インタビュー
2017年8月30日

コンディションに合わせた食事作りがモットー。バスケットボール五十嵐圭の妻・本田朋子<前編>【アスリートの妻が教えるとっておきレシピ #3】

 スポーツ選手を夫に持つアスリートの妻(アス妻)。ご自身も著名人として活躍されている注目のアス妻たちにご登場いただき、食事作りや勝負メシ、さらには日々の暮らしのことなどをお訊きします。

 第3回は、昨年、B.LEAGUE新潟アルビレックスBBに移籍した五十嵐圭選手とともに新潟に移り住んだフリーアナウンサーとして活躍する本田朋子さん。新潟の美味しい食材を使って作る日々のお料理の話や穏やかな生活、そして家庭とお仕事のバランス。イキイキと語るその表情から、充実した現在の暮らしが伺えました。そんな本田さんのアス妻ぶりに迫ります!

その日の献立はスーパーに行かないと分からない!?

--日々の暮らしの中でアスリートの妻として、旦那さまをサポートするために気を付けていること、工夫していることはありますか?

 一番はそのときの主人のコンディションにあった食事を、というのが自分の中でのモットーですね。かつ、彩りよく食欲が出るように、楽しい食卓になるようなメニュー作りを心掛けてはいます。

 それと、やっぱり美味しくないとダメだし、見た目も食欲をそそるものじゃないといけないと思うので、自分たちがなるべくそのとき食べたいって思うものを食べるようにしてますね。その上で栄養バランスとかを調整するようにしています。

 アスリートにもいろんなタイプの方がいて、完全に栄養素は何と何と何で、カロリーはこれです、これを食べてくださいって言われた方がいい人もいらっしゃいますが、主人はそういうのを根つめて言われると、いいパフォーマンスができなくなっちゃうタイプ。なのでなるべく自然体にしてあげて、食材も地のものを使って新潟での生活を楽しめるように食卓で新潟の美味しさを伝えたい。これは新潟で採れた有名な野菜なんだって思うと主人はやっぱり新潟出身ですし、よりテンションも上がるかなって思って。

--旦那さまのコンディションによってメニューを変えるとのことですが、それは本人にどんな状態か聞きますか? それとも生活の中で感じとるといった感じですか?

 「今日の身体はどうだった?」という会話を毎日しているので、「今日は膝がいたかったな」とか「今日は疲れたな」とか、練習内容がハードだったっていうのを聞くと、翌日はニンニクをちょっと入れてみたり、豚肉を多めにしたりっていうふうに気を付けてますね。

--メニューは1週間分ぐらい作ってやっているんでしょうか?

 いや、その日の私のインプレッションです。スーパーに行って、旬ものの食材が出ていたら、朝どれ野菜を使ったりとか。スーパーでもその日によって置いている魚の種類が違ったり、お肉の種類が違ったりすることもあるので。

--東京や前に住んでいた名古屋とは、売っている食材などに違いがありますか?

 違います! とくに魚の種類が違ったりしますね。お肉とかでも、この肉の種類は多いけど、この肉は少ないとかあるし。あと、野菜の種類や特産品とかも違いますよね。新潟では今の時期だと枝豆が有名で、作付け面積が全国で1位だったりするんですよ。夏は茶豆が出て、トウモロコシも美味しいし、アスパラガスも美味しくて、これからは茄子も美味しくなってっていう。そういう新潟の季節感を感じられるように、栄養面だけではなくて、旬のものっていう意識はすごくしています。

--スーパーに行ってみて初めてメニューが決まる。では旦那さまは、今日は何が出てくるかは食卓を見ないとわからない?

 そうですね、私がスーパーに行かないと決まらないし、私も行かないとわからない(笑)。だいたいのメニュー構成というか、なるべく油物は少なくとか、今日は魚だなとか、疲れてたり風邪が流行ってたらきのこ類を多くしようとかっていうのは大まかには決めてますけど、具体的なメニューはスーパーに行ってから決めるタイプなので。

▲この日の食卓はプルコギとサムギョプサルのスタミナメニュー(写真:本人提供)

--それで本田さんのブログにあったようにアジがイワシになったりとういことが起こるんですね。イワシと知った旦那さまはテンションが下がったって。

 そうなんです、サンマとイワシは小骨が苦手みたいで。今日はアジフライって思ってたのに、スーパーに行ったらアジがなかった(笑)

--食事作りで、旦那さまの苦手なものはあえて出さないとかでははない?

 たとえばサンマとかイワシだと、そのまま焼いて出すと絶対に嫌がるのでフライにしたりします。そのフライも小麦粉のパン粉を使うのではなくて、米粉のパン粉っていうのがあって、小麦粉に比べて油の吸収が少ないので米粉を使います。苦手なものは調理法や味付けなどでカバーしますね。カレー粉をちょっとまぶしてみたりとかで食欲がわくようにしています。

--苦手なものでもそういう風にすれば食べてくれる?

 そうですね、ちょっとイヤイヤですけど。でも、これはこういう風に身体に効くんだよとか、今コンディションがこういう状況だからこれを食べた方がいいから出したんだよって言うと、シブシブではありますけど食べてはいますね。

レシピ通りには作れない。料理は感性で作るのが本田流!

--お料理の写真をブログで拝見すると、メインのほかにも小鉢の副菜がたくさんあってとても温かい雰囲気の食卓ですが、お料理を作るときは何か参考にしているものがあるのでしょうか? それとも料理教室に通われたとか?

 料理教室には大学時代に1〜2年間ぐらい通っていましたが、事前に何か調べて決めることはないです。スーパーに行ったときのインプレッションで決まってしまうので。でも、お店で食べて美味しかったなっていうものだったり、盛り付けの仕方だったりっていうのは結構参考にはしています。「この間カフェで食べたヒジキがカレー粉で和えてて美味しかったな」みたいな、そういうところからヒントをもらったりしてますね。

 あとはたまにレシピ動画アプリを見ていますね。すごく大雑把なので、本を見て書いてある分量通りに作ることができないんです。動画なら手順がダイジェストで見られるし、レシピも簡単で「だいたいお醤油とみりんと酒は1:1:1なのね」「こういう感じなのね」っていうのを頭に入れて、それで味見しながら自分の塩梅で作るっていう。

--外食やレシピ動画アプリでヒントを得て、自分流で作ってしまう。お料理の才能は天性のものかもしれませんね。

 外食は私にとってリフレッシュの場であり、盛り付け方や味の勉強の場でもあるかなと思います。「こういう食材に、こんな味付けが合うんだ!」とか、「こう盛り付ければカッコイイ」とか。でも、適当なので同じ味のものは多分二度と作れない。量ってないので。失敗しちゃうこともたまにありますけど、なんとか感覚でごまかして。「酸っぱいからもうちょっと甘味を足そう」とか、「もうめんどくさいからカレー粉入れちゃえ!」とか。

--本田さんは、おおらかなタイプなんですね。それも毎日の食事作りを楽しむコツですね。

 おおらかというか、B型でその場の気分を大事にするタイプなので、性格の雑さの問題です(笑)。これをしなきゃとか、この通りに作らなきゃって思うと多分ストレスになるんでしょうけど、そのときに美味しいものを、自分の食べたいものをとか、こういう味付けしてみようとかって楽しめているので、多分食事作りも苦にはなってないのかなって。

ここイチバンの勝負メシは「牛肉」

--旦那さまはバスケットボールの選手ですが、この競技ではこういうところに気を付けた方がいいっていうのはありますか?

 バスケットボールは、相手選手とけっこう身体がぶつかる機会も多いんです。ゴール下で大きな外国人の選手と身体をぶつけるとか、ぶつかってくるとか、飛ばされるとかっていうのがあるので、あまり体脂肪を落としすぎるとケガをしやすくなると思うんですね。ある程度の肉感もあった方がいいので、体重は増やしすぎず、でも体脂肪は減らしすぎずというのが大事なのかなと。

 だからお肉では鶏の皮とかは取り除きますけど、たとえば豚バラは絶対に食べないってことはしないです。そこらへんはあまり気にせずに。揚げ物はなるべく少なくするようにしていますが、でも主人の大好物の唐揚げは月に1回ぐらいは作ってあげなきゃなぁっていう感じです。オフの日にはトンカツも食べに行きますよ。

--試合の前にコレを食べればテンション上がるというような「勝負メシ」はありますか?

 勝負メシはもう、なんといっても牛肉料理ですね。必ず牛肉を食べます。普通に焼いたり、ステーキ丼(※レシピはのちほどご紹介!)にしたり。土日に試合があるので週末は牛肉なんですが、牛肉メニューってけっこう限られてくるので、必然的に2週間に1回ぐらいはステーキ丼になりますね。

▲勝負メシのステーキ丼(写真:本人提供)

 実は主人は鉄分が不足しがちなので、鉄分を摂ったほうががいいですよっていうのをDNA検査をしたときに言われて。それでその後、試合前に牛肉を出してみたらすごい活躍したんです。それが主人の中でも「オレ、牛肉食べた方がいいかな」ってジンクスっていうか、ゲンかつぎみたいなことになって。栄養素的にもちょうどよくて、鉄分もたんぱく質も摂れるし、丼ものならごはんもいっぱい食べられる。試合前はとにかく炭水化物を多めに摂ってもらって、それで糖質も十分摂れますから。

--旦那さまはお料理について何か言ってくれますか?

 いや、もうほとんどノーリアクションです。リアクションはぜんぜん薄いです。家ではおっとりしている感じなんで。苦手なサンマとイワシが出てきたときだけ「え、コレ何?」みたいなのはありますけど、「メチャクチャ美味しい〜!」とかっていうリアクションはしてくれないです。結婚当初はありましたが、だんだんリアクションは薄くなってきて黙々と食べてる。だからそこで地場野菜とかのネタを提供して、テンションあげてます。

--旦那さまがチームメイトをお家によく連れてこられるっていうお話もありますが、そんなときのおもてなし料理もパパッと?

 名古屋のときはみんな市内に住んでいたのでよく連れて帰って来てて、最初のうちは私もがんばってて、20品ぐらい料理を作って。夕方の4時から夜中の2時ぐらいまで、ずーっとキッチンで作り続けてたんですよね。10時間ぐらいずーっと作ってて、出せば出すほどみんな食べるので足りないのかなって思いながら出してました。でもそれじゃ多分みんなの健康にも悪いし、そんなにがんばってたらこの先私が持たないと思ったから、それからは品数もなるべくシンプルにしたりとか、人数減らしてもらったりとか、ごはん食べてからきてくださいって言ったりとかしましたけど(笑)。

 主人が家に人を呼んでみんなとワイワイするのが好きですね。チームメイトとバスケの話をするのが好きで、それを側で聞いてると必要な時間だなってやっぱり思うし、来てくれるのはうれしいことですし。なのでそのときにチョチョッとできてヘルシーで、ちょっと見映えもよくてっていうおもてなし料理が作れるようにはいろいろ試行錯誤しています。

●ステーキ丼のレシピ
<材料(2人分)>
牛ヒレ肉ステーキ用…1枚
牛モモ肉ステーキ用…1枚
油…少々
ニンニク(スライス)…1粒
小松菜…1/2束
エリンギ…大1本 ※小松菜とエリンギはお好みで量を加減
大根おろし…適量
大葉(千切り)…6枚
ごはん…適量
白ゴマ…適量

【ステーキ丼のタレ】
醤油…大さじ3
みりん…大さじ2
酒…大さじ3
お酢…大さじ3

<作り方>
1.小松菜、エリンギはさっと茹でるか、電子レンジで蒸し、食べやすい大きさに刻んでおく。
2.【ステーキ丼のタレ】の調味料を鍋に入れ、ひと煮立ちさせて酢の酸味を飛ばす。
3.牛ヒレ、牛モモ肉に塩コショウ(分量外)で下味を付け、油を入れたフライパンにニンニクを入れて香りがでたら2種の牛肉を焼く。
4.ごはんに白ゴマを混ぜて丼にもり、準備しておいた小松菜とエリンギをごはんの上に敷き、その上に食べやすい大きさに切った牛ヒレ、牛モモ肉をのせ、中央に大根おろし、そのまわりに千切りにした大葉を彩りよく散らす。
5.最後にひと煮立ちさせたタレを温かいうちにかける。

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⇒後編へ続く
家庭が平穏ということがすごく幸せ。バスケットボール五十嵐圭の妻・本田朋子<後編>【アスリートの妻が教えるとっておきレシピ #3】

[プロフィール]
本田朋子(ほんだ・ともこ)
フリーアナウンサー。1983年生まれ。愛媛県出身。立教大学卒業、2006年フジテレビ入社。「すぽると!」(土曜日)、「ペケ×ポン」などの人気番組を担当し、2013年9月フジテレビ退社。趣味はスポーツ観戦で、アスリートフードマイスターの資格を持つ。夫はバスケットボール選手の五十嵐圭(B.LEAGUE 新潟アルビレックスBB所属)

<Text:京澤洋子(アート・サプライ)/Photo:斉藤美春>