インタビュー
2020年12月21日

競技指導はコーチに任せ、親は子どもががんばれる環境をつくって見守りたい。元競泳日本代表・寺川綾(後編)|子どもの頃こんな習い事してました #30 (2/3)

自分で習いたいと言い出したのだから、簡単にはやめない

――他の競技のアスリートでも「子どものころ水泳を習っていました」「最初の習い事は水泳」という方が多いようです。水泳はスポーツの基礎として向いていると思いますか。

そうですね。私もインタビューさせていただくアスリート、アスリートに「子どもの頃、水泳をやってたんですけど、なんであんなしんどいことできるんですか」「水泳が続かなくて他のスポーツにいきました」と言われます。水泳はケガをしにくいのでいいと思いますし、ベビーからできるのも大きいと思います。

――お子さんは他にも何か習っていますか。

長女は英語、テニス。やはりそれも本人が「習いたい」と言って始めました。どちらもお友だちの影響です。他にもいっぱい習いたいことがあるようですが、私が送り迎えが頻繁にできないので保留になっています。次女はまだ何も。お姉ちゃんがプールの準備を始めたら、自分も「行く」と言うんですが、ベビースイミングは親が一緒に入らなければならず、私が行けないので今のところ通う予定はありません。

――お子さんの習い事で習わせるときに決めていることは?

自分で習いたいと言い出したのだから、少しくらい嫌なことがあってもやめないよと言い聞かせ、それでも「習いたい」という回答を得てから始めています。今のところ「やめたい、行きたくない」というのはないですね。楽しんでいます。

子どもを信用してあげることが大事

――好きで習い始めたのに子どもが練習を嫌がって困っている親御さんも多いと思います。寺川さんのように練習好きならいいのですが。

私も練習は好きじゃないです。だってしんどいんですもん。水泳が好きで強くなりたいから、練習はやらなきゃいけないからがんばってただけですね。よくイベントなどで親御さんが「家でどういうアドバイスをしてあげればいいかわからない」とおっしゃっるのですが、アドバイスは先生がしてくれます。先生にさんざんいろんなことを言われて教えられて、帰ってきてまた家でも言われると子どもは休まらないんじゃないかな。私は個人的にそう思うので、家では気持ちを切り替えてあげたいなと思っています。

――成績が振るわず落ち込んでいるときはどう声をかけたらいいでしょう?

子どもが何か言ってくれば答えてあげればいいと思いますが、やはりそれもコーチからいろいろ言われて落ち込んでいる場合もあるので、あまり触れずあたたかく見守ったほうが⋯⋯。私、甘いのかな(笑)。

私自身は家では水泳の話はほとんどしませんでした。大会に行って自己ベストが出たときに、好きなお菓子を買ってもらって、車の中で食べながら帰るのが楽しみだったというくらい。0.1秒や0.2秒ってほんの少しの差なので、「それで毎回お菓子を買うの?」とお母さんに呆れられたことがありますが、「いいじゃん、自己ベストは自己ベストなんだから」と食べてました(笑)。

――親は子どものスポーツにどのように関わったらいいのか、アドバイスをお願いします。

子どものことを信用してあげることが大事なんじゃないかなと思います。私は小さいときに「そんなのできるわけないんだから」と言われる環境で育ってきて、もうちょっと「大丈夫だよ、がんばってみなよ」と言ってほしかったという気持ちもあります。その分、コーチが言ってくれたのでよかったんですけど。

競技によっても親の携わり方は違うと思いますが、私は娘がスイミングに行ったらコーチにおまかせ。ただ、食事などを含めてがんばれる環境をつくってあげられるのは親しかいない。そこはしっかりやらなきゃと思っています。子どもの可能性は無限大。いつどう開花するかわからないので、プレッシャーを与えすぎず応援してあげたいですね。

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