2022年12月16日

【納豆ごはんアレンジ】管理栄養士おすすめの“ちょい足し”レシピ

日本人と切っても切り離せない食材のひとつ「納豆」。栄養バランスもよく、食物繊維やナットウキナーゼなど多くの栄養が含まれています。

良質なたんぱく質を豊富に含んでいるため、ダイエットや運動をする人にも人気です。

そんな納豆のパワーを引き出すアレンジレシピを、Japanマラソンクラブのマラソンインストラクターでもある管理栄養士の深野裕子さんに教えていただいたので、まとめてご紹介します。

管理栄養士おすすめの「納豆+α」レシピ

ダイエット中の人におすすめのレシピ

納豆×キムチ

やはり強い! 発酵食品キムチ。定番の組み合わせの理由とは。

「便秘やダイエットには“腸内環境を整えること”が重要です。私たちの腸には、100~1000兆個(重さにすると約1.5kg!)もの腸内細菌が生息していて、善玉菌・悪玉菌・日和見菌の大きく3つに分けられます。菌の理想バランスは、善玉菌2:悪玉菌1:日和見菌7とされています」(深野さん)

腸内環境は、太りやすさや肥満と深く関わっており、太ったマウスの腸内細菌を移植された普通のマウスも太りやすくなるというデータや、肥満の人の腸内フローラ(腸壁に隙間なくびっしりと張り付いた腸内細菌)は多様性が少なく特定の菌種に偏り、瘦せた人の場合は多様性に富むことが報告されています。

関連記事:「腸内細菌を調べるキット」使ってみた。食習慣のクセ、太りやすさ、便秘タイプ…面白すぎる結果が!

さらに腸は、免疫機能の約70%を支えており、腸内環境を整える働きがある納豆菌は、免疫機能を整えるためにも有効とのこと。

「便秘の解消やダイエット、免疫機能を整えるには、腸内環境を整え善玉菌のエサとなる食物繊維やオリゴ糖を摂取し、善玉菌が住みやすい環境を作ることが大切です。その意味で、納豆は便秘やダイエットにも効果が期待できるといえますね」(深野さん)

納豆だけでも腸内環境を整えてくれますが、さらに善玉菌が住みやすい環境作りをサポートしてくれる食品として、乳酸菌を多く含む発酵食品・キムチがおすすめだそうです。

「キムチ(発酵したもの)にも、乳酸菌が多く含まれています。腸内の善玉菌を増やし、悪玉菌の増殖を抑制してくれます」(深野さん)

納豆×めかぶ

「めかぶは水溶性食物繊維が豊富に含まれています。腸内の善玉菌のエサをセットでとることで腸内環境をより効果的に整えることができます」(深野さん)

運動をする人におすすめのレシピ

納豆たまごかけご飯

「朝食におすすめのメニューです。朝は特にたんぱく質が不足しがちですが、朝食でしっかりたんぱく質を摂取している人のほうが、筋肉量の維持・増加に有効である可能性が示されています」(深野さん)

タンパク質を重視したい人は、植物性タンパク質が含まれる納豆に、動物性タンパク質を含む卵を加えると、より効率的にタンパク質を摂取できます。

「植物性のたんぱく質の代表の大豆食品は必須アミノ酸がバランスよく含まれ、その多さは動物性食品である肉や魚(100g中約20gのたんぱく質)、卵(100g中12.3gのたんぱく質)にも匹敵します。動物性のたんぱく質と植物性のたんぱく質を上手く組み合わせて食事にとり入れるようにするのがおすすめです」(深野さん)

最近の研究によれば、動物性と植物性のたんぱく質は、1対1の割合で摂ると、筋たんぱく質の分解を抑制するという報告があります。動物性は合成を促進、植物性たんぱく質は分解を抑制することから、ダブルで効果を得るにはバランスを考えて摂る必要があるというわけです。ただ、現実は動物性に頼りがち。厚生労働省「日本人の食事摂取基準」(2020年版)によれば、植物性たんぱく質の摂取は全体の3分の1程度になっているとの報告もあるため、多くの方は植物性たんぱく質を意識して摂取する必要がありそうです。

たんぱく質の効率的なとり方は?『みんなで筋肉体操』谷本先生が解説 より

また、運動をよく行う人は、骨折などの怪我や貧血に悩まされがち。そこを納豆パワーでサポートします。

「筋トレやランニングは筋肉だけでなく、骨にも物理的負荷をかけ骨密度が下がることでケガのリスクも高まります。なので、日本人に不足しがちなカルシウムと併せて摂りたいビタミンKやナットウキナーゼ、ポリグルタミン酸をセットで摂れる納豆は積極的に食事に採り入れてほしい食材です」(深野さん)

納豆は鉄の供給源としても優秀とのこと。たんぱく質と鉄は、ヘモグロビンの材料で血液中の酸素を身体の隅々に運ぶために重要で、トレーニングする人は積極的に摂りたい栄養素とも。また、腸内環境を整えるのも筋トレやランニングなどを日常的に行う人には重要ですと、深野さん。

「腸内環境と免疫機能は非常に深い関わりがあり、特に強度の高いトレーニングや長時間にわたる練習に取り組むような人は、免疫機能が低下しやすいことがわかっています。したがって腸内環境を整える納豆を食べることは、体調管理にもつながります」(深野さん)

マッチョは風邪を引きやすいというウワサもあり、一説では免疫力にも関与するグルタミン不足がひとつの原因かもと言われています(グルタミンの効果とは。グルタミン酸との違い、サプリや食品で摂取するときのポイント[管理栄養士監修])。

納豆で腸内環境を整え、免疫機能をサポートすることで体調管理もパーフェクトに!

[監修者プロフィール]
深野祐子(ふかの・ゆうこ)
管理栄養士・ジョギングインストラクター。Japanマラソンクラブでインストラクター兼フードアドバイザーとして市民ランナーに向け走り方の指導や食事の指導を行う。

※本記事はMELOSで公開された記事「「納豆」の栄養と効果的な食べ方、高タンパク質レシピ。ダイエットにいい? 食べ過ぎるとどうなる?[栄養士監修]」を再編集したものです。

<Text:京澤洋子(アート・サプライ)/Photo:photo-AC>