2024年6月10日

イマドキの便秘「令和うんち」とは?専門家・辨野(べんの)先生が解説

株式会社伊藤園が便秘に関する調査を行いました。

それによると、慢性的に便秘・軟便に悩んでいる人は約3人に1人いて、しかも約60%の人は対策をしていないという結果でした。

便秘対策の有効なやり方について、腸内環境改善を啓発している腸内細菌学者で一般財団法人辨野腸内フローラ研究所理事長の辨野義己(べんの よしみ)先生が教えてくれたので見ていきましょう。

イマドキの便秘スタイル“令和うんち”とは

本調査リリースでは、令和特有のストレスや睡眠不足、運動不足、食生活の乱れなど、社会的要因の影響で慢性的に不調気味になっている排便状態のことを「令和うんち」と読んでいます。

調査によると、約3人に1人、この「令和うんち」状態なのだとか。

「令和うんち」を引き起こす原因

現代社会のお通じ問題。

その背景には、現代人ならではの4つの生活習慣の乱れがありました。

便秘・軟便の要因となる「ストレス」「運動不足」「食生活の乱れ」「睡眠不足」など4つの生活習慣について聞いたところ、すべての設問に対して半数以上が、生活習慣の乱れを感じていることが分かりました。

便秘・軟便の人はどんな対策をしている?

便秘・軟便の自覚症状がある人が実際に行っている対策を聞いたところ、「水分補給」、「ヨーグルトなど乳酸菌製品を食べる」、などが主な対策方法として挙がりました。

軟便の人は食物繊維摂取への意識が低め

「食物繊維の摂取」については、便秘症状を自覚している人は3人に1人(31.8%)、軟便症状を自覚している人は約7人に1人(15.1%)摂取している状況で、軟便症状を自覚している人の方が食物繊維摂取への意識が低いことが分かりました。

さらに、食物繊維には「不溶性」と「水溶性」の2種類があるが、「水溶性食物繊維」を意識して摂っているかを聞いたところ、約80%の人が「意識して摂っていない」と答えました。

辨野先生に聞いてみた! 便秘Q&A

Q1.便秘・軟便症状を自覚しつつも対策していない人が多い現状や、便秘より軟便を自覚している人の方が対策意識が薄いという結果についてどのようにお考えですか?

便秘、軟便問わず、排便頻度や便の状態を他人と比較することがないため、自分のいつも通りが 「普通」だと思ってしまう。

それが当たり前で、変わることも無いと考えている人が多いのではないでしょうか。

「排便の不調=便秘」と錯覚するほど、便秘改善を謳った商品やメディアの特集が多いためか、軟便を良くない状態と考える人が少ないのかもしれません。

まず健康的と言われる便の状態を知ることが大事です。また食事や運動、睡眠など生活習慣を見直してみてはいかがでしょうか。

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Q2.腸内環境改善対策としてどのようなことが必要ですか?

腸内環境を良くするためにはまず食事が重要です。

特に野菜や豆類、キノコ類、海藻など食物繊維が豊富な食材を摂ることで、誰もが大腸内に優勢に保持している酪酸産生菌の酪酸産生量を増やすことが期待できます。

またヨーグルト・乳酸菌飲料や納豆などの発酵食品、オリゴ糖も腸内有用微生物であるビフィズス菌を活性化することができます。

食事に加えて重要なのが運動です。 特にインナーマッスル(腸腰筋、腸骨筋)を鍛えて“便を出す力”をつけることが大事です。

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Q3.排便の不調を食で解決する方法として「食物繊維」摂取について教えて下さい。 また、日本人の食事摂取基準からどれくらい足りていないでしょうか?

厚生労働省は男性で一日21g、女性で18gの食物繊維摂取を目標量としています。 (食事摂取基準 (2020年版))。

しかし日本人の平均的な食物繊維摂取量は14g前後と推定されており、現代人の食生活では明らかに足りていません。

※厚生労働省の有識者検討会は、 来春から適用予定の「日本人の食事摂取基準(2015年版)」において、成人の食物繊維の「理想的な摂取量」がこれまでよりも 1グラム高い25グラム (1日当たり) に設定すると報告しています。 (2024年3月6日時点)

令和うんちを改善するための3か条

  • 食物繊維が豊富な食材を摂り、腸内環境を良くする
  • 発酵食品、オリゴ糖などを摂り、ビフィズス菌を活性化させる
  • インナーマッスルを鍛えて“便を出す力”をつける

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最近では、次世代の食物繊維として注目されている水溶性食物繊維の一種「グアーガム分解物」というものも登場しています。

■調査概要
・調査名:排便状態と対策に関する意識調査
・調査期間:2024年4月6日~2024年4月9日
・調査対象:20代~60代の、便秘・軟便の自覚症状がある男女※(男女比1:1)
※スクリーニングで「直近のあなたの排便状態について、あてはまるものを教えてください。」と質問し、「便秘ぎみ」「軟便ぎみ」のどちらか、または両方を選んだ500人が対象(選択肢は「便秘ぎみ」、「軟便ぎみ」「どちらでもない」を用意し、複数回答とした)
・地域:全国
・調査方法:インターネット調査
・サンプル数:500 名
※グラフ内の小数点以下第1位は四捨五入して表示しております

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プロフィール

一般財団法人辨野腸内フローラ研究所 理事長 辨野義己 先生

1948年、大阪府生まれ。農学博士。一般財団法人辨野腸内フローラ研究所理事長。理化学研究所名誉研究員。およそ半世紀にわたり腸内細菌の生態と分類を研究し続けてきた世界的権威。近年、健康寿命を左右し、肥満の防止・改善効果もある「長寿菌」の存在を解明。テレビ・雑誌など多数のメディアや講演などでも活躍し、2021年より現職。

<Edit:編集部>