
太ももの筋肉痛の治し方|運動直後〜翌日以降の正しいケア方法【医師解説】
筋トレやスクワットを頑張ったけど、「太ももが痛くてつらい…」そんなときどうすればいいのか?筋肉痛を和らげる方法と、翌日以降の正しいケア方法をわかりやすく解説します。
冷やす?温める?ストレッチは?NG行動は?など、よくある質問にも回答。監修は、自身も高い美意識を持ち身体を鍛えている、美容外科専門医でSOグレイスクリニック院長・近藤 惣一郎先生です。今日からできる実践的な太ももの筋肉痛を治す方法を紹介します。
太ももの筋肉痛、なぜ起こる?
そもそも筋肉痛はなぜ起こるのか?そのメカニズムを知ることで、適切な治し方へとつなげていきましょう。
筋肉痛は筋繊維の「小さな傷」が原因
筋肉痛が起こるメカニズムは、実はまだ完全には解明されていません。現段階では、筋トレなどの運動によって筋肉は通常より強い力を発揮しようとして、筋繊維(筋肉を構成する細い繊維)の一部が微細に損傷し、目には見えない「筋肉の小さな傷」が生じます。その後、身体がこの傷を修復する過程で炎症が起こり、痛みや張り、重だるさといった筋肉痛の症状が現れる、とされています。
筋肉痛には「即時」と「遅れて」の2種類がある
●即時性筋肉痛(運動直後に出る)
運動中〜直後に感じる筋肉の張りや痛みで、軽い違和感程度でおさまることもあれば、フルマラソンや激しい運動の直後には、かなり強い痛みや脱力感が出ることもあります。これは筋肉への急激な負荷や、長時間にわたる繰り返し動作によって、筋繊維が部分的に強く損傷していることが原因です。
●遅発性筋肉痛(DOMS)
運動した数日後に出る筋肉痛のことで、運動から24〜48時間後にピークを迎える痛みを指します。これは筋繊維の損傷に伴う炎症反応が原因とされています。スクワットやランジなど太ももを大きく使う運動では、特に強く出やすいのが特徴です。
運動直後の筋肉痛の対処法
運動を終えた直後に痛みや違和感を感じたときは、まず以下のような応急処置を行いましょう。
温める or 冷やすは症状で使い分ける
症状 | おすすめ対処法 |
熱っぽい・腫れている | 氷のうや保冷剤で15分だけ冷やす |
痛みはあるが熱なし | 蒸しタオルや入浴で温める |
判断が難しい | 常温シャワーで様子を見てから温めへ |
基本的に、筋肉痛は「温めること」が大切です。これは、温めることで筋肉の血流が促進され、傷ついた筋繊維に栄養や酸素が行き渡りやすくなり、回復がスムーズに進むためです。
冷やすのは炎症のような症状があるとき限定です。冷やしすぎは逆効果になるので注意しましょう。
「痛みはあるが熱がない」場合は、次章の『太ももの筋肉痛の正しい治し方』に沿ってケアしましょう。
太ももの筋肉痛の正しい治し方
翌日以降に出てくる筋肉痛を治すためには、身体を温めて血流を良くすること。そして、筋肉を修復する「食品」と「睡眠」をとることが大切です。それぞれ詳しく解説します。
1. 積極的休養(アクティブレスト)
完全に安静にするよりも、積極的休養(アクティブレスト)=軽い運動をする方が、血流が促進されて筋肉の回復が早まるとされています。
おすすめの運動
太ももをやさしく動かす屈伸運動やストレッチを2〜3分程度行い、ウォーキングやエアロバイクなどの軽い負荷の有酸素運動と組み合わせて、合計10〜15分を目安に行いましょう。1日に2〜3回実施、運動負荷(強度)は、「会話ができる程度の軽さ」でOKです。
2. 温める(入浴がおすすめ)
入浴は全身を効率よく温められ、血流を促進し、回復を早めます。
●入浴のポイント
・37〜39℃のぬるめのお湯に15〜20分つかる
・就寝の90分〜2時間前がベスト
入浴後は軽いストレッチを取り入れるとさらに良いでしょう。
\動画で動きをチェック/
3. 栄養補給(修復材料をしっかりとる)
筋肉の修復には、以下の栄養素が不可欠です。
栄養素 | 効果 | 食材例 |
タンパク質 | 筋繊維の材料 | 鶏むね肉、卵、納豆、豆腐、プロテイン |
ビタミンC | コラーゲン合成を助ける | ブロッコリー、キウイ、赤パプリカ |
クエン酸 | 疲労回復をサポート | 梅干し、レモン、黒酢、柑橘系ジュース |
BCAA(ロイシン・バリン・イソロイシン) | 筋肉の分解を抑え、回復をサポート | プロテイン、BCAAドリンク・サプリ、赤身肉、大豆製品 |
●タンパク質の摂り方
タンパク質は一度に40g以上摂っても吸収されにくい性質があるため、1回20〜30gを、1日3〜4回に分けて摂取しましょう。また、運動後30分以内は「ゴールデンタイム」で最も吸収効率が高いので、忘れずに摂取しましょう。
●筋肉痛を回復させるメニュー例
タイミング | タンパク質の目安量 | 例 |
朝食 | 20〜25g | 卵2個+納豆+味噌汁 |
昼食 | 20〜30g | 鶏むね肉+玄米+野菜スープ |
間食 or 運動後 | 20g前後 | プロテイン1杯+バナナ |
夕食 | 20〜25g | 焼き魚+野菜+ご飯+味噌汁 |
●ビタミンC・クエン酸・BCAAの摂り方
ビタミンCやクエン酸は体内に長く留まりにくいため、1日数回に分けてこまめに摂取するのが効果的です。たとえば、朝・昼・夕食にフルーツや野菜を取り入れるだけでも十分。運動後はクエン酸入りドリンクや果汁系ゼリーでの補給もおすすめです。
BCAAは運動前~運動中~運動直後に補給することで、筋肉の分解を防ぎ回復を助ける働きがあります。タンパク質食品やプロテインに含まれていることも多く、必要に応じてドリンクやサプリで補うのもOKです。
4. 質の良い睡眠
成長ホルモンが分泌される睡眠中は、筋肉の修復時間でもあります。
●睡眠の質を高めるための工夫
・入浴は就寝の90〜120分前に済ませる
・カフェインは午後以降控える
・スマホの光は就寝1時間前から控える
・6時間以上の連続した睡眠を意識する
やってはいけないNG行動
筋肉痛のときにやってはいけないNG行動について、まとめました。
× 強いマッサージやもみほぐし
→ 筋繊維をさらに傷つけ、炎症を悪化させる可能性があります。
× 痛みを我慢してトレーニングを続ける
→ 回復が遅れて、逆にパフォーマンスも低下する可能性があります。
× 冷却材・湿布の長時間使用
→ 血流が悪くなり、回復を妨げる恐れがあります。
筋肉痛を予防するには?
運動を続けるにあたり、筋肉痛にならないようにするためにはどうすればいいのか?筋肉痛になりにくい習慣を解説します。
1. 正しいフォームを身につける
間違ったフォームは筋肉への負荷が偏り、痛みや怪我のもとになります。特にスクワットやランジなど太ももを大きく使う運動では、フォームの乱れ=筋肉痛や故障の原因になりやすいため注意が必要です。
正しいフォームを身につけるには、信頼できるトレーナー監修の解説動画を見ながら鏡で自分の動きを確認するのがおすすめです。自己流を防ぎ、正しい動きをイメージしやすくなります。
2. 準備運動(ウォーミングアップ)を取り入れる
運動前に筋肉を温めることで、筋繊維の柔軟性が高まり、過剰な負荷や筋肉痛のリスクを軽減できます。
●おすすめのウォーミングアップ例(5〜10分)
・軽いジョギングやその場足踏み(全身を温める)
・太ももを中心とした動的ストレッチ(脚振り・スプリットランジ・もも上げ など)
・運動メニューに合わせた「プチ練習」のような準備動作
3. 運動後のケアを習慣にする
上で紹介した、ストレッチ・入浴・栄養補給・睡眠を運動後の習慣(ルーティン)として取り入れるだけで、筋肉の回復スピードや筋肉痛の重さが大きく変わります。
筋肉が傷ついたまま放置されることを防ぎ、血流を促して、必要な栄養素をタイミングよく補給することで、ダメージを最小限に抑えられるでしょう。
「休むこと」で筋肉は育つ
筋肉は、休むことで強くなります。同じ部位は48〜72時間あけてから、鍛えるのが理想です。無理をせず、適度に休むことも筋肉痛の予防につながります。
監修者プロフィール
美容外科 SO グレイスクリニック院長
近藤惣一郎
医学博士(京都大学)
ロンリー侍ドクター
日本脳神経外科学会専門医
日本美容外科学会(JSAS)専門医
1988年 京大医学部卒
若返り専門の美容外科医。美は健康の上になり立つという理念のもと、正しい食生活・運動習慣・ダイエットに関する知識が豊富で、自らもダンサーとして、プロフィッシングアナングラー(DAIWA)として、若さとナイスボディを保ち続ける。
Instagram:https://www.instagram.com/kondo.soichiro/
<Edit:編集部>