インタビュー
2023年6月19日

「抜き打ちドーピング検査」が我が家に!知られざる実情を紹介│寺田明日香の「ママ、ときどきアスリート〜for2020〜」#46 (1/2)

 みなさん、こんにちは! 陸上競技の寺田明日香と申します!

 たった3ヶ月しかなかった今年のトラックシーズンが終わり、約3週間のオフを過ごしていますが、トレーニングがなくてもママ業とお仕事(執筆や取材対応などです)には休みはないワケで……。「結局忙しいじゃないか!」と、突っ込んでしまう今日この頃を過ごしております。

 今回は、スポーツ選手は誰しもが注意しなければならないドーピングのお話です。ドーピングとはそもそもどういうことなのか、どうやって検査をしているのかなど、一般的にはなかなか知られていないことを書いていきたいと思います。

 最後までお付き合いのほど、よろしくお願いいたします!

ドーピングってなに?

 読者のみなさんの中にも、ニュースや新聞で「スポーツ選手のドーピングについて」の話題を見たことがある人もいらっしゃるのではないでしょうか?

 そもそもドーピングとは、「スポーツにおいて禁止されている物質や方法によって競技能力を高め、意図的に自分だけが優位に立ち、勝利を得ようとする行為」とWADA※が定義しています。“意図的に”と書かれていますが、意図的にではなくとも、ドーピング違反になる行為やそれを隠すこともドーピング違反と見なされます。

 具体例で言うと、「病院で診療を受け処方された薬に禁止物質が含まれていて、それを知らずに服用してしまった」「歯の治療に行った際に禁止物質を使用して治療してしまった」「ふだんから育毛剤を使用しているが実はその中に禁止物質が含まれていた」などがあります。

 もちろん、サプリメントに禁止物質が含まれていて、知らずに飲んでいたと言うこともあります。それらすべてが、“意図的”ではなくても、ドーピング違反となってしまいます。“つい、うっかり”が、選手にとって致命的なドーピング違反になることは、十分にあり得てしまうのです。

※:世界ドーピング防止機構(World Anti-Doping Agency ;WADA),日本アンチ・ドーピング機構(Japan Anti-Doping Agency; JADA)訳

ドーピング検査の方法

 では、どうやって検査しているのか、気になりますよね? 検査方法は2つ、①血液検査と②尿検査となります。

 検査のタイミングは、一番多いのが競技会での検査(競技会検査)、ほかに合宿中や国際大会派遣前手続き時、日本代表クラスの選手になると抜き打ち検査(競技会外検査)もあります。

 ドーピングの検査対象になると、検査員の方からその場で“通達”があります。通達をされた後は、検査員の目の届く範囲にいなければならないため、検査終了までは検査員と行動を共にする事が義務づけられています。これを守らないと、ドーピング違反になってしまう可能性があるため、表彰式への出席や誰かに会う時などは、必ず検査員の方に許可を得て一緒についてきてもらいます。

 検査を行うとき、つまり検体を採取するときも検査員が見ている前で検体採取を行います。私は、②尿検査しか行ったことがありませんでしたが、初めてのドーピング検査は高校生の時で、人に見られながら排尿することにかなり抵抗と緊張があり、検査終了まで最初のころ数回は2時間半かかりました(現在は早ければ15分程度で終わります)。

 検体採取をした後は、検査員の前でドーピング検査用の容器に検体を移し替えます。容器は2本セットになっていて、検査に使う諸々の道具と一緒にキットになって数セットおいてあり、そのキットの中から1セットだけ自分で選んだものを使います。2本セットになっている理由は、検体をA検体とB検体の2つに分け、もしAで陽性反応が出た場合、Bで再検査をするためです。

検査は突然やってくる!

 「ピンポーン」。10月某日の朝7時。家のインターホンが鳴りました。

 「今日の宅配便ははやいな〜」なんて、半分寝ぼけながら出た私でしたが、「JADAの検査員です!」とモニター越しに挨拶する女性を見たとき、一気に目が覚めました。

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