入浴科学者が教える、心身を癒す【お風呂の入り方】3か条 (2/2)
コロナ禍における正しい入浴の方法
就寝90分前の入浴でよい睡眠をとろう
「良い睡眠は免疫力を高めてくれます。睡眠不足や疲労が蓄積すると免疫力が下がってきますが、40℃程度のぬるめの湯に就寝90分前の入浴で、質のよい睡眠がとれ、疲労も回復します。また、入浴は、血流を改善しますが、血流が良くなることで免疫細胞が体内を効率よく循環するようになり、免疫機能が向上すると考えられます。さらに、体温上昇そのもので免疫細胞が活性化されます。これらのことから適切な入浴が免疫を上げると期待されます」(早坂先生)
毎日40℃のお湯に全身浴で10~15分が基本
「血行を良くするには、熱すぎない40℃のお風呂に肩まで全身浴で10~15分入ることが基本です。この基本的な入浴法で血流は改善し、体温をほどよく上昇させます。40℃を超える熱いお風呂は入浴時に血圧の急上昇を引き起こすだけでなく、体温も急上昇させた後、すぐに体温が下がりますので結果として温まりが長く続きません。また、長く入り過ぎますと、のぼせ(熱中症)を引き起こしますので、長くても15分以内で、額に汗をかいたら湯船から出るのが良いタイミングです。毎日入ることで良い睡眠にもつながり疲労も回復します」(早坂先生)
ぬる湯でリラックス
「コロナ禍もあって、日中は日常生活や仕事などで例年より強くストレスを感じ、交感神経が強く働いています。交感神経が強く働きすぎると免疫力が低下しますので、お風呂でリラックスして副交感神経の働きを強めることが大切です。湯船では40℃以下のぬるま湯が理想です。あわせて湯に浸かり目を閉じて腹式呼吸で鼻から3秒息を吸い、すぼめた口から5秒かけて息を吐きだす“マインドフロネス”瞑想で、もっとストレス解消が期待できます」(早坂先生)
せっかくお風呂に入るなら、心身にも良いポイントを抑えたいものですね。
【調査概要】
調査時期 :2021年10月30日~10月31日
調査方法 :インターネット調査
調査対象 :20~60代 就業者 男女 計2,350人(各都道府県50人ずつ)
調査エリア :全国47都道府県
[監修]
早坂信哉(はやさか・しんや)
東京都市大学人間科学部学部長・教授、医師、博士(医学)、温泉療法専門医。お風呂を医学的に研究している第一人者。「世界一受けたい授業」「ホンマでっか!?TV」など多数のメディアに出演。主な著書は『おうち時間を快適に過ごす 入浴は究極の疲労回復術』(山と溪谷社)、『最高の入浴法』(大和書房)、『入浴検定 公式テキスト お風呂の「正しい入り方」』 (日本入浴協会)など。
<Text:編集部/Photo:Getty Images>