フィットネス
ライフスタイル
2017年10月10日

ベビーカーを使ってフィットネス。赤ちゃんと一緒にできる「バギーラン」とは?

 産後、子育てに追われてふと気がつけば、しばらく外に出ていないかも。本当は外で身体を動かすのが大好きなのに……。今回は、そんなママにおすすめの運動「バギーラン」をご紹介。東京・有明で開催されたバギーランのレッスン風景を見せてもらいました。

ベビーカーを押す姿勢を整え、つらい肩こりや腱鞘炎を緩和する

 バギーランとは、ベビーカーを利用してランニング、ウォーキング、ストレッチ、体幹トレーニングなどを組み合わせて行う運動です。インストラクターは、自身も子育て中のママであり、ランナーである宮井典子さん。

 バギーランの対象は首、腰のすわった生後6か月以上の赤ちゃんとママ。振動吸収や安全性に優れ、ハンドブレーキも備えられたランニング専用のベビーカーを使って行ないます。

 この日、参加者はランナーサポート施設「ジョグポート有明」に集合。「ジョグポート有明」では、施設利用者にランニング専用バギーを貸し出してくれます。

 レッスン時間は90分間。まずはそれぞれ普段どおりにバギーを押して歩いてみます。自分の押し方のクセを確認したうえで、正しい姿勢をレクチャーしてもらいます。

 ハンドルと身体との距離は握りこぶし2個分。両肩を持ち上げてストンと落としたところでハンドルを握ります。肘は体側にしっかりとつけ、90度に曲げます。手首は反り返らないようにまっすぐ。

 腰を反らさないようにして背筋を伸ばし、顔と胸を進行方向に向け2本のレールの上を歩くように進みます。このとき、体重が左右に移動しないように気をつけます。

 普段のお散歩や買い物でベビーカーを押すときも、この姿勢を意識すれば、産後ママが悩まされることの多い肩こりや腰痛、腱鞘炎がやわらぐそうです。

産後の体力回復とシェイプアップに効果的なエクササイズ

 正しい姿勢を意識してウォーキングを始めます。進みながら、バギーのタイヤの動きやクッションを利用したストレッチも行なっていきます。

 さらに進むと目の前に有明からお台場エリアにかかる「夢の大橋」が現れます。ここは空が広くて風がとても気持ちイイ。「バギーは坂道が楽しいですよ!」と宮井さん。ウォーキングからジョグ、ランニングと徐々にスピードをあげ、橋の真ん中まで駆けのぼります。この日は最速でも軽いジョギング程度の速さで無理なく行ないましたが、それでもかなりの運動量です。

 橋の傾斜を利用して上りはランニング、下りでは徐々にスピードを落としてウォーキングを繰り返します。途中で休憩しながら、傾斜を利用したストレッチやベンチを使った筋トレ、バギーを使った体幹トレーニングも行ないます。

 走る場合はランニング専用バギーが必要ですが、それ以外は普段使っているベビーカーでもできることばかり。お散歩や買い物のついでに行なえば、時間を効率よく使えるようになりそうです。

 ゴール近くになると、出発したときよりもかなり姿勢が美しくなっているのがわかります。

 最後は気持ちのいい芝生の上でストレッチ。バギーの振動の心地よさで眠ってしまう赤ちゃんが多いようですが、眠らずにご機嫌でいるときはバギーから降りて一緒に芝生の感触を楽しみます。大きく深呼吸をしてレッスン終了です。

出産前にランナーだったママの復帰も応援

 今回のレッスンのインストラクター、(社)日本母子健康運動協会の理事である宮井典子さんにお話を聞きました。

――バギーランはママたちにとってどんな効果がありますか?

産後の運動不足解消、体力回復効果はもちろん、産後、外出する機会が減ってしまって、ふつふつとしているママって多いと思うので、育児中の気分転換にぴったりです。子育てが順調に行くのはママの身体と心の健康があってこそ。社会問題となっている産後鬱の予防も期待できます。

――赤ちゃんにはどのような効果があるのでしょうか?

空を見たり、お日様に当たったりして五感を刺激することは、子どもの成長過程にとても大事。屋外で過ごすことで体温調節機能を養うことができ、睡眠サイクルが整うともいわれています。

――ご自身がバギーランを始めたきっかけを教えてください。

妊娠中から夫は仕事が忙しくほとんど家にいなくて、産後はいつも不安で泣きながら子育てをしていたんです。なかなか外にも出られなくて。そんなときにバギーエクササイズのイベントに参加して、そこではただストレッチをしただけなんですけど、公園で空を見上げたらうわーっと涙が出てきて。そのときの感覚が忘れられず、私もバギーエクササイズインストラクターの資格を取って指導を始めました。私はもともとランナーなので、バギーエクササイズのなかのコンテンツの一つであったバギーランを抜粋して、それを伝える活動をしています。

――バギーランを行なっている人はやはりランニング経験者が多い?

今まで何かしら運動をしていて、身体を動かすことが好きという人が多いですが、体験のときにほとんど運動経験のないママたちが集まったこともあります。そういう場合は楽しくおしゃべりしながらのウォーキングから始めます。

マラソンやランニング経験のある妊娠中や産後のママから復帰の相談を受けることもあります。産後直後は産褥体操から始め、産後3か月頃からバギーを使ったストレッチやウォーキング、徐々に運動をプラスしていきランニングへとつながるようにスケジュールを組んでお話しします。実際に私も出産後3年連続で東京マラソンに出場しているんですよ。

――バギーランの注意点を教えてください。

三輪のバギーならランニングに対応しているかというとそうではありません。使っているバギー、ベビーカーがランニングOKか不可か、取扱説明書でしっかり確認してください。ランニングができないベビーカーでも、ウォーキング、ストレッチ、エクササイズは可能です。正しい使い方で安全に楽しみましょう。日常生活のなかでできる運動なので、屋外の空、風を感じながら、自身の身体をチェック、観察しながら行なってみてください。

 確かに、ベビーカーをただの移動手段としてだけに使うのはもったいないですね。わざわざ時間を作らなくてもいつものお散歩や買い物に行くタイミングでなら、毎日無理なく続けられそうです。子育て中の人同士で会話することも、気分をリフレッシュするのに効果的。イベントが開催される際にはぜひ参加してみてください。

[バギーランに関するお問い合わせ]
Buggy Run Life代表 宮井典子
https://buggyrunlife.jimdo.com/

<Text & Photo:丸山美紀(アート・サプライ)>