フィットネス
2017年9月25日

ブルース・リー創始の格闘芸術・ジークンドーを生体験!稽古参加の品川祐さんにも魅力を聞いてみた (1/3)

 護身術としてはもちろん、フィットネスの一環として、運動不足の解消、健康増進など、様々な目的で学ぶメリットのある格闘技。空手やボクシングなどがメジャーですが、世界を見るとさまざまな競技が存在します。

 今回ご紹介するのは、映画『燃えよドラゴン』『死亡遊戯』でおなじみ、ブルース・リーが創始した『ジークンドー』。聞いたことのない方も多いかもしれませんが、日本ではテレビドラマ『SP 警視庁警備部警護課第四係』でV6の岡田准一さんが演技に取り入れたことで一躍話題となりました。

 そこで今回は、ジークンドーとはどのような武術なのか、岡田さんの師匠でもあり、東洋人初のジークンドーシニア・インストラクターに認定された中村頼永師父の合同稽古会に参加し、その実態を探ってきました。

ブルース・リーが創始した『ジークンドー』とは?

 『ジークンドー』は漢字で『截拳道』と書き、路上での護身を想定した超実践的格闘術を表します。この格闘術はさまざまな格闘技の技術を融合したハイブリッドなもので、これを応用することによって『相手の攻撃(拳)を遮断する(截つ)方法(道)』を可能へ。さらに『形式(拳)に捉われない(截つ)究極の真実(道)』という理念・哲学にもつながっていきます。

 そしてその影響を受けた人物のひとりが、今回の合同稽古会で指導にあたった中村頼永師父。ブルース・リーとともにジークンドーを育んだダン・イノサント師父により、東洋人初のジークンドーシニア・インストラクターに認定された正当な“継承者”です。

▲中村頼永師父

 現在はブルース・リー財団日本支部最高顧問、IUMA日本振藩國術館代表として、平日はプライベートスチューデント達に個人指導、休日は日本各地で合同稽古会を行うなど、さまざまな普及活動を行っている中村師父。そんな師父を慕い、芸能界でも岡田准一さんや、品川祐さん(芸人・映画監督)、福士蒼汰さん、山下智久さんらも長年稽古に取り組んでいるそうです。

 では、ジークンドーとはどのような格闘技なのか。中村師父は「大前提として、ジークンドーは格闘技ではない」と口にした後、さらに続けて説明してくれました。

「格闘技と武術は違います。格闘技は試合を前提としてルールのもとで行われますが、武術は基本的に試合がありませんし、禁じ手もありません。一方でジークンドーには通常武術に含まれる『武器術』がない変わった側面がある。なので、ブルース・リー先生は『武術』とは言わず、『マーシャルアーツ(格闘芸術)』という言葉を使用しています。自身の身体を好きなように動かし、自分自身を“表現”することが、先生の考えるジークンドーなんです」

世界の格闘技を積極的に体験することがジークンドーの理念

 筆者が参加したのは9月17日に豊島区池袋スポーツセンターで行われた合同稽古会。中村頼永師父と指導員数名の指導により、約50名が武道場で4時間近く汗を流しました。

 今回の合同稽古会ではジークンドーのほか、フィリピン武術の『KALI』、総合格闘技の『USA修斗』という3本柱で指導が行われました。なぜ3つを組み合わせるのか、中村師父はその理由を教えてくれました。

「私は、ジークンドーは最高の哲学だと思っています。他を見ないで自分のスタイルだけを練習する姿勢では不十分。自由な戦いにおいて無知は敵であり、それは不覚を招きます。例えば、ジークンドーには武器術がないですから、私達はそれを補うためにKALIの武器術を取り入れる。世界にはさまざまな格闘技がありますから、それらを積極的に体験して視野を広げなさい、というのがブルース・リー先生の教えであり、ジークンドーの理念なんです」

ジークンドーの稽古がスタート!

 合同稽古会はまずウォーミングアップ、ストレッチから始まり、そこからジークンドーの基礎中の基礎ともいえる『バイジョンスタンス』という形の確認へ。これは戦闘時における代表的な構えで、このスタンスからさまざまな動きに応用していきます。

▲写真右が筆者

 格闘技素人の筆者は、指導員の方に腕の位置から足の角度、拳の形など細かく指導され、「拳頭は相手に向けて」「足を開きすぎないように」「重心は前に」と、次々と注意が飛んでくる始末。この形をキープしたまま、前後、左右、円形にステップを入れるなど、どんな体勢でも崩れないように身体に染み付かせていきます。

 続いて、基本攻撃の形を確認。空手の貫手にあたる『ビルジー』や、ボクシングのフックにあたる『ナオチョイ』などがありますが、中でも筆者を苦しめたのが1番オーソドックスな『チュンチョイ』(ストレートパンチ)。一見変哲もない動きのようですが、1つひとつの動きに意味があり、それを頭に入れながら行わないと、容赦なく指導員から指導が入ります。簡単に注意点を挙げると以下の通り。

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