マラソン世界記録保持者のエリウド・キプチョゲ選手が着用。非公認記録ながら、1時間59分40秒というタイムで42.195kmを走破し、人類初の2時間切りをサポートしています。

 すでに足を通したアスリートからの評価も高く、2月末に開催される東京五輪のマラソンアメリカ代表選考レースでも多くのランナーが着用予定とのこと。MGCファイナルチャレンジの対象レースである3月1日に開催される東京マラソンでも、日本のトップランナーたちが「ナイキ エアズーム アルファフライ ネクスト%」を履いて走る姿を見ることになるかもしれません。なお、NIKEのアメリカ版公式サイトによると、2月29日にリリースされるようです(日本国内は未発表)。

長距離用シューズ2種、短距離用スパイク1種、中距離用スパイク2種を発表

 「ナイキ エアズーム アルファフライ ネクスト%」とともに、2足の長距離用シューズと、短距離用スパイク・中距離用スパイクが各1足発表になりました。いずれも「ナイキ エアズーム アルファフライ ネクスト%」同様のシステムが採用された、斬新なスタイルのシューズとなっています。

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