
それって梅雨ブルー?雨の日にだるい・眠い・やる気がでない原因&対処法
雨が降るとなんとなく体が重く感じたり、寝ているのに眠かったり、やる気が出なかったりすることはありませんか?
実は、雨の日は脳や自律神経にさまざまな影響が及んで、不調を引き起こすことがあります。低気圧が続くと体調が優れないと感じる方も多いですが、これは決して気のせいではありません。
雨の日は、気圧の変化や湿度の高さによって、体が休息モードになりやすいと言われています。頭痛や倦怠感を訴える人も多く、どうしても集中力が持続しにくいのが雨の日特有の悩みです。
でも仕事もあるし、集中できる状態にするためにはどうしたらいいのか?雨の日の不調に困っている方のために、不調の原因とすぐできる簡単な対処法について、脳外科医で医学博士、S Oグレイスクリニック院長・近藤 惣一郎先生に教えてもらいました。ぜひ参考にしてみてください。
<このページの内容>
雨の日の不調、主な原因は?
まずは、雨の日にどうして不調を感じやすくなるのか、その主な要因を見ていきましょう。
1. 日照不足によるセロトニンの減少
まず、最も大きな要因は日照不足です。晴れた日には太陽の光を浴びることで「セロトニン」という脳内ホルモンが分泌されます。セロトニンは心を明るく保ち、覚醒状態を維持する働きがありますが、雨の日は空が曇っていて光が弱くなるため、このセロトニンの分泌が減少してしまいます。
また、セロトニンが不足することで、代わりに眠気を誘う「メラトニン」の分泌が優位になることも、眠気が起こりやすいと言えます。
2.気圧の低下による自律神経の乱れ
雨の日は気圧が下がることも、不調になる一因です。気圧が下がると、自律神経のバランスが乱れやすくなります。特に、副交感神経(リラックス状態をつかさどる神経)が優位になりやすく、体は無意識のうちに「休息モード」に入ってしまいます。
その結果、やる気が出にくくなったり、ぼーっとしたり、眠気を感じやすくなります。また気圧が低下したり湿度が上昇すると、身体の関節や筋肉、靭帯が伸びたりして、それが関節の痛みや頭痛、肩こり、腰痛にもつながります。
3. 酸素濃度の低下・空気の重さ
低気圧の影響で空気中の酸素濃度も、わずかに下がります。酸素が薄くなると、体内に取り込まれる酸素の量も減少するため、脳の働きが鈍くなり、集中力が低下しやすくなります。これにより、だるい、やる気がでないなどの不調が出やすくなります。
4. 雨音や暗い空模様による心理的な影響
雨音や暗い空模様による心理的な影響も見逃せません。しとしとと降る雨音は、良い意味では人によっては癒しや安心感をもたらし、自然と気持ちが落ち着くものです。
しかし その一方で、薄暗い天候は活動的な気分を抑えて、心身を休めたいという感覚を引き起こすことがあります。ですから雨の日には普段以上にブルーな気持ちになりやすく、不調を感じることも多くなることがあるのです。
雨の日に不調になりやすい人の特徴
雨の日の不調は誰にでも起こり得ますが、特に感じやすい人にはいくつか共通点があります。
ストレスを感じやすい人
ちょっとしたことで緊張したり、イライラしたり、落ち込みやすいタイプの人。
生活リズムが不規則な人
夜ふかしが多い、寝る時間・起きる時間が毎日バラバラな人。食事の時間が不定期な人も含まれます。
低血圧の人
気圧が下がると血流が悪くなり、脳への酸素供給が不足して眠気が出やすくなります。
気圧や天候に敏感な体質の人(気象病体質)
気圧の変化に過敏で、頭痛やだるさ、眠気などの症状が出やすくなります。
運動不足で日光を浴びる機会が少ない人
セロトニンの分泌が不足して、体内時計が乱れやすくなります。
室内作業が多く、外に出る習慣が少ない人
特にデスクワーク中心で日中に自然光を浴びない生活をしていると、眠気を感じやすくなります。
睡眠不足または睡眠の質が悪い人
日頃の疲れが抜けきらず、雨の日のリラックス状態で一気に眠気が出やすくなります。
うつ傾向や精神的に不安定な状態にある人
天気の悪さが気分の落ち込みを助長し、眠気や無気力につながることがあります。
腰痛や肩こり、膝や肘の関節に問題を抱えている人
気圧と湿度の変化で 筋肉や関節を構成する靭帯などの伸び・縮みにより症状が悪化することがあります
気象病(天気痛)とは?雨の日との深い関係
気象の変化によって体調を崩すことを気象病(天気痛)と呼びます。雨の日の不調との関係も見ていきましょう。
気象病の代表的な症状とは
気象病では、頭痛、関節痛、めまい、耳鳴りなどが代表的な症状として知られています。これらは気圧の上下による自律神経の乱れや血流の滞りが原因と考えられます。慢性的にこのような症状が続く場合は、ぜひ専門家へ相談してください。
耳のセンサーが不調を引き起こす
耳の奥にある前庭や三半規管と呼ばれる器官には、気圧の変化を察知するセンサーの役割があります。低気圧時にはこれらのセンサーが過度に刺激され、自律神経系に混乱をもたらします。
その結果、頭痛や集中力の低下、眠気などが発生します。こうしたメカニズムを把握しておくと、気圧の変動が激しい日でも対処策を準備しやすくなります。
脳外科医のアドバイス「雨の日の不調は、交感神経を高めればいい」
「雨の日の倦怠感や眠気には、副交感神経に偏った自律神経を整えて、交感神経を高めるアプローチが効果的です」と、脳外科医・近藤 惣一郎先生は言います。
交感神経が優位になると、身体は活動モードに入りやすく、だるさや眠気を感じにくくなります。交感神経を高めるためには、軽い運動や朝に行うストレッチ、あるいは起床後にしっかりと太陽の光を浴びるなどの日常の習慣がポイントです。
ストレスや疲労が蓄積していると交感神経そのものが反応しづらくなることもあるため、バランスを維持しながら行動を継続していくことが理想的です。
雨の日の不調が辛い…すぐできる簡単な対処法
今すぐできる簡単な対策を取り入れて、雨の日のだるい、眠い、やる気がでないブルーな気持ちを撃退しましょう。
1. ガムを噛む
噛む動作は脳への血流を増やし、覚醒度を高める効果があるとされています。甘すぎないガムをゆっくり噛むことで、集中力を途切れにくくしつつ気分転換もできます。小さな動作ですが、思い立ったらすぐに実行できるのがメリットです。
2.コーヒーを飲む
カフェインをほどよく摂取すると、脳が刺激されて眠気を抑えられます。ただし夕方以降に飲むと夜の睡眠に影響が出ることもあるため、タイミングには注意が必要です。飲みすぎは胃に負担をかけることもあるので、適量を心がけるとより効果的です。
3.柑橘系のアロマでリフレッシュ
オレンジやレモンなど柑橘系の香りは気分をリフレッシュさせ、脳を程よく刺激してくれます。アロマディフューザーを使ったり、ハンカチに精油を少量垂らしたりと、簡単に取り入れられるのも魅力です。ほんの少しの香りでも気分が軽くなり、室内でも快適な環境を作る手助けとなります。
ブルーな気持ちを吹き飛ばす!簡単&手軽なエクササイズ4選
体を動かすことで血流を促進して、倦怠感や眠気を解消するエクササイズを紹介します。
1. 簡単な耳のマッサージ
耳をマッサージすると、首の骨「頸椎」を通る血管「椎骨動脈」を刺激することになります。「椎骨動脈」は、小脳や脳幹、内耳へ血液を供給する重要な血管の一つです。体のバランスをとったり、呼吸や睡眠をコントロールしたりする働きがあります。耳をマッサージすることで血流がよくなると、眠気やだるさ、めまいの改善にもつながります。
耳マッサージのやり方
1.耳たぶを親指と人差し指で軽くつまんで、少しだけ下に引っ張って5秒キープ。
2.耳の上を同じようにつまんで、上に向かって引っ張って5秒キープ。
3.耳の横、真ん中あたりも、外側に軽く引っ張ってみましょう。
引っ張る動きはどれもやさしく、痛くない程度でOKです。

4.最後に、耳の前にある小さなふくらみ「耳珠」を親指でグッと押してください。数秒押すだけで、交感神経が刺激されるため、眠気がスッと抜けていきます。
2.簡単ふくらはぎマッサージ
第二の心臓とも呼ばれるふくらはぎは、軽く揉んだり押したりすることで、血流を促進して、全身の疲労回復を助けます。
長時間同じ姿勢で過ごすことでむくみが生じやすい雨の日こそ、ふくらはぎのケアはおすすめです。下半身の血液循環が改善すれば、活動しやすくなる効果も期待できます。
3.首肩のストレッチ
首や肩周りのコリは、日常的な姿勢の乱れやストレスによって知らないうちに溜まります。雨の日に限らず、軽く首を回したり、肩をぐっと上に上げてストンと下ろしたりしましょう。ストレッチは血行を促して、不調を解消する助けになります。
パソコンやスマホを長時間使用している人こそ、意識的に取り組みたいエクササイズです。
4.室内ウォーキング
悪天候で外を歩くのが難しいと感じるときは、室内を少し早足で歩いてみるのも良い方法です。短時間でも心拍数が上がり、酸素の巡りも良くなることで、眠気やだるさが薄れていきます。
廊下やリビングを往復するだけでも構わないので、気分転換として気軽にチャレンジしてみましょう。
軽い運動や軽い筋トレは交感神経を刺激するのにおすすめですが、激しい運動は厳禁。逆に運動後に疲れや眠気が出てしまいます。
雨の日の不調が続くときは…生活習慣を見直す
対策を行っても不調が続く場合は、基本的な生活習慣を見直すことが大切です。
早寝早起き
規則正しい睡眠リズムを保つことで、自律神経が整い、天気の変化に負けない体を作ることができます。
雨や曇りの日でもわずかですが、日の光はあります。窓際で1時間程度過ごすと有効です。日の光を浴びて体内時計をリセットして、一定の時間に就寝・起床するサイクルを整えましょう。
休日もリズムを崩さないように心がければ、雨の日の不調にも耐性がつきやすくなります。
夜にスマホを見ない
スマホやパソコンなどのブルーライトは、睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌を妨げる原因となります。寝る前1時間は画面を見る習慣を控えることで、スムーズに入眠でき、質の良い睡眠を得やすくなります。
十分な休息を取れれば、翌日の雨でも不調を感じにくい体を作ることにつながります。
子どもや高齢者が雨の日に不調を感じる場合の注意点
子どもや高齢者は自律神経が乱れやすく、雨の日の体調変化に対する配慮が必要です。
特に子どもの場合、体調不良を上手に言葉で伝えられないことがあります。親や周囲の大人がこまめに様子を確認して、適度に休息を促すことが大切です。
高齢者も体温調節機能や血圧調整が難しくなるため、雨の日に疲れが蓄積しやすい傾向があります。体調の変化が大きいと感じたら、医療機関の受診を検討しながら、負担を減らす生活リズムを心がけましょう。
雨の日の不調を放置するリスクと仕事・学習への影響
雨の日の不調を軽視すると、仕事や学習の能率が下がり、細かなミスや判断ミスにつながりやすくなります。特に大事な会議や試験などの前には、早寝早起きや適度な休憩を取るように心がけましょう。
倦怠感や眠気は一時的ではあっても、積み重なるほどダメージが蓄積されてしまいます。長期的に見れば心身の健康にまで影響を及ぼす可能性もゼロではないため、生活習慣の見直しを行いましょう。
不調不良が続く時は、医療機関を受診してください。最近は「気象病外来」や「天気痛外来」などといった、専門外来もあるようです。
監修者プロフィール
美容外科 SO グレイスクリニック院長
近藤惣一郎
医学博士(京都大学)
ロンリー侍ドクター
日本脳神経外科学会専門医
日本美容外科学会(JSAS)専門医
1988年 京大医学部卒
若返り専門の美容外科医。美は健康の上になり立つという理念のもと、正しい食生活・運動習慣・ダイエットに関する知識が豊富で、自らもダンサーとして、プロフィッシングアナングラー(DAIWA)として、若さとナイスボディを保ち続ける。
Instagram:https://www.instagram.com/kondo.soichiro/
<Edit:編集部>