乳酸菌をとりすぎると「癌になる」「おならが出る」はホント?[管理栄養士監修] (2/2)
乳酸菌のとりすぎで「ガンになる」ってホント?気になるウワサも聞いてみた
「癌になる」ってホント?
乳酸菌をとりすぎによって、癌になるとは言えないでしょう。乳酸菌はむしろ、大腸がんのもととなる大腸ポリープを抑制、乳癌の発症リスク低減など、癌予防に働きかけます。
しかし、乳酸菌を含む乳製品の過剰摂取により発癌リスクが高まる可能性はあります。動物性の乳製品には、脂質が多く含まれており、過剰摂取により大腸癌・乳癌・前立腺癌の発症リスクを高める可能性があると指摘されているからです。
とはいえ、明確な根拠は提示されていないので、過剰に気にする必要はないでしょう。
「膣カンジダに影響する」ってホント?
乳酸菌によって、カンジダ菌の増殖抑制が期待できると考えられています。
カンジダ菌は、アルカリ性に傾くと繁殖しやすい菌です。乳酸菌は膣内を酸性に保つ働きがあるため、カンジダの過剰な繁殖を抑えてくれると考えられます。また、カンジダ菌は、腸内や膣内に普通に存在している菌です。
乳酸菌の1日の摂取量上限
乳酸菌の摂取上限量は、定められていません。摂取の目安量としては、ヨーグルトの場合1日100~200g程度が良いでしょう。
ちなみに、1日の乳酸菌の摂取目安量は、100億個程度と考えられています。
「乳酸菌が合わない人」はいるのか
乳酸菌には様々な種類があるので、種類によっては体質的に合わない人は「いる」と考えられます。
ただ、乳酸菌は、私たちの体内にも存在している菌なので、全ての乳酸菌が合わないという人はほとんどいません。「乳酸菌が合わない」と思っている多くの場合は、乳製品に含まれている「乳糖」が原因となっていることが多いです。
日本人は、乳糖を分解する力が弱い「乳糖不耐症」の人が多いと言われています。乳糖不耐症の人が乳製品を摂取すると、腹部に不調が起こることが多々あります。牛乳を飲むとお腹が痛くなる等の症状が出現する人は、乳糖不耐症の可能性があります。
乳酸菌が合わない人が出る症状
乳酸菌が合わない人が乳酸菌を摂ると、以下の症状が出ることがあります。
- 腹痛
- 下痢
- おならがよく出る
- 腹部が張った感じがする(腹部膨満感)
「乳酸菌」とは
乳酸菌とは、糖を代謝して乳酸を生成する細菌の総称です。人間の体にとって有益に作用することから「善玉菌」とも呼ばれています。
腐敗を予防し、保存性を向上させる働きを持つため、発酵食品に活用されています。また、乳酸菌の中には、腸内を酸性傾向にして、悪玉菌の増加を抑制する働きを持つ菌もいます。
乳酸菌による体に嬉しい効果
- 腸内環境のバランスを整える
- 便秘を解消する
- コレステロール値を低下させる
- 免疫機能の向上(ガン予防)
- 乳酸菌によっては、胃炎や胃がんなどの原因となる「ピロリ菌」を除去できる
- アレルギー症状を改善する など
乳酸菌が多い食品
- ぬか漬け
- キムチ
- チーズ
- ヨーグルト
- 納豆
- 味噌
- 醤油
- 日本酒
- 乳酸菌飲料
▼参考
身近だけれど以外に知らない乳酸菌・ビフィズス菌の姿 - 生物工学第90巻
日本栄養士会 ニュータス 乳酸菌 - 公益社団法人
ヨーグルト・乳酸菌飲料のおいしい話 - 一般社団法人 全国発酵乳乳酸菌飲料協会
健康・栄養フォーラム - 国立健康・栄養研究所
監修者プロフィール
健康検定協会理事長
望月 理恵子
株式会社Luce代表取締役、管理栄養士、山野美容芸術短期大学講師、服部栄養専門学校特別講師、小田原銀座クリニック栄養顧問、日本臨床栄養協会評議員。サプリメント・ビタミンアドバイザーなど、栄養・美容学の分野で活躍。多くの方が健康情報を学ぶための健康検定協会を主宰するとともに、テレビ・雑誌などで根拠ある栄養学を提供・監修をしている。「栄養学の◯と×」、「やせる時間に食べてみた!」など著書も多数。
<Text:編集部>