プロテインは運動しないで飲むと太るの?飲むタイミングは「筋トレ後」?プロテインの効果と飲み方を徹底分析
筋トレやダイエットのみならず、健康・美容目的でもプロテインの需要はどんどん高まっています。しかし、注目度が高くなると生じやすいのが“誤解”。プロテインにまつわる噂の“ウソ・ホント”について、専門家の意見を総まとめ! プロテインの効果的な飲み方をいろいろな角度から探っていきます。
Q.プロテインは運動をしない人は飲まない方がいいってホント?
A.ウソ!
まず、プロテインは運動をしない人は飲まない方がいいという噂について。これは、“ウソ”。
同社によれば、たんぱく質は体の多くの部分をつくる栄養素であるため、不足すると全身に影響が出ることもあるそう。プロテインを活用することで、たんぱく質を補給でき、筋力低下や肩こり・腰痛など、日常生活で感じる体の不調を改善できる可能性があるといいます。
1日に必要なタンパク質量
個人差がありますが、18歳以上の女性であれば、約50gが推奨摂取量の目安になります。白ご飯の場合、1日およそ13杯。鶏むね肉の場合、1日およそ300g を食べる必要があります。
これはかなりキツイ! おまけに太りそうです。というわけでプロテインドリンクの出番。低糖質で低脂質、低カロリーのものが多いので、普段の食事にプラスしてプロテインを活用することで、効果的にタンパク質を摂取することができます。
ちなみに運動してない人は、自分の体重(kg)×0.8g(※活発に活動をしていない人の場合)が、1日に必要なタンパク質量の目安だそう。
参考:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」策定検討会報告書
Q.プロテインを飲むと太るってホント?
A.ウソ!
さらに、多くの人が気になっているであろう、プロテインを飲むと太るという噂。これも“ウソ”です。
プロテインで太る場合、運動もせず、筋肉への刺激が足りない状態で大量に飲んでいることが考えられるといいます。
人は食事時にカロリー摂取と同時に「食事誘発性熱産生」というカロリー消費も行っています。タンパク質は、この値が炭水化物や脂質よりも高く、炭水化物は約6%、脂質は約4%のところ、タンパク質は約30%のため、カロリー消費値も大きくなります。むしろタンパク質は太りにくい栄養素と言えます。
プロテインを飲んで運動することにより、基礎代謝が上がり、より瘦せやすい身体になることも期待できるそうです。
Q.朝起きていきなりプロテインを飲んでいい?
A.朝の水分補給代わりにプロテインを飲んでもOK!
目覚めの水分補給としてプロテインを飲むのは問題ないようです。
寝ている間、身体は飢餓状態になり栄養を欲しています。その状態でプロテインを摂取すると、身体を動かすエネルギーとなってくれます。
Q.プロテインを飲むだけでムキムキになるってホント?
A.ウソ!
次に、プロテインを飲むだけで“ムキムキ”になってしまうってしまうという噂。これも“ウソ”です。
ボディビルダーの筋肉は、厳しいトレーニングと食事制限の賜物。プロテインを飲むだけで簡単につくものではありません。日々のタンパク質を補うドリンクとして、安心して適量を飲んでください。
むしろ、プロテインを飲むとムキムキになるのなら、これほどうれしい話はありません。
Q.プロテインは髪の毛や肌、爪にいいってホント?
A.ホント!
プロテインが髪の毛や肌・爪によい影響を与えるという噂。これは“ホント”です。
先述したように、カラダの多くはたんぱく質で構成されており、肌、髪の毛、爪も例外ではありません。プロテインを摂ることで、健康的な髪の毛や肌、爪を保つことができます。
Q.プロテインは集中力、思考力の向上をサポートするってホント?
A.ホント!
最後に、プロテインが集中力、思考力の向上をサポートするという噂。これも、“ホント”です。
たんぱく質を構成するアミノ酸に含まれる、やる気の源であるドーパミンや、感情を落ち着かせてリラックスさせるセロトニンなどの神経伝達物質を摂取することで、結果的に脳の働きの向上につながります。
Q.プロテインは二日酔いにもよい?
A.ホント!
プロテインは二日酔いによいという噂。これも“ホント”です。
アルコールは主に肝臓で分解され、二日酔いの原因・アセトアルデビドという物質になります。都市伝説と思っているかもしれませんが、たんぱく質にはアセトアルデビドの分解をサポートする働きがあるため、たんぱく質を摂取することで二日酔いの予防にもつながります。
Q.プロテインはたくさん飲んだほうがいい?
A.飲み過ぎると消化不良となり、脂肪に蓄えられることも!
基本的には、体重×1~2gが摂取目安です。
プロテインは、タンパク質を摂取するためのサプリメント(栄養補助食品)です。タンパク質は1gあたり4Kcalのエネルギーがあり、必要量は個人の身長と体重、運動量、目指している目標によって異なります。
必要量以上に飲んだ場合、使われないタンパク質は脂肪に蓄えられるため太る可能性もあります。
Q.プロテインを1食(朝食)に置き換えていい?
A.おすすめしません! プロテインはあくまで不足分を補うためのもの
プロテインを朝食の代わりに飲んでいる方もいるかもしれません。
しかし、「SAVAS(ザバス)」を展開する明治の担当者さんによると、プロテインは食事代替用には作られておらず、食事をしっかり食べたうえで、不足分を補うことが基本的な使用方法とのこと。
Q.プロテインはまとめて一気に飲んでいい?
A.こまめに飲もう!
たんぱく質を一度にたくさん摂ると消化吸収しきれず、下痢や便通悪化など、腸内環境が乱れる要因になることも。
なお、1回に吸収できるたんぱく質は20g程度なので、一度にたくさんではなく、時間をおいて摂るのがおすすめです。
朝昼夜の3食で毎食たんぱく質を均等に摂取するのと、朝昼夜の3食でたんぱく質を偏って摂取した場合とでは、前者の方が、筋たんぱく質合成速度が速いというエビデンスもあるようです。
Q.運動後、プロテインは絶対いる? いらない?
A.あると便利
筋トレで筋肉量を増やすためには、トレーニングだけでなくタンパク質補給も行う必要があります。そのため、筋トレで傷ついた筋肉繊維を回復させるためにも、プロテインが吸収されやすく便利です。
また、有酸素運動による筋肉量低下を防ぐため、BCAAやプロテインがあると安心です。
Q.筋トレ中、水分補給代わりにプロテインを飲んでいい?
A.水のほうがよさそう
トレ―ニング中の水分補給としてプロテインを飲んでいる人もいるかもしれませんが、トレーニング前や最中だと消化能力が鈍るため、消化不良に陥ることも。
筋トレ中は水や麦茶などのノンカフェインドリンクで喉を潤しましょう。
Q.プロテイン、なにで割るのが一番いい?
A.ダイエット中の人は「水」で割ろう
牛乳やジュースで割ると、そのぶんカロリーが上乗せされます。
プロテインは低カロリー・低脂質・低糖質のヘルシードリンクですが、カロリーゼロではないので、1日の摂取カロリーを上回ると当然太る原因に。
ダイエット中はゼロカロリーの水で割るのがオススメです。
逆に、太りたい・増量期の人は、牛乳やジュース割りを好んでいるようです。
Q.プロテインを1食(朝食)に置き換えていい?
A.おすすめしません! プロテインはあくまで不足分を補うためのもの
プロテインを朝食の代わりに飲んでいる方もいるかもしれません。
しかし、「SAVAS(ザバス)」を展開する明治の担当者さんによると、プロテインは食事代替用には作られておらず、食事をしっかり食べたうえで、不足分を補うことが基本的な使用方法とのこと。
朝食にプラスする、朝の牛乳代わりにプロテインなどがよさそうですね。
Q.プロテインを飲むタイミングはいつがいい?
A.運動後がおすすめだけれど、急いで飲む必要はない
基本的には「運動後」に飲むと効果的です。筋トレや運動によって破壊された筋肉が回復し、栄養吸収効率がもっとも高い時間帯とされています。
筋肉を超回復させるため、プロテインでアミノ酸を補給してあげましょう。
とはいえ、急いで筋トレ直後に飲む必要がないと語るのは、元ボディビルダーで東京医療保健大学医療保健学部医療栄養学科教授・御堂直樹先生。次項目でくわしく見ていきます。
Q.運動後、30分以内にプロテインを飲むのがベスト?
A.ゴールデンタイムにこだわる必要はない!
「運動後、30分以内にプロテインを飲む」、いわゆるゴールデンタイム神話。元ボディビルダーで東京医療保健大学医療保健学部医療栄養学科教授・御堂先生はこれを否定。
「ゴールデンタイムにこだわる必要はないと思います。複数の研究結果を分析・統合した信頼性の高い研究において、ゴールデンタイムに否定的な結果が得られています。」(御堂先生)
ゴールデンタイムにこだわる必要はないと語る、その理由とは。
「プロテインの摂取タイミングに関する研究としては、1回の摂取で筋たんぱく質の合成量を評価した研究と、継続的な摂取により筋量や筋力の変化を評価した研究があります。人の身体は、外部からの刺激に適応し、反応が変わっていきます。つまり、短期間での変化が必ずしも中長期的な変化につながるわけではないのです。従って、中長期的な研究結果があるのであれば、そちらのほうをより重視すべきです。プロテインの摂取タイミングについて判断する場合も、中長期的な変化を表す筋量や筋力の変化を調べた研究結果のほうが重要です。そこで、ここでは筋量や筋力の変化を調べた結果を中心に説明します。」(御堂先生)
中長期的な変化にフォーカスして行われた研究の内容とは。
「最近の研究において、プロテインをサプリメントとして摂取した場合、摂取するタイミングと関係なく、筋量の増加が認められることが報告されました1)。この研究は、もっとも信頼性が高い研究とされる複数の研究結果を分析・統合したシステマティックレビューです。研究では、若年者、高齢者に関係なく、レジスタンス運動の直後とそれとは関係のない時間帯のプロテインの摂取において、筋量や筋力の増加に差が見られませんでした 1)。つまり、プロテインの摂取タイミングよりも、1日のたんぱく質摂取量のほうが重要であり、ゴールデンタイムの存在は怪しいということになります。」(御堂先生)
いつ飲んでも、筋量や筋力の増加に差は見られなかった。重要なのは飲むタイミングではなく、たんぱく質をきちんと摂取することにありそうですね。
「筋肉中のたんぱく質の合成速度は、レジスタンス運動直後のみ増加するのではなく、運動後24~48時間持続することが報告されています 2)。このことからも、ゴールデンタイムといったスポット的なタイミングではなく、1日を通じたたんぱく質摂取のほうがより重要と考えられます。ただし、ゴールデンタイムの存在が怪しいとしても、レジスタンス運動直後にプロテインを摂取することに、とくに問題はないと考えられます。」(御堂先生)
筋トレ直後にプロテインを飲んでも、もちろん問題はありません。ですが、急いでプロテインを作ったり、筋トレ直後に飲めるよう無理にセッティングする必要はなさそうです。
Q.朝、昼、間食、寝る前……プロテインを飲む時間帯はいつでもいい?
時間帯で見た場合、朝食時にプロテインをとり入れるのもよいそうです。
「たんぱく質が不足しがちな朝食時にプロテインを摂取するという考え方もできます。朝・昼・夕の食事からのたんぱく質摂取量は、30~64歳の日本人男性でそれぞれ平均15.2、22.9、35.9g、同年代の女性でそれぞれ14.1、18.4、24.9gと報告されており、とくに朝食でのたんぱく質の摂取量が少ないことが分かります 25)。多くの方が朝食を軽く済ませていると思いますので、この数値は実感とも合うのではないでしょうか。先に述べたように、たんぱく質は一度に効率的に吸収できる量が20~30g程度と言われています。そのため、ひとつの方法として、軽めの朝食を摂っている人は、朝食時にプロテインを摂取すると決めてしまうのもよいと思います。」(御堂先生)
朝は食欲が湧かない、ガッツリ食べたくないという人も多そうですので、そういうときにプロテインをとり入れると丁度よさそうですね。ちなみに、朝起きていきなりプロテインを飲んでも大丈夫でしょうか?
「飲んでも問題ないと考えています。英語の朝食“breakfast”は、“夜間の断食期間を破る”という意味です。就寝時は長時間絶食状態になっているため、栄養素が不足しています。また、先に述べたように、一般に朝食におけるたんぱく質の摂取量は少ない傾向にあります。そのため、むしろ積極的に早い時間帯に摂取すればよいと思います。」(御堂先生)
朝、筋トレに励む人もいます。筋トレ前や最中に飲んだほうがよいなどはありますか?
「レジスタンス運動の直前や運動中にプロテインを飲む必要はないと考えています。レジスタンス運動の直前と直後のプロテイン摂取について、効果の違いを調べた研究がいくつかありますが、統合した解析結果からは、効果の違いは認められませんでした ※) 。」(御堂先生)
※) Wirth J et al., J Nutr, 150, 1443-1460, 2020.
<Edit:編集部>