タンパク質の摂りすぎに注意!腎臓への悪影響などさまざまな不調の原因に
筋トレやダイエットに重要な栄養素であるタンパク質。しかし、そのタンパク質を摂りすぎると、腎臓への悪影響や下痢、肌荒れや肥満といった不調の原因になることがあります。
タンパク質の摂りすぎによってあらわれる不調や、健康を害さないための摂取目安量、摂取のポイントを紹介します。
タンパク質とは
タンパク質とは、多くのアミノ酸が化合した物質です。筋肉や臓器を作る要素となるため、成長に不可欠な物質ですね。
食事からタンパク質を吸収すると、からだの中でアミノ酸に分解されます。すると、筋肉や臓器だけではなく、肌や髪、爪の元になります。
さらにはこのように見えるものだけではなく、代謝酵素や免疫物質もタンパク質によって構成されているのです。
肌や髪を健やかに保つだけではなく、健康なからだを維持するために必須な栄養素だといえるでしょう。
タンパク質を多く含む食材
タンパク質を多く含む食材は以下の通りです。
- 肉
- 魚介類
- 卵
- 牛乳、乳製品
- 大豆、大豆製品
普段から意識的に上記の食材を摂ることは大切です。
タンパク質を摂りすぎるとどうなる?
健康なからだを維持するために必須のタンパク質ですが、摂りすぎることでからだに不調が起こることがあります。以下のような症状に注意しましょう。
腎機能の悪化
タンパク質を過剰に摂取すると、不要となった老廃物がからだにたまります。一般的に、老廃物は腎臓を経由して体外に排出されます。
しかし、老廃物が多すぎることで腎臓に負担がかかってしまうのです。負担が長期間かかると、腎機能の低下や尿毒症を引き起こす原因になるでしょう。
肝機能の低下
アルコールを分解したり、ウイルスを撃退したりする肝臓の働きはタンパク質によって支えられています。通常、タンパク質から作られるアンモニアは肝臓の働きによって無毒化され、尿とともに体外に排出されています。
ただし、タンパク質の摂取量が多いと、腎臓と同様に肝臓にも負担がかかってしまいます。その結果、肝機能が低下し、全身の倦怠感や黄疸といった症状を引き起こす恐れがあるのです。
おならが臭くなる
タンパク質に含まれる窒素は、悪玉菌の餌となり増やす働きをします。そのため、タンパク質を大量に摂取することで、おならが臭くなってしまうことも。
腐卵臭のような臭いがして、不快に感じてしまうでしょう。消化されるまで、自分自身でも気になってしまうかもしれません。
下痢や便秘の原因
タンパク質によって悪玉菌が増えると、腸内環境が乱れて下痢や便秘の原因となることもあります。さらに、腹部膨満感といって、おなかが張って苦しかったり痛かったりといった症状が出ることもあります。
臭いおならと同様に消化によって治まりますが、しばらくは不快感を伴うでしょう。
ニキビ、肌荒れの原因
適切なタンパク質は、健康な肌を維持するために必要不可欠です。
しかし、タンパク質を過剰に摂取することで、皮脂の分泌が促進されます。その結果、ニキビの元となる毛穴詰まりが起き、ニキビが出ることもあるのです。
また、便秘気味だとニキビが増えることがありますよね。これは、腸内で腐敗した便からアンモニアが発生し、血液を通じて皮膚に到達することが原因です。皮膚が皮脂や汗と一緒にアンモニアを排出するときに、ニキビや肌荒れを引き起こすでしょう。
このように、タンパク質の過剰摂取が原因の便秘によって、肌が荒れることもあります。
カロリーオーバーにより太る
タンパク質に限らず、栄養を過剰に摂取することはカロリーオーバーとなり肥満につながります。
とくに、タンパク質には要注意。タンパク質が豊富な肉や魚介類、卵、乳製品、大豆製品には、脂質も多く含まれます。そのため、摂りすぎるとすぐに体重に影響してしまうのです。
さらに、健康上の問題もあります。
肉や乳製品から動物性の脂質を多く摂取すると、太るだけではなく血中コレステロール値が上昇する恐れがあります。動脈硬化や心臓病、脳卒中といった病気の原因になることもあるので、注意しましょう。
タンパク質の摂取目安量
摂りすぎはよくないタンパク質ですが、摂取目安量を知ることでその危険は回避できます。
成人男性のタンパク質摂取目安量
成人男性は、1日60gまでの摂取にとどめましょう。
たとえば、豚バラ肉に含まれるタンパク質は100gあたり14gです。また、牛乳は100mlあたり3.3g含まれています。
そのため、100gの豚バラ肉を使った料理とコップ1杯分の牛乳を飲んだ場合、タンパク質の摂取量は20.6gとなります。
このように、日常的な食生活でも、意外とタンパク質は含まれています。摂りすぎにならないように注意しましょう。
成人女性のタンパク質摂取目安量
成人女性が摂取するタンパク質は、1日50gまでにとどめましょう。男性よりも摂取目安量が10g少ないため、より食事に気を遣う必要がありますね。
女性の場合は閉経によって女性ホルモン「エストロゲン」の分泌量が低下すると、骨粗しょう症のリスクが高まります。骨折のリスクを下げるためにも、普段からカルシウムが豊富な乳製品を積極的に摂りましょう。
前述の通り、牛乳100mLに含まれるタンパク質は3.3gです。また、プロセスチーズ100g(※)に含まれるタンパク質は23gです。
(※)スライスチーズの場合、約5枚
カルシウムを摂取しながらも、タンパク質の摂取量には注意してくださいね。
タンパク質を摂取するときのポイント
タンパク質を過剰に摂取することで、腎機能や肝機能の悪化といった症状があらわれることがありますが、逆にタンパク質が不足しても筋肉量が減ったり臓器の働きが悪くなったり、肌や髪が荒れる可能性もあります。
タンパク質を摂取するときは、どのようなポイントに注意すればいいのでしょうか。
3食にわけて摂る
タンパク質を摂取するとき、1食で補おうとすると栄養が偏る恐れがあるので、3食にわけてバランスよく摂取しましょう。1食あたり15~20gの摂取を目安にするのがおすすめです。
たとえば、朝食に「6枚切りの食パン1枚、目玉焼き、ソーセージ1本、牛乳1杯」とした場合、タンパク質摂取量の合計は約22.2gとなります。
こういった献立なら、忙しい日でも無理せず用意できますよね。
忙しい昼は簡単な食事になってしまいタンパク質が摂れていないという場合は、夜に多めに摂ることを意識しましょう。そうすれば、自然と栄養バランスのいい献立ができます。
すぐ食べることができるタンパク質食材を用意しておく
また、どうしてもタンパク質が不足する場合に備えて、簡単にタンパク質が摂れる食材をストックしておくこともおすすめです。
以下のような食材を冷蔵庫に入れておきましょう。
- 納豆(1パックあたり6.6~8.3gのタンパク質)
- ヨーグルト(100gあたり3.6gのタンパク質)
- 魚肉ソーセージ(100gあたり12gのタンパク質)
こうした食材を用意しておくことで、手軽にタンパク質の補給ができます。間食にも適しているので、ぜひ検討してくださいね。
筋トレ中はプロテインの過剰摂取に注意
筋トレ中の方は、効率的なからだ作りのためにもプロテインを摂取することも多いですよね。しかし、プロテインはタンパク質を配合した栄養補助食品のため、必要以上に摂取するのは危険です。
プロテインを過剰に摂取することで、タンパク質の過剰摂取だけではなくカロリーオーバーになるリスクが高まります。
筋トレをしているはずが体重が増えてしまったという事態になりかねません。
ただし、プロテインの摂取にはメリットもあります。
ひとつは、タンパク質の不足を補えること。前述したような納豆やヨーグルトではなく、プロテインを摂ることでタンパク質の不足が予防できるでしょう。
また、肉や乳製品と比較すると、プロテインは脂質が低いものが多いといわれています。そのため、体重コントロールしながらタンパク質を摂取したい方にはおすすめです。
タンパク質は「適量」を摂取しよう!
からだ作りに欠かせなく、美しい髪や肌の維持にも大切な栄養素であるタンパク質。ただし、摂りすぎるとからだに悪影響を及ぼす恐れがあります。
これからも健康な生活を続けるためにも、タンパク質を摂取する際は適量を摂取するよう意識してくださいね。
この記事を書いた人
あんしん漢方薬剤師
山形 ゆかり
薬剤師・薬膳アドバイザー・フードコーディネーター。病院薬剤師として在勤中、食養生の大切さに気付き薬膳の道へ入り、牛角・吉野家他薬膳レストラン等15社以上のメニュー開発にも携わる。
「健康は食から」をモットーに健康・美容情報を発信するMedical Health -メディヘルス-Youtubeチャンネルで簡単薬膳レシピ動画を公開するなど精力的に活動している。
症状・体質に合ったパーソナルな漢方をスマホ一つで相談、症状緩和と根本改善を目指すオンラインAI漢方「あんしん漢方」でも薬剤師としてサポートを行う。
参考URL
日本人の食事摂取基準(別添)
https://www.mhlw.go.jp/houdou/2004/11/h1122-2a.html
<Edit:編集部>