疲れがとれるお風呂の入り方とは。ポイントは「ぬるめの温度」と「寝る2時間前」 (2/2)
入浴がもたらす疲労回復効果とは
副交感神経を刺激することによるリラックス効果
温浴によってカラダが温まると、血行がよくなりリラックス効果が高まります。
ぬるめ(37~40度程度)のお湯に長くつかることによって、自律神経のひとつ「副交感神経」が刺激されます。副交感神経が優位になると筋肉が弛緩し、心拍数が低下するなど、カラダを休ませる状態になります。
もちろんシャワーでもカラダを温めることはできます。しかし、その場合は温度を熱めにして浴びることが必要です。
熱めのお湯に浴びると、さきほどの副交感神経ではなく、体を目覚めさせる「交感神経」が優位になります。
熱い温度のシャワーでさっぱりするのもいいですが、一日の疲れを回復させるためには、ゆっくりぬるめのお湯につかる方が効果的と言えそうです。
「夜ちゃんとお風呂に入ると体温があがって、あがった体温は必ず下がります。人間は体温が下がってくると眠くなるんですよ。お風呂に入ると血管も拡張するので熱放散もしやすくなります。あがった体温がスーッと下がる。お風呂に入ると疲れがとれるっていうのは、その後の眠りもよくなるからなんですね。だから眠りの質もあがりますよ」
お風呂に入れば睡眠の質も上がる。疲れたカラダに効果的な入浴法をお風呂博士に聞いてみた(前編) より
水圧による血液循環の向上
水に入ることで体には圧力(水圧)がかかり、水圧がかかると血管が圧迫されて血液循環を促します。
足先~ふくらはぎは、常に心臓より遠い位置にあるため血液が心臓に戻りにくく、血液循環が悪くなることで冷えを感じやすい箇所です。温浴を行うことでカラダが温まり、さらに水圧がかかるため、その効果によって血液循環が良くなるのです。
血液循環がよくなれば老廃物の排除がスムーズになり、全身に栄養や酸素が行き渡りやすくなるため、疲労回復に繋がります。
最近ではコンプレッションウエアと呼ばれる、ピッチリしたウェアが疲労回復に効果的として販売されています。
これも、カラダに軽い圧力をかけて血行を促進させる効果のあることから考案されています。
浮力による筋肉をほぐす効果
温浴では水の浮力による疲労回復効果も期待できます。水の中では体重が約10分の1になり、60kgの場合は6kgになります。体重が軽くなることで、関節などにかかる負担が大きく減少します。
また、姿勢を維持するために使われている抗重力筋の負担も減り、筋肉の緊張が重力から解放されるのです。
「筋肉が固くなるということは、全身に張り巡らされた毛細血管が圧迫され、血液循環が悪くなります。すると筋肉は酸素不足・栄養不足になり、疲労物質を除去できずさらに固くなります。それが体の不調の慢性化、負のスパイラルへとつながるのです」
筋肉をほぐすと、どんなメリットがあるの?カラダファクトリーの整体師が解説 より
ヒートショックプロテイン(HSP)による疲労回復
最近の研究によって、カラダに熱ストレスをかけることで分泌されるたんぱく質「ヒートショックプロテイン(HSP)」が、細胞の損傷を修復したり、抗ストレス、また免疫力を高めたりすることが解明されてきました。
昔から温泉に体の不調や病気を治す効果があるとされてきた理由のひとつが、このHSPであったのではないかと考えられています。
研究の中には、高温で短時間のシャワーや温浴では効果が現れなかったとするものもあります。ゆっくり温浴してHSPを増やすことが、疲労回復に繋がるでしょう。
\入浴後はストレッチで筋肉をほぐそう/
<Text:和田拓巳>