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2026年6月30日

子どもの非行は家庭環境が関係する?専門家が解説 (4/5)

専門家に聞く! 早めに専門機関に相談したほうがいいケースとは

診察室で日々お会いするのは、「もっと早く相談すればよかった」とおっしゃる親御さんたちです。逆に「こんなことで相談していいのか分からなかった」という声もよく聞きます。

結論からお伝えすると、相談に「早すぎる」はありません。迷った時点が、相談のタイミングです。そのうえで、家庭だけで様子を見るより専門機関に相談したほうがよいのは次のようなケースです。

  • 万引きや金品の持ち出しなど、すでに法に触れる行動が出ている
  • 家庭内で暴力や物を壊す行動があり、家族が怖さを感じている
  • 自傷、「消えたい」という言葉、極端な食事や睡眠の変化など、心身のSOSを伴っている
  • 気になるサインが複数重なり、数週間以上続いている

そして見落とされがちですが、親御さん自身が「話し合いにならない」「顔を見るのが怖い」と感じているとき。子どものサインだけでなく、親側の限界感も立派な相談理由です。

どこに相談する? 状況別の入口

相談先は一つではなく、状況に応じて入口を選べます。

  • 学校生活がらみの変化 … スクールカウンセラー、自治体の教育相談センター。いちばん身近な入口です
  • 非行そのものの相談、どこに相談すべきか迷うとき … 児童相談所(相談専用ダイヤル0120-189-783。虐待の通告・相談は189)。虐待対応の機関と思われがちですが、18歳未満の「非行相談」は児童相談所の正式な業務です。家出や金品の持ち出し、夜間徘徊など、幅広く受け止めて必要な支援先につないでくれます
  • 家のお金の持ち出し、家庭内での暴力 … 少年鑑別所が運営する「法務少年支援センター」。心理学の専門家が無料で相談に応じてくれ、保護者だけの相談もできます
  • 非行グループとの付き合い、犯罪被害の心配 … 警察の少年相談窓口(少年サポートセンター)
  • 昼夜逆転、無気力、体重の急な変化など体の不調を伴うとき … 児童思春期を診る医療機関

最後の医療機関は意外に思われるかもしれませんが、問題行動の背景に発達特性や抑うつ、トラウマが隠れていることは珍しくありません。

「叱っても変わらない」の裏に、ADHDが隠れていることも

少年院に入った子どもたちのなかに、ADHD(注意欠如多動症)をはじめとする発達特性を持つ子が一定の割合で含まれることは、以前から知られています。

衝動にブレーキがかかりにくい。結果を考える前に体が動いてしまう。こうした特性は、本人の悪意でも親のしつけの失敗でもなく、生まれ持った脳の特性です。だから、叱っても変わりません。

けれど、治療で変わる可能性があります。スウェーデンで2万5千人以上を追跡した研究では、ADHDのある人が薬物治療を受けている期間は、受けていない期間に比べて犯罪率が3〜4割低くなっていました。

実際の診療でも、繰り返す万引きやけんかの背景にADHDが見つかり、治療と環境調整で行動が見違えるほど落ち着いていくことがあります。

「性格の問題」と思い込む前に、一度、専門医の目で見てもらってください。

ADHDに“顔つきの特徴”はあるのか?表情や見た目に関する俗説と科学的見解

相談は「親失格」の証明ではありません

「相談したら大ごとになるのでは」「親失格と思われるのでは」とためらう方は多いのですが、心配はいりません。

相談したからといって、いきなり処分や強制的な対応につながるわけではありませんし、スクールカウンセラーには守秘義務があり、相談したことが内申に響くこともありません。

相談員が日々向き合っているのは「困っている親子」であって、「ダメな親」ではないのです。早く相談するほど、得られるものは大きくなります。

  • 深刻化を防げる … 法務省の調査では、少年院に入った少年の約9割に虐待などの逆境体験があったことが分かっており、白書自身が、厳しい環境を早期に把握し、少年や保護者に必要な手当や支援を行うことで、その後の非行のリスクを低減させ、未然に防ぐ視点からの取組を求めています。早い段階で大人側が支援を受けることが、大きな歯止めになります
  • 親の負担が軽くなる … 第三者が入ると親子のあいだの緊張がほぐれて、親御さん自身の心も軽くなります
  • 子どもへの接し方に余裕が生まれる … 親が少し楽になることが、そのまま子どもにとっての変化になります

相談は、親の責任放棄ではなく、子どもを守る手立てのひとつです。

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