筋トレをやり過ぎるとどうなる?こわ~い「オーバートレーニング症候群」とは (3/3)
横紋筋融解症にも注意
稀ではありますが、熱心にトレーニングに取り組み過ぎるあまりオーバーワーク状態に陥り、筋肉への負荷が限界を超えると、「横紋筋融解症」と呼ばれる症状が現れることもあります。
横紋筋融解症とは
横紋筋融解症は筋肉細胞が破壊され、血中に流れ出すことで引き起こされます。そ
の物質が腎臓を始めさまざまな臓器に影響を与えて腎不全の原因となり、最悪の場合は死に至ることもある病気です。
横紋筋融解症は外傷や感電、感染症、薬の副作用なども原因になります。しかし、よく知られている事例として挙げられるのが、強度の高い運動によって極端に筋肉を酷使した後に発症してしまうことです。
以前は軍隊の行軍やマラソンなど、長時間にわたる運動が原因となるケースが知られていました。しかし近年になって、クロスフィットやHIIT(ヒット)など、短時間で強度の高いトレーニングを行う人にも起こりうることが分かってきました。
こんな人がなりやすい!
一般の人や運動不足の人は、横紋筋融解症になる危険性は少ないでしょう。そのような人はそもそも強度の高い運動をするだけの体力がないからです。
もしそのような機会に見舞われたとしても、多くの場合は心理的ブレーキがかかり、体に害が出るまでに自分で運動をやめてしまいます。
危険なのは、ある程度トレーニングを経験した中~上級者、あるいは元アスリートでブランクを経てトレーニングを再開した人です。自分を極限まで追い込むため、リミッターを外してしまうのです。
また、高温多湿などの悪条件から来る脱水状態も、横紋筋融解症を誘発することが分かっています。
横紋筋融解症の症状
横紋筋融解症にかかると、極度の筋肉痛、吐き気、嘔吐、頭痛、痙攣(けいれん)などの症状が現れます。そして、コーラ色の尿が出ることもあります。
赤っぽい色をしているので血尿と間違われることも多いのですが、これは筋肉が壊れて出てくるミオグロビンという物質が、腎臓を通して尿中に排泄されているものです。
このような尿が出るというのは、大変危険な状態である可能性があります。なぜなら、ミオグロビンは腎不全を引き起こすからです。
横紋筋融解症の予防と回復
横紋筋融解症にかかっても、ほとんどの場合は数時間から1週間程度の点滴注射による水分補給で回復します。
横紋筋融解症の症状がある場合は、即座にトレーニングを中止して医師に相談してください。
参考記事:ハードな筋トレのやり過ぎで起こる病気「横紋筋融解症」とは。原因・症状・予防方法をトレーナーが解説
<Edit:編集部>