自律神経を整えるツボはどれ?部位別おすすめのツボと押し方 (1/4)
最近疲れやすい。心臓がドキドキする。めまいや頭痛が増えた。あなたが悩んでいる症状は、自律神経の乱れが原因かもしれません。
自律神経は、体の機能を自動的に調節している神経です。私たちが生きるうえで大切な働きをしていますが、ストレスや生活習慣の乱れによって、バランスを崩してしまうことがあります。
「自律神経の乱れを整えるツボ」などがありますが、ツボ押しで自律神経の乱れは改善できるのでしょうか? 漢方養生指導士エステティシャンの白崎順子さんが解説します。
基本の知識! 自律神経とは
自律神経は、交感神経と副交感神経の2つで構成されています。
交感神経
血液循環や代謝を上昇させ、活動性を高めます。車でたとえると、アクセルの役割をする神経です。
副交感神経
活動性を低下させ、体を回復・修復するよう働きかけます。車でたとえると、ブレーキの役割をする神経です。
上記2つの神経がバランスよく働くことで、私たちのからだは維持されています。そのため、自律神経が乱れるとさまざまな不調が起こってしまうのです。
自律神経には、どんな役割がある?
自律神経の、代表的な役割を紹介していきます。
心拍数の調整し、動機や息切れを防ぐ
交感神経は心拍数を上昇させ、反対に副交感神経は低下させる働きがあります。
自律神経が乱れて交感神経が常に刺激された状態になると、動悸や息切れなどの症状が出ることがあります。
消化活動を管理し、便秘や下痢を防ぐ
胃や腸などの消化管では、自律神経は消化液の分泌とぜん動運動(食べ物を先へ送り出す働き)に作用します。
交感神経が高まると、消化液の分泌とぜん動運動が抑えられ、逆に副交感神経が優位になると促進されます。
消化吸収をスムーズに進めるうえで、大切な役割を担っているのが自律神経です。きちんと作用していないと、便秘や下痢を引き起こす原因になります。
呼吸の速さや深さを調整し、スムーズにする
呼吸はある程度私たちの意思でコントロールできますが、大部分は無意識、つまり自律神経がコントロールしています。
交感神経が優位になると浅く早い呼吸になり、反対に副交感神経が優位になると、深くゆっくりとした呼吸になります。
運動していないのに息切れしたり、息苦しさを感じるときは、自律神経の乱れが原因かもしれません。
血圧を正常な値に保つ
交感神経が高まると心拍数と心臓の収縮力が強まり、血管も収縮して血圧が上がります。
反対に副交感神経が優位になると心拍数と収縮力が低下し、血管も広がって血圧が下がります。
病院で血圧を測ると家で測ったときよりも高くなる、という経験をしたことはないでしょうか。これは、緊張により交感神経が刺激されて起こる現象です。
体温を適正に保つ
交感神経が活発になると体温が上がります。活動するためのエネルギーを生み出し、熱を外へ逃さないよう皮膚の血管が収縮するからです。
反対に副交感神経が優位になるとエネルギー産生が抑えられ、末梢血管が拡張して体温が下がります。
汗が多量に出たり、からだがほてったりする場合は、自律神経の乱れが原因の可能性があります。
ストレス反応の調節や、リラックス状態の維持をする
大事な試験や仕事の前に、心臓がドキドキして呼吸が浅くなり、胃が痛くなった経験はありませんか?
人間はストレスを受けると交感神経が刺激され、からだが緊張状態になります。
反対に、リラックスしている状態で優位になるのが副交感神経です。からだを休ませて回復する働きが強くなり、心拍数や血圧は低下、呼吸は深くなります。
睡眠と覚醒のリズムを調節し、スムーズな入眠と起床を促す
私たちが朝スッキリ起きられるのは、交感神経のおかげです。朝から日中の間は交感神経が優位になることで、人は明るい時間帯を活動的に過ごせます。
そして、夜になるにつれて副交感神経が優位になり、からだは休息モードに入ります。
寝付きを良くしてぐっすり眠るために、大切な働きをしているのが副交感神経です。
朝になってもなかなか起きられない、布団に入っても寝付けないなどの悩みは、自律神経の乱れが関係しているかもしれません。
自律神経の乱れは、ツボ押しで改善できるのか
東洋医学において、ツボは「経絡」の要所
適切なツボを刺激すると、自律神経の乱れを整える効果が期待できます。ツボは東洋医学に基づく考え方で、主に鍼灸医学の分野で活用されています。
東洋医学でツボは「経絡」の要所です。
経絡とは、体中をめぐる「気」というエネルギーの通り道を指し、気には、人間の生命活動を支える大事な役割があると考えられています。
健康な状態では、気が体内をスムーズに流れています。
しかし、気が減少したり滞ったりすると、体の機能が低下して、さまざまな症状が出ると言われています[*1]。
この気のよどみを改善する方法が、ツボ押しです。ツボは経絡に沿って全身に点在していて、刺激すると、気の流れを整える効果があるとされています。
361個のツボが、国際標準として定められている
気・経絡・ツボは科学的に完全には解明されていませんが、東洋医学では古くから重要な概念として考えられています。
ツボの存在は世界的にも認められていて、2006年にはWHO(世界保健機関)によって361個のツボが国際標準として定められました[*2]。
手軽なセルフケアとして、ツボ押しはおすすめ
ツボ押しは科学的に未解明な部分も多いものの、古くから一定の効果が期待できるとされています。
不調を感じたときに手軽にセルフケアができるため、活用してみてはいかがでしょうか。
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