子どもの非行は家庭環境が関係する?専門家が解説 (1/5)
最近、子どもの様子が変わってきた。帰りが遅くなり、付き合う友達も変わり、話しかけても反抗的。
そんな変化に気づいたとき、親の頭をよぎるのが「反抗期? グレた?」「育て方が悪かったのだろうか」という不安かもしれません。
子どもの非行と家庭環境の関係は、たびたび語られるテーマです。しかし「家庭環境がすべて」と決めつけてしまうと、本当に必要な対応を見失ったり、親が過剰に自分を責めたりすることにつながります。
子どもの非行と家庭環境は関係あるのか、それともさほど関係ないのか。友人関係や学校の影響、危険サインや専門機関に相談すべきケース、そして親が「子どもにしてはいけない対応」を考えていきます。
監修は、不登校/こどもと大人の漢方・心療内科『出雲いいじまクリニック』院長の飯島慶郎先生です。
子どもの非行と家庭環境はどこまで関係するのか
結論から言えば、家庭環境は子どもの非行に関係する「要因の一つ」ではありますが、「すべての原因」ではありません。
法務省『令和5年版犯罪白書』は、非行少年の意識や価値観の形成には「保護者との関係やその経済状況といった生育環境が少なからず影響を与えていると考えられる」と述べ、特集のまとめでも、非行少年の背景にある厳しい生育環境をうかがわせる様々な事情が確認されたとしています。
実際、この白書の特別調査では、より重い処分を受けた少年院在院者の約9割、保護観察処分となった少年でも約6割が、虐待や家庭内の暴力、親との死別・離別といった「逆境体験」を1項目以上経験していたこと、少年院在院者では両親と同居していた少年よりひとり親と同居していた少年のほうが多く、父母のどちらとも同居していない少年も約4分の1を占めていたことが報告されています。
非行が深刻であるほど家庭の困難も重なっているという形で、家庭環境と非行のあいだにつながりがあること自体は、データがはっきり示しています。
心理学の理論でも、この関連は古くから説明されてきました。親子の愛着や会話といった「絆」が非行へのブレーキとして働くとする社会的絆理論や、家庭内の暴力を子どもが見て学んでしまうとする社会学習理論が代表的です。
これまでの研究や支援現場の知見をあわせると、次のような家庭の状況が、子どもの非行リスクに影響しやすいと指摘されています。
- 親子の会話が乏しく、気持ちのやりとりが少ない
- しつけが極端に厳しい、あるいは一貫性がない
- 家庭内の争いや暴力が日常的にある
- 子どもの行動に関心が向けられていない
- 経済的な困難や、親自身の心身の不調が続いている
ただし、強調しておきたいことがあります。これらに当てはまる家庭の子どもが、必ず非行に走るわけではありません。
同じような環境でもまっすぐ育つ子はたくさんいますし、逆に、愛情深く丁寧に育てられた家庭の子どもが大きくつまずくこともあります。
子どもの行動は、家庭環境だけでなく、生まれ持った気質、友人関係、学校、地域、その時々のストレスなど、無数の要因が複雑に絡み合って形づくられます。「家庭環境=非行の原因」と単純化すると、かえって問題の本質が見えにくくなってしまいます。
ですから、もしお子さんに気になる行動が出ていても、「親である自分のせいだ」と一人で抱え込む必要はありません。
大切なのは原因探しよりも「今、何ができるか」に目を向けることです。
次:友人関係や学校生活が非行に影響することもある?










