愛情不足で育った大人に共通する特徴とは[臨床心理士監修]
幼少期、親などからの愛情が不足した状態で育ったら、どのような大人に成長するのでしょうか? 大阪カウンセリングセンターBellflowerの臨床心理士・町田奈穂さんに伺いました。
愛情不足で育った大人の特徴とは
幼少期に、他者からの愛情不足が不足して育った場合、以下のような特徴が考えられます。
- 人と適切な距離を取るのが苦手
- 信頼関係が構築できない
- 感情コントロールが苦手
- 依存傾向が高い
- 職場や恋愛関係を保ちにくい
愛情不足で育った大人の特徴を、詳しくチェックしましょう。
愛情不足で育った大人、どんな問題が生じる?
愛情不足で育った場合、以下の2つで問題が出てくることが多いです。
- コミュニケーション面
- 行動面
コミュニケーションの問題
人と適切な距離を取るのが苦手
距離が近すぎてしまう、あるいは、極端に関わろうとしない。
信頼関係が構築できない
悲しみや怒りの感情をぶつけすぎてしまう。謝罪ができず、嘘で誤魔化し続けてしまう。というようなことから、人から信頼をしてもらえない。
行動の問題
感情コントロールが苦手
過度に傷つきやすかったり、落ち込みやすかったりする。
依存傾向が高い
感情のコントロールが難しいため、ストレスを感じやすいが、適切な発散ができず、人や物に依存してしまいやすい。
職場や恋愛関係を保ちにくい
新しい環境への適応が難しく、職が安定しにくい。また、人との適切な距離感を保てないことから、恋愛関係を保ちにくい。
なぜこのような特徴が現れるのか? 原因は「愛着」
愛情不足で育った人がコミュニケーション面などで問題を抱えるのは、「愛着」が課題といえます。
幼少期によく面倒を見てくれる人(多くの場合、母親)とまずは「愛着」という情緒的な結びつきを形成します。この愛着形成を安心のベースとして、子どもは他者とコミュニケーションをとり、人間関係を形成していきます。
そのため、幼少期に養育者と基本的な愛着関係を形成できていないと、人間関係を上手く構築するのが難しい場合があります。
愛情不足で育っても、人に愛情を与える大人になれるのか?
もちろん、人に愛情を与えられます。
まずはご自身のコミュニケーションの傾向を知ることが大切です。その上で、ご自身の不適切な他者への関わり方を、適切な関わり方へと変えていく練習や工夫が必要です。
しかし、これは生理的・本能的なものでもありますので、1人で向き合うのは難しいかもしれません。臨床心理士など、専門家のカウンセリングを通して、まずは安定した信頼関係を1名と形成する。そしてそれをベースとして、少しずつ安定した人間関係の輪を広げていくこと良いでしょう。
監修者プロフィール
大阪カウンセリングセンターBellflower
町田 奈穂
同志社大学大学院 心理学研究科修了。在学時より滋賀医科大学附属病院にて睡眠障害や発達障害に苦しむ人々への支援や研究活動を行う。修了後はスクールカウンセラーやクリニックの臨床心理士を経験。2020年、父の病気を機に父が経営する機械工具の卸売商社へ入社。そこで多くの企業のメンタルヘルス問題に直面し、大阪カウンセリングセンターBellflowerを設立。現在は、父の後を継ぎ機械工具の卸売商社の代表を務めるほか、公認心理師・臨床心理士として、精神・発達障害の人が活躍できるインクルーシブな職場づくりをサポートする人事コンサルタントとしての活動や支援者支援をテーマとした研究や臨床活動を行っている。
<Edit:編集部>