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2023年9月4日

老化、栄養不足…筋肉痛が治らない原因とは。早く治す方法&予防方法を探る[整形外科医監修]

筋トレ後にやってくる筋肉痛。「筋肉がついている証拠?」と思うとうれしくなりますが、3日~1週間ほど治らないと心配になりますよね。そして、いつまでも痛みが続くと、動くのが辛く、早く治したいと思うこともあるでしょう。

そこで、筋肉痛が治らない原因・早く治す方法などを、整形外科医監修のもと、まとめてみました。予防方法も解説するので、筋肉痛を起こしたくない人の参考にもなれば幸いです。

老化か、栄養不足か。筋肉痛が治らない原因

筋肉痛が治らないのは「老化」のせい?

ネット上で、「筋肉痛が治らないのは、老化のせい」という噂がありますが、これは正しいとは言い切れません。

筋肉痛の治りが遅くなるのは、年齢よりも「普段の運動量」や「伸縮に強い筋肉の質かどうか」が関係してきます。ですから、運動量や筋肉の質によっては、20~30代の若い世代でもなかなか筋肉痛が治らないことは当然に起こりうることです。

筋肉痛が治らないのは「栄養不足」のせい?

「筋肉痛が治らないのは、栄養不足のせい」という意見もありますが、こちらは正しいと言えるでしょう。

筋肉の回復に必要な栄養が不足している場合、筋肉痛の治りが遅れます。必要な栄養素は以下の通りです。

  • 糖質
  • タンパク質
  • ビタミンB群
  • ビタミンC
  • ビタミンE
  • ポリフェノール類

とくに「糖質」と「タンパク質」が重要だと考えます。

糖質は、筋肉を構成するタンパク質の合成をサポートする役割などがあります。タンパク質には、アミノ酸がバランスよく含まれており、筋力の回復を助けます。

タンパク質が豊富な食品を選ぶ際には、「アミノ酸スコア*」が100の食品を選ぶとよいでしょう。大豆、卵、牛乳、牛肉、豚肉、鶏肉、魚類などです。

他にもある! 筋肉痛が治らない原因

他にも、筋肉痛が治らない原因として以下が考えられます。

  • 運動強度が高すぎた
  • 適切なリカバリー不足

ひとつずつ解説していきます。

原因1 運動強度が高すぎた

強度の高い運動を行った場合、筋肉痛の症状が増強される傾向があります。

強度の高い運動は、筋肉に対する負荷やストレスが大きいです。そのため、筋繊維に微小な損傷が生じてしまい、筋肉痛の症状が長引いてしまうことがあります。

原因2 適切なリカバリー不足

運動や筋トレ後に、十分な休息・睡眠・ストレッチ・栄養摂取など、適切なリカバリーを行わなかった場合、筋肉痛の治りが遅くなることがあります。

1ヶ月筋肉痛が続くときは、どうすればいい?

筋肉痛が1ヶ月以上続く場合は、整形外科を受診することをおすすめします。

筋肉痛は、通常1週間あれば治ることが多いです。しかし、それを過ぎても痛みが持続し、日常生活に支障をきたすようなら、肉離れの可能性などが考えられます。

肉離れの状態のまま放置すると、症状が悪化・慢性化する可能性があり、より一層日常生活に悪影響を及ぼすことが考えられます。

筋肉痛はいつまで続くのか

筋肉痛の痛みは、1週間ほど続くことが多いです。個人差はありますが、痛みの経過としては以下の通りです。

  • 痛み出してから、2〜3日後で痛みが最も強くなる
  • 4日後ぐらいから、一気に痛みが取れ始める
  • 7日後ぐらいには、痛みが消える

【筋肉痛はいいこと?】筋肉に効いてる証拠なのか。悪い筋肉痛の見分け方も[整形外科医監修]

筋肉痛の治し方・早く治す方法

筋肉痛の痛みは軽度のものから重度のものまでありますが、どちらにせよ不快感があり、早く治したいものですよね。

すぐに痛みがなくなるわけではありませんが、痛みを早く治したい人は、以下の方法を試してみてください。

休息する

筋肉痛が起きているということは、筋肉が疲労しているということです。そのため、痛みがある部位に負担をかけるのは避けて、その部位を休めてあげましょう。

痛みがあるのに無理をして酷使すると、筋肉や関節に慢性的なダメージが加わり、痛みや炎症が悪化する可能性があるので注意してください。

アイシング

運動や筋トレなどで熱を持った筋肉に対しては、アイシングすることで炎症を抑え、痛みを軽減できると考えられます。

しかし、筋肉痛が出たからといって1〜2日後にアイシングしても効果はあまり期待できません。アイシングは、炎症が起こる前の運動直後に行うのがベストです。

アイシングのやり方

  1. 氷嚢やビニール袋に氷水を作る
  2. 熱を持った筋肉に当て、10~20分冷やす

アイシングの注意点

アイシングをする際は、氷を直接肌に触れさせないようにしてください。

氷を直接肌に触れさせると、皮膚や神経にダメージを与える可能性があります。氷(氷水)はタオルや布で包んでから肌へ当てましょう。

ストレッチ

ストレッチして筋肉の緊張を和らげることで、痛みを抑えられる可能性があります。運動直後はゆっくりと伸ばして行う静的ストレッチ(スタティックストレッチ)を行いましょう。

ただし、無理なストレッチや運動は、痛みを悪化させる可能性があるため、注意が必要です。

静的ストレッチ(スタティックストレッチ)とは

静的ストレッチ(スタティックストレッチ)とは、同じ姿勢をキープし、じっくり筋肉を伸ばすストレッチ方法です。

入浴して体を温める

筋肉痛の時は、40度程度お湯に浸かり、体を温めましょう。

入浴して体を温めることで、血行が良くなり、筋肉に酸素や栄養素が効率的に供給されます。その結果、筋肉痛の解消に役立つでしょう。

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改めておさらい! 筋肉痛とは

筋肉痛の正式名称は「遅発性筋肉痛:Delayed-onset muscle soreness(DOMS)」と言い、筋肉に大きな負荷がかかった12時間~48時間後に起こる筋肉の痛みを指します。

動いた時や押した時に、ひきつるような痛みが出ることが多いようです。

筋肉痛の原因

筋肉痛が起こるメカニズムは、完全には解明されていません。現状、考えられる仕組みは以下の通りです。

  1. 運動などによって筋肉へ負担がかかる
  2. 筋線維が傷つく
  3. 筋線維を修復する際に炎症が起こる
  4. ブラジキニンやヒスタミンなどの、痛みを生み出す物質が放出される

筋肉痛が起きやすい運動

  • 階段をすばやく降りる
  • ダンベルトレーニングの上げ下ろし
  • スクワットの下りる動き
  • 懸垂の腕の動き

などの「伸張性収縮」に分類される運動(筋肉を伸ばしながら力を発揮する運動)は、筋肉痛が生じやすいとされています。

これらの動作は、筋線維に大きな負荷がかかり、筋肉の損傷を誘発すると考えられます。

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筋肉痛の予防方法

事前にマッサージやストレッチを行う

運動や筋トレの前に、筋肉の緊張を和らげておくことで、筋肉痛を予防できるでしょう。運動前は、動的ストレッチ(ダイナミックストレッチ)がおすすめです。

動的ストレッチ(ダイナミックストレッチ)とは?

体を動かしながら筋肉を伸ばしていくストレッチ方法を「動的ストレッチ(ダイナミックストレッチ)」と言います。ラジオ体操も、動的ストレッチのひとつです。

体を動かしながら行うため、心拍数が上がり、筋肉がスムーズに伸びやすくなります。

日頃から運動習慣をつけておく

運動習慣をつけると以下のことが起きるため、筋肉痛を予防できると考えられます。

  • 筋力がアップする
  • 筋肉の柔軟性や可動域が向上する
  • 血行が良くなる

日頃から運動することは、筋肉痛の予防だけではなく健康維持にもつながります。運動習慣をつけるために、具体的な目標を設定する・楽しい運動を選ぶなどを行うと良いでしょう。

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この記事を監修した人

なか整形外科京都西院リハビリテーションクリニック
院長 樋口 直彦 先生

なか整形外科樋口 直彦帝京大学医学部卒業後、いくつかの病院で勤務し、院長を経験後、2021年1月に医療法人藍整会 なか整形外科の理事長に就任。バレーボールVリーグ「サントリーサンバーズ」のチームドクターも務める。骨折治療をはじめ関節外科、スポーツ整形外科を専門に治療。

<Text:編集部>