2025年8月29日

そのラットプルダウン、やり方が間違ってるかも?背中に効かせる「正しい使い方」

背中を鍛える定番マシン「ラットプルダウン」。

シンプルな動作に見えますが、フォームを誤ると腕ばかりに効いてしまい、思ったように背中が鍛えられないことも少なくありません。

今回は2つのトレーニング記事から、背中にしっかり効かせるための正しい使い方と、筋トレ効果を落とすNGフォームを解説します。

ラットプルダウンとは

ラットプルダウンは主に背中の筋肉を鍛えることできるトレーニングです。

背中を鍛えることで基礎代謝が上がり、太りにくく痩せやすい体質を目指すことができます。また、姿勢の改善にも効果があります。

ラットプルダウンを行うマシンを「ラットプルダウン(マシン)」と呼びます。

鍛えられる場所・体の部位

ラットプルダウンで鍛えることのできる筋肉は、主に以下の5つです。

  • 広背筋
  • 僧帽筋
  • 大円筋
  • 上腕二頭筋
  • 菱形筋

ラットプルダウンの正しいやり方

まずは基本の「フロント・ラットプルダウン」から解説します。

フロント・ラットプルダウン

効果

猫背改善や肩甲骨周りのコリ解消、ウエストの引き締めにも効果があります。

やり方

1.順手でバーを肩幅より広い手幅で握る。

2.軽く胸を張って目線を斜め上にする。

3.バーを胸に引きつけるようにゆっくりと肩甲骨を内側に動かし寄せる意識をしながらゆっくりと引く。

4.バーを肘が伸びきらないように意識しながら上げる。

ラットプルダウンの回数と重量の目安

初めてラットプルダウンを行う場合、男性は体重の3分の1程度の重量から、女性は体重の4分の1程度の重量から始めることがおすすめです。

例:

男性(体重の 3分の1程度
60kg → 約20kg
70kg → 約23kg
80kg → 約27kg

女性(体重の 4分の1程度
50kg → 約12.5kg
55kg → 約14kg
60kg → 約15kg

まずは正しいフォームで行えるようになることが重要。無理をせずに軽めの重量から始めてみましょう。

軽い重量で慣れてきたら、目的に合わせて強度や回数を変えていきましょう。自分ができる限界の重量の70〜85%を目安に、8〜12回で3〜4セット行うのがおすすめです。

例:

限界が 50kg の場合
70% → 35kg
85% → 42.5kg

限界が 80kg の場合
70% → 56kg
85% → 68kg

限界が 100kg の場合
70% → 70kg
85% → 85kg

ラットプルダウンの効果を最大化させるポイント

呼吸を意識する

ラットプルダウンを行う場合は、バーを下げる時に息を吐き、バーを上げる時に息を吸いましょう。

筋トレをする際に息を止めてしまうと余計なところに力が入ってしまい、フォームが崩れて効果が出にくくなります。

肩甲骨を寄せる

軽く胸を張った状態からバーを引くとき、肩甲骨で自分の背骨を挟むような意識で、肩甲骨を内側に寄せましょう。

正しい姿勢を維持できていないまま行うと、背中の筋肉を上手く鍛えることができません。

背中の筋トレ|脊柱起立筋(腸肋筋・最長筋・棘筋)を鍛えるダンベル&自重トレーニング

まだまだある! ラットプルダウンのトレーニングメニュー

リバースグリップ・ラットプルダウン

効果

フロントラットプルダウンに比べて腕への刺激が強くなるため、上腕の引き締めにも効果的です。また広背筋下部にも刺激が入ります。

やり方

1.肩幅より狭く逆手でバーを握る。

2.軽く胸を張った状態で身体を少し後傾させてこの姿勢をキープしたままバーをゆっくりと胸の上まで引く。

3.バーを肘が伸びきらないように意識しながら上げる。

バック・ラットプルダウン

効果

背中に幅を作ることで、逆三角形の背中を目指すことができます。

やり方

1.肩幅より広くバーを持ち、軽く胸を張った状態で顔は前を向く。

2.頭の後ろを通すように脇を締めてゆっくりとバーを下げる。

3.バーをゆっくり上げる。

「ラットプルダウン」についてよくある質問と回答

Q1:背中ではなく腕に効いているけれど、これで良い?

回答:バーを引く際に腕に余計な力が入っている可能性が高いのでバーを握る時に親指を外してみましょう。「サムレスグリップ」と言われる握り方で腕に力が入りにくくなります。

Q2:腰が痛くなる。解消する方法は?

回答:バーを引き下げる時に反動をつけて腰を反らし過ぎている可能性があります。まずは重量を軽くし、正しいフォームを身につけてから徐々に負荷をかけていきましょう。

監修者プロフィール

パーソナルトレーニングジム「fis.」
大阪府内で6店舗を展開するパーソナルトレーニングジム。NSCA、NESTA、JATI、健康運動指導士、食アスリート協会認定、IBMA認定パーソナルストレッチベーシックトレーナーなどの専門資格を有し、多くの指導実績を持つパーソナルトレーナーが在籍。トレーニング(筋トレ)を通じて、短期間での極端なダイエットではなく、長期的に取り組む健康的なカラダづくりをサポートしている。初回無料カウンセリングあり。展開店舗:心斎橋店、梅田中崎町店、北浜店、江坂店、レディース江坂店、豊中駅前店。
【公式サイト】https://www.fitness-space-fis.com/

ラットプルダウンで筋肉を柔らかくする方法

王子にあるフィットネスジム『ネクストーンラボ八王子』のトレーナーで、学生の頃に器械体操で日本一に輝いたことがある青子さん。上半身の筋トレ「ラットプルダウン」で体を柔らかくする方法を教えていただきました。

まずケーブルマシンのバーの両端を握りながら、トレーニングベンチに座ります。

胸を張り、腕だけで引くのではなく、肩から下げるようにしてバーを引いていきましょう。胸を張ったまま引くことで、動かしたい"背中の筋肉"が動いてくれます。

筋肉が体のなかで広く動いているほうが、柔らかくなっていくので、腕をよく伸ばした位置から引き下ろすように心がけましょう。

ウエイトトレーニングで体が温まることで、血流が良くなり、筋肉が柔らかくなっていきます。

20回 × 3セット行いましょう。
※20回ほどできる重量を設定してください。

簡単そうに見える動きですが、NGフォームがあります。

NGフォーム

肩が上がってしまったり、首がすくんでしまったりすると、うまく背中の筋肉が使えず腕だけで引っ張ることになってしまいます。それだと効かせたい部位である「背中」に効きません。

もう一度OKフォーム

胸を張って、首を長くした姿勢で引っ張っていきましょう。

ラットプルダウン、背中に効かないNGなやり方

ラットプルダウンはやや動きが難しいため、独学だと正しいフォームができないことも。ラットプルダウンでよくあるNGポイントを見ていきましょう。

手幅が狭すぎる

トレーニング初心者は手幅が狭い傾向にあります。肩幅くらいの手幅、そして順手のままバーを引いている人も少なくありません。

手幅を狭くするやり方もありますが、基本的には肩幅より大きく広げて握る方が、広背筋に効きやすくなります。

もちろん、意識して手幅を狭くしているのであればかまいませんが、ただバーを引けばいいと思っているのであれば、改善する必要があるでしょう。

バーをお腹のあたりまで下ろしている

ラットプルダウン 肘を脇腹につける意識で肩甲骨を寄せる

これも初心者によくみられるNG動作です。

手幅を狭くして下ろしやすくしているという点も関係していますが、それよりも負荷が軽すぎるということが原因です。

バーをお腹付近まで下げてしまうと、広背筋への負荷がほぼなくなってしまいます。

チェストプレス、ラットプルダウン、レッグプレスのよくある間違ったやり方

腕で引っ張ってしまう

初心者だけでなく、トレーニングに慣れてきた人でもやりがちなNGポイントです。重い負荷を使おうとして腕の力をフルに使い、ウエイトを引っ張ってしまうのです。

ラットプルダウンを行って腕が先にきつくなる、背中にあまり聞いている感じがしないという人は、腕の力を使い過ぎているのかもしれません。

効果的なラットプルダウンを行うためのポイント

続いて、正しく効果的なラットプルダウンを行うためのポイントを解説していきます。

背筋を鍛える筋トレマシン「ラットプルダウン」の正しいやり方

肩甲骨を下ろしたまま動作する

背中で引く意識を持ち、広背筋に効かせることがとても重要です。そのために意識したいのが、「肩甲骨を下げる」こと。

肩甲骨が上がった状態は肩がすくんでいるとも言えますが、肩甲骨が上がったままバーを引っ張っても、広背筋には効きづらくなります。

ラットプルダウン 肩甲骨を下ろしたまま動作する

動作中は常に肩甲骨を下げ、胸を張るような姿勢を保つようにしましょう。

肘に意識を向ける

バーを下げるという意識が強すぎると、どうしても腕で引っ張ってしまう傾向にあります。

よく「肩甲骨を寄せるように」という動作のコツを目にしますが、肩甲骨を寄せることを意識してしまうと、肩がすくんで肩甲骨が上がってしまう人は多いかもしれません。

そんなときは、意識する場所を変えてみましょう。オススメは「肘」です。

肘を脇腹につける意識で肩甲骨を寄せる

バーを下げるのではなく、肘を脇腹につける意識で肩甲骨を寄せてみてください。バーはあくまでも肘を曲げた結果、下に降りてきているというようなイメージで動作を行います。

そうすると腕に余計な力が入らず、背中を使った動作を行うことができるはずです。

グリップは小指側を強く握るように意識する

腕を使わないようにするためには、グリップの握り方がポイントです。

手のひら全体で力強く握るのではなく、小指側で強く握り、親指・人差し指側はあまり力を入れずひっかける程度の意識でグリップを握って動作してみてください。親指を外すサムレスグリップでもいいでしょう。

そうすることで腕への刺激が少なくなり、より背中を意識できるようになるはずです。

上体を大きく後ろに倒すのは、上級者向け

初心者に限らずよく見るのが、上体を大きく後ろに倒したり、反動を使って後ろにカラダを倒しながらバーを引く動作です。間違いではありませんが、あくまでもラストスパートで追い込むときのやり方です。

このような動作を行う場合、スクリクトなフォームでは持ち上がらない高重量を使っていることがほとんどです。

反動を使って重い重量を持ち上げたところで、背中にかかる負荷はそれほど多くありません。逆に、セットの最後でスクリクトなフォームで続けられなくなったとき、チーティングとして2~3回行うのならそれもいいでしょう。

反動を使う方法は、やり方によって効果が変わってきます。初心者の場合は、反動を使わず、上体を後ろに大きく倒さないようなフォームで行いましょう。

筋トレで筋肉を柔らかくする方法|ラットプルダウン編

パワーグリップやリストストラップでさらに効果的なトレーニングを目指す

どうしても腕が疲れてしまう、あるいは背中に効かないという人は、パワーグリップやリストストラップの使用をオススメします。

これらのトレーニングギアは背中を意識しやすくなるだけでなく、いつもより高重量を扱いやすくなる、握力がなくなっても動作を続けることができます。

背中のトレーニングが苦手という人は、ぜひ活用してください。

ラットプルダウンのやり方のバリエーション

ラットプルダウンには、さまざまなやり方のバリエーションがあります。組み合わせて活用しましょう。

バーを下ろす位置

バーを胸の前に下ろす方法と、頭の後ろに下ろす方法があります。

グリップ幅

グリップ幅は肩幅より広め、バーの両端あたりなどが一般的です。

人によって手の長さが異なりますので、目的に合わせて自分に合った位置に調整して行いましょう。

握り方

順手で握る場合と、逆手で握る場合があります。グリップ幅によって組み合わせてください。

その他のアタッチメントを使う

バーだけではなくいろいろなアタッチメントを組み合わせることで、刺激が変わります。

著者プロフィール

和田拓巳(わだ・たくみ)
プロスポーツトレーナー歴16年。プロアスリートやアーティスト、オリンピック候補選手などのトレーニング指導やコンディショニング管理を担当。治療院での治療サポートの経験もあり、ケガの知識も豊富でリハビリ指導も行っている。スポーツ系専門学校での講師や健康・スポーツ・トレーニングに関する講演会・講習会の講師経験も多数。そのほか、テレビや雑誌でも出演・トレーニング監修を行う。日本トレーニング指導者協会JATI-ATI。
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<Edit:編集部>