持久力がほしいランナーに最適な食事とは? サッカー日本代表・長友佑都の専属シェフがスペシャルメニューを披露 (1/3)
一流アスリートは普段、どんな食事をしているの? そんな疑問を抱いたことのあるMELOS読者も多いのではないでしょうか。都内では2月10日、東京マラソン2019のオフィシャルパートナーであるアメリカン・エキスプレス・インターナショナルが主催となり、サッカー日本代表の長友佑都選手の専属シェフを務める加藤超也(かとう・たつや)さんが「ランナー向け 持久力につながる食生活」を紹介しました。
長友選手の食事、その効果は?
加藤超也さんは1984年生まれの元イタリア料理店シェフ。2016年当時、イタリア・ミラノのインテルに所属していた長友佑都選手の専属シェフとなり、現在もトルコ・イスタンブールと日本を行き来しながら、食事面で同選手をサポートしています。都内で開催されたイベントには市民ランナーを中心に約20名が来場して賑わいました。
▲長友佑都選手の専属シェフ、加藤超也さん
「3年前、体幹トレーニングを中心にコンディションづくりに励んでいた長友は、肉離れ、肩の脱臼など1年に3、4回という頻度で怪我に悩まされていました。本人も『サッカー選手なので怪我は当たり前』と思っていた。でも戦線離脱が続けば、チーム内での立場も悪くなり、本来のパフォーマンスも発揮できなくなる」と加藤シェフ。当時の長友選手は甘い物が大好きで、例えばミラノのお気に入りのパン屋ではアンパン、メロンパンを大量に買い込んで毎朝それを食べるなどしていたそうです。
▲二人三脚の「食トレ」で目指したのは、ケガをさせない・選手寿命を延ばす食事
そこで、二人三脚の「食トレ」がスタートしました。加藤シェフが目指したのは、ケガをさせない・選手寿命を延ばす食事。徹底した数値管理を行い、PFCバランスと栄養素計算に基づいたレシピを研究します(PFCとはP:タンパク質、F:脂質、C:糖質のこと)。加藤シェフは「本人は4年後のカタール・ワールドカップにも出たいと言っています。なんとしてもケガをしない、選手寿命を延ばす食事をつくってあげたい。そこで食材、調味料はグラム単位で記録するなど、徹底した数値管理を行いました。すべての栄養素の計算を行い、何が長友の身体に必要か、を熟慮しました」と振り返ります。
顧問の北里研究所病院 山田悟氏の協力もあおぎ、3つのポイント「血糖値をコントロールした長友選手専用料理の考案」「徹底管理された数値データとレシピ」「医学的エビデンスを根拠にした食事」に配慮した結果、タンパク質3、脂質4、糖質3というバランスに行き着きます(この脂質をエネルギーに変える食事法については、記事の後半で解説します)。
▲長友選手の食事は、タンパク質3、脂質4、糖質3で構成されるそう
「昔はプロテインなども摂取していたようですが、食事トレーニング開始後は、すべての栄養を食材から摂取するようになりました。私の方でも、練習が終わるとメールで『いまから帰ります』と連絡が届くので、急いで調理をスタートするという毎日が続きました」(加藤シェフ)
なおリカバリーのための食事は、運動後なるべく30分~1時間以内で済ませられると良いそうです。食事サポートのおかげもあり、3年間、大きなケガに見舞われなかった長友選手。2018年10月24日に行われたチャンピオンズリーグ・シャルケ戦では、強いボールが胸に当たった外傷が原因の肺気胸になってしまいましたが、筋肉系のケガが激減したことを見ても、アスリートにとっていかに食事が大事かということが分かります。