2021年6月24日

筋トレ上級者向けトレーニングメニュー|全身を動かす「チッパー」エクササイズとは (1/2)

 筋トレの重量と回数設定には原則があります。爆発的なパワーや瞬発力を高めたい、また体を大きくしたい場合は高重量・低回数(例:1RMの90~95%ぐらいで3回5セット)、筋持久力を高めたい、または痩せるのが目的であれば低重量・高回数(例:1RMの50%ぐらいで12回3セット)が基本的な考え方です。

✓ 体を大きくしたい
…高重量・低回数(例:1RMの90~95%ぐらいで3回×5セット)

✓ 筋持久力を高めたい、ダイエット目的
…低重量・高回数(例:1RMの50%ぐらいで12回×3セット)

 今回紹介する「チッパー(Chipper)」は、低重量・高回数のトレーニングメニューです。通常の筋トレでよく用いられるセット分割の概念はありません。ある運動を決められた回数行った後に別の種類の運動へ移り、それぞれを順に行うというシンプルな形式です。

 言い換えれば、1周だけのサーキットトレーニング、あるいは水泳・自転車・ランを順に行うトライアスロンをイメージしてもよいでしょう。

 クロスフィットでは、このチッパー形式のワークアウトが頻繁に行われます。その理由は、全身の筋肉をまんべんなく鍛えられるうえ、肉体的にも精神的にもやりきったという満足感をもっとも与えてくれるからかもしれません。以下、チッパーのワークアウト例を紹介します。

クロスフィット(クロスフィットトレーニング)は、特定の筋肉を刺激するウエイトトレーニングとは異なり、「ファンクショナルムーブメント」と呼ばれるカラダの連動性を高めるための動作を、高強度で行うトレーニングメソッドです。簡単に言えば、歩く・走る・起き上がる・拾う・持ち上げる・押す・引く・跳ぶなど日常生活の動作をベースにしたエクササイズを、負荷を高めて行います。

「クロスフィットトレーニング」とは?その効果とやり方、自宅でできる自重メニューを解説 より

チッパートレーニングのやり方

基本のメニュー

✓ シットアップ(腹筋)50回
✓ ジャンピングランジ40回
✓ ケトルベルスイング30回
✓ 腕立て伏せ20回
✓ バーピー10回

▲シットアップ

▲ランジ

▲ケトルベルスイング

▲腕立て伏せ

▲バーピージャンプ

 さほどきつくはない、簡単なチッパーの例です。それぞれの運動の間に休息は入りません。速い人なら、数分ですべて終わらせてしまうでしょう。中には「これくらいならウォームアップだ」などという人がいるかもしれません。

 ご覧の通り、それぞれの運動で鍛えられる筋肉が異なります。腹筋が疲れたら下半身へというように、ある部分が疲れたら別の部分に移るというやり方で、最終的には全身の筋肉を鍛えることが目的です。

ベンチマーク(基準)となるメニュー

✓ 懸垂100回
✓ 腕立て伏せ100回
✓ シットアップ(腹筋)100回
✓ 自重スクワット100回

 クロスフィットにはベンチマーク(基準)と呼ばれるワークアウトがいくつかあり、この「Angie(アンジ―)」もそのひとつです。他人とのタイムを比較して自分の立ち位置を客観的に把握し、かつ過去の自分のタイムと比較して成長度を測る物差しとしても活用できます。

 「Angie」は、すべての運動を100回ずつ行うという単純極まりないものです。しかし実際にやってみると、容易ではないことがわかるでしょう。普段から懸垂に慣れていない人は、最初からつまずくかもしれません。もちろんクロスフィット上級者であっても、懸垂100回を連続でできる人は滅多にいません。そのため、多かれ少なかれ動作間に休みを入れて行うことになります。

 どれも自重以外に負荷がかからない運動ですので、初心者でも上級者でも1回の動作にかかるスピードには大差がありません。合計所要時間を決めるのは、動作間の休みをどれだけの頻度と長さで入れるかにかかってきます。

 時間無制限で行いますが、合計所要時間の大体の目安は以下の通りです。

初心者:25分以上
中級者:20~25分
上級者:20分以下
競技者:15分以下

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