風邪のとき筋トレ
ヘルス&メンタル
2025年6月19日

風邪のときに筋トレしてもいい?症状別の注意点とベストな再開タイミング

「風邪気味だけど、筋トレを休むのがもったいない…」そんな風に感じるトレーニーは少なくありません。確かに習慣化した筋トレを休むのは、不安になるものです。でも、体調が万全でないときの筋トレは、むしろ回復を遅らせてしまう可能性があります。

風邪の症状別に筋トレを続けていいのか?判断基準を、スポーツ整形外科医の三河 聡志先生に教えてもらいました。ほかにも、ベストな筋トレ再開のタイミング、筋トレと風邪の関係、風邪の時の筋トレに関するよくある質問についても回答してもらいました。

風邪のときに筋トレしてもいい?判断基準

風邪の症状があるときに筋トレを続けても良いのか、不安になりますよね。症状の種類によって対応が異なるので、まずは正しく判断することが大切です。

軽い風邪の場合

軽い風邪症状(鼻水・鼻づまり、のどの痛み等)のみで、発熱や強い倦怠感がない場合には、軽い運動であれば問題ないこともあります。たとえばウォーキングやストレッチなどの低強度の有酸素運動は、むしろ血行を促進して、免疫反応を助ける効果があるという研究もあります。

このときに判断基準の参考になるのが「ネックルール」です。

ネックルールとは?

喉より上の症状(鼻づまり、くしゃみ、喉の軽い痛みなど)だけであれば、軽度の運動は許容されるという考え方。一方で、喉より下の症状(発熱、咳、筋肉痛、胸の違和感など)がある場合は運動を控えるべきとされています。

発熱・咳・強い倦怠感がある場合は絶対にNG!

以下のような症状がある場合は、筋トレを含める、すべての運動を中止してください。

・発熱(37.5℃以上)
・激しい咳
・全身の倦怠感
・関節や筋肉の痛み
・下痢や吐き気などの消化器症状

体内では免疫機能がフル稼働してウイルスと戦っている状態で、そこに筋トレで身体にさらなる負荷をかけることは逆効果になります。さらに、まれに筋トレによって心筋炎などの合併症を引き起こすリスクも報告されています。

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なぜ筋トレを休めない?その心理とリスク

「休むのが怖い」「筋肉が落ちるかも」と思ってしまうのは当然です。しかし、無理をすることでかえって回復が遅れる可能性があります。

筋トレを「休むことが不安」な人の心理

筋トレを習慣化している人にとって、「1日でも休むのが怖い」という気持ちはよくわかります。

・筋肉が落ちてしまう気がする
・習慣が途切れるのが怖い
・ダイエットの効果が台無しになりそう

しかし、風邪の時に無理をして筋トレをすると、体調の悪化→トレーニング期間がもっと延びるという悪循環に陥る可能性があります。

筋肉はすぐには落ちない!

風邪で1〜2週間休んだ程度で筋肉量が大きく減ることはありません。筋トレ上級者の場合は、「マッスルメモリー」と呼ばれる筋肉の記憶によって、短期間で元に戻すことも可能です。

筋トレ再開のタイミングと方法

風邪が治ってきたからといって、いきなり元のメニューに戻すのは危険です。筋トレ再開のベストなタイミングと、安全にトレーニングを再開するためのステップを解説します。

筋トレ再開のステップ

タイミング 内容
回復初日〜2日目 軽めのウォーキングやストレッチのみ
3日目〜5日目 自重トレーニング(腕立て伏せ、スクワットなど)を軽めに
6日目以降 徐々にウエイトを戻していく(強度は6~7割から)

再開後に注意すること

・こまめな水分補給をする
・食欲が戻ってから、十分な栄養を取る
・寝不足・疲労が残る日はやめる勇気も必要

筋トレと風邪予防の関係

筋トレは健康維持に役立つ一方で、やり方を間違えると風邪を引きやすくなる原因にもなります。筋トレと免疫の関係は?予防に役立つ習慣について解説します。

激しすぎる筋トレが免疫を下げる?

短期的な筋トレは免疫に良い影響がありますが、長時間・高強度の筋トレを毎日続けると免疫力が一時的に低下するとする研究もあります。

「やりすぎは逆効果」ということを意識して、適度な休息日(リカバリーデイ)を設けましょう。

筋トレをやりすぎると免疫力が下がるってホント?ゴールドジムトレーナーが解説

風邪に負けない体を作る習慣

睡眠:7〜8時間は確保する
栄養バランス:特にたんぱく質、ビタミンC、亜鉛を意識して摂る
ストレス管理:趣味や深呼吸で自律神経を整える

亜鉛不足のまま筋トレするとどうなる?効果的なとり方と、亜鉛を多く含む食べ物・食材[管理栄養士監修]

風邪の時の筋トレでよくある質問(Q&A)

Q1. 熱がないなら筋トレしてもいい?

A. 鼻水や喉の痛み程度なら軽い運動はOK。ただし疲れを感じるなら無理せず休みましょう。

Q2. 風邪のときにプロテインを飲んでも大丈夫?

A. 食欲があるならOK。ただし胃腸が弱っているときは、消化に負担をかけることもあるので無理は禁物。

Q3. 1週間休んだら筋肉が落ちますか?

A. ほぼ変わりません。再開後にすぐ元に戻るので安心してください。

Q4. 風邪を引かないために気をつけるべきことは?

A. トレーニング後の手洗い・うがい、過剰な筋トレを避ける、睡眠と食事の見直しがポイントです。

Q5. 風邪の時におすすめの栄養素は?

A.グルタミンです。グルタミンは筋肉の分解を抑制して、免疫力向上をサポート、傷の修復に作用します。またビタミンCも免疫を高め、風邪からの回復を早めるため、トレーニーにおすすめの栄養素です。

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監修者プロフィール

スポーツ整形外科医
三河 聡志

三河 聡志医療法人一誠会みかわ整形外科クリニック 理事長
資格等:日本整形外科学会専門医
日本整形外科認定リウマチ医
日本整形外科認定スポーツ医
2023年5月 みかわ整形外科クリニックを開院。「楽しく元気に」を合い言葉に職員一丸となり、治療に取り組んでいます。診療の中心は整形外科であり、関節の痛み、打撲や骨折等の怪我、交通事故、労災などに対応しています。当院では乳幼児から100歳を超える高齢者まで通院されており、非常に幅広い層の方々にご利用いただいています。
加え、医療脱毛、光治療やドクターズコスメといった美容医療も提供しており、身近で楽しく何でも相談できるクリニックです。
患者様が通院を苦と感じず、むしろ楽しくて受診したい、気軽に相談しに行きたいと思っていただける医療を提供します。

<Edit:編集部>