インタビュー
2023年6月19日

「抜き打ちドーピング検査」が我が家に!知られざる実情を紹介│寺田明日香の「ママ、ときどきアスリート〜for2020〜」#46 (2/2)

 検査のタイミングで「抜き打ち検査(競技会外検査)」があると前述しましたが、私のもとへも抜き打ちで検査員の方が来られたのでした。

 抜き打ち検査の対象になる選手は、JADAと各競技団体(私で言うと日本陸上競技連盟)から事前に、「あなたは抜き打ち検査の対象選手になりました」と言う通知が届きます。「日本アンチ・ドーピング機構」という字面を初めて見る人は、けっこうインパクトがあると思います。

 その通知を受け取ったときから、自分の毎日の居場所情報を提出する義務が発生します。居場所情報提出は、Webやアプリからできるようになっていて、3ヶ月単位で宿泊先や練習場所、仕事をしている場所など、その日に滞在する場所を記入しておかなければなりません。

 もし急な予定変更があった場合は、予定がわかった瞬間にアプリを使って内容を変更しておく必要があります。その中でも、5時〜23時までの間で、間違いなく対応できます! という1時間に対し「60分時間枠」を設定しておくのです。

 この「60分時間枠」はものすごく重要で、この時間と場所に検査員が来て不在だった場合、“検査未了”とみなされ、検査未了が12ヶ月の間に3回累積してしまうと、規則違反とみなされ、ドーピング違反をしたときとほぼ同じ扱いを受けてしまいます。なので、スタッフ(特に高野コーチ)からは口酸っぱく、「居場所情報マジでちゃんとやって」と、真面目に言われます。

 さて、ドーピングについて少しでもわかっていただけたでしょうか?

 スポーツ選手ならば誰しもが守られなければならないドーピングのこと。競技のプレーや結果だけが見えがちですが、見えないところで「そんなこともやっているのね!」と思ってもらえると、より選手のことを好きになってもらえるのでは、と思っています。

[プロフィール]
寺田明日香(てらだ・あすか)
1990年1月14日生まれ。北海道札幌市出身。血液型はO型。ディズニーとカリカリ梅が好き。会いたい人は、大谷翔平と星野源。小学校4年生から陸上競技を始め、小学校5・6年時ともに全国小学生陸上100mで2位。高校1年から本格的にハードルを始め、2005~2007年にはインターハイ女子100mハードルで史上初の3連覇。3年時には100m、4×100mリレーと合わせて同じく史上初となる3冠を達成。2008年、社会人1年目で初出場の日本選手権女子100mハードルで優勝。以降3連覇を果たす。2009年世界陸上ベルリン大会出場、アジア選手権では銀メダルを獲得。同年記録した13秒05は同年の世界ジュニアランク1位だった。2010年にはアジア大会で5位に入賞するが、相次ぐケガ・病気で2013年に現役を引退。翌年から早稲田大学人間科学部に入学。その後、結婚・出産を経て女性アスリートの先駆者となるべく、「ママアスリート」として、2016年夏に「7人制ラグビー」に競技転向する形で現役復帰した。同年12月の日本ラグビー協会によるトライアウトに合格。2017年1月からは日本代表練習生として活動した。2018年12月にラグビー選手としての引退と陸上競技への復帰を表明。2019年シーズンから競技会に出場し、6月に日本選手権女子100mハードルで9年ぶりの表彰台となる3位に入り、7月には100mでも自己記録を更新。8月には19年前に金沢イボンヌ氏が記録していた日本記録13秒00に並ぶと、9月1日に「富士北麓ワールドトライアル2019」で史上初めて13秒の壁を突破し、12秒97の日本新記録を樹立。カタール・ドーハで開催された「世界陸上」に出場。再び陸上競技選手として、2020年東京オリンピックを目指す。

◎所属企業:株式会社パソナグループ

◎主な記録:100mハードル日本記録保持者(12秒97)/100mハードルU20日本記録保持者(13秒05=2009年世界ジュニアランキング1位)/100mハードル日本高校歴代2位(13秒39)/100m:11秒63

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<Text & Photo:寺田明日香/Edit:松田政紀(アート・サプライ)>

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