
なぜ、ブルガリアンスクワットが最強なのか?男性は筋肥大、女性は美脚になる理由 (2/2)
なぜ?同じ「ブルガリアンスクワット」で筋肥大と美脚の効果
ブルガリアンスクワットは、フォームや意識の向け方によって、効く筋肉と効果がまったく異なります。同じ種目でも、男性は筋肥大、女性は引き締めという真逆の結果になるのは、筋線維のタイプや負荷のかけ方が違うからです。
フォームの違いで「効果」が変わる
ブルガリアンスクワットの最大の特徴は、フォームを少し変えるだけで刺激の入る筋肉が切り替わる点です。
フォーム | 主に使う筋肉 | 得られる効果 |
上体を立てて行う | 大腿四頭筋(前もも)・大臀筋 ・ハムストリングス(もも裏) |
筋肥大・下半身の厚みアップ |
上体をやや 前傾して行う |
大臀筋・ハムストリングス(もも裏)中心 | 美脚・ヒップアップ ・引き締め効果 |
上体を立てると前もも(大腿四頭筋)に負荷が集中し、筋肉のボリュームアップにつながります。一方、上体を軽く前傾し、かかと重心で行うと、お尻ともも裏(大臀筋・ハムストリングス)を中心に刺激でき、下半身のラインを美しく引き締める効果が高まります。
フォームを意識的に使い分けることで、目的に合わせた結果をコントロールできる――これこそブルガリアンスクワットが『最強』と呼ばれる理由です。
男女の筋線維タイプ「速筋」「遅筋」の違い
筋線維タイプの違いも、結果の出方に影響を与えます。
男性は「速筋(タイプⅡ)」が多く、強い刺激で太くなりやすい傾向があります。女性は「遅筋(タイプⅠ)」が多く、引き締まりやすく、スタイルを整える方向に反応しやすいと言われています。
ただし、これはブルガリアンスクワットに限らず、どの筋トレ種目にも当てはまる基本的な傾向です。最終的な効果の違いを決定づけるのは、やはりフォームの差と負荷のかけ方にあります。
男性のブルガリアンスクワットは「筋肥大最強」の効果
ブルガリアンスクワットは、筋肥大を目指す男性にとって非常に効果的です。自重負荷のみの場合でも高負荷・高効率で筋線維を刺激できるため、脚の厚みと密度を高める種目として最適です。
大腿四頭筋・大臀筋・ハムを同時に強刺激
直立に近いフォームで行うと、大腿四頭筋(前もも)への負荷が強くなります。さらに、大臀筋とハムストリングスも動作全体を通じて働くため、脚全体をバランスよく鍛えられます。
通常のスクワットでは刺激が分散しやすい部分まで、ピンポイントで刺激できるのが特徴です。脚全体の厚みと立体感が増し、見た目にも力強い印象を与えます。
軽い重量でも筋肉を限界まで追い込める
ブルガリアンスクワットは、軽い重量でも強い刺激を得られるトレーニングです。体幹や臀部、足裏の安定筋をフルに使うことで、筋線維を総動員します。そのため、関節への負担を抑えながら筋肉を深く追い込むことができます。
特に腰に不安がある人にとって、安全かつ効果的に脚を鍛える方法としておすすめです。フォームを崩さず、テンポを一定に保つことで、より高いトレーニング効果を引き出せます。
神経の働きが鍛えられ「脚トレ全体の質が向上」
片脚でのバランス制御は、筋肉を動かす神経の働きを強化します。神経伝達がスムーズになると、筋線維を動員する力が高まり、他のトレーニング種目にも好影響を与えます。
ブルガリアンスクワットを続けることで、体の使い方そのものが洗練され、脚トレ全体の質を上げることができます。
女性のブルガリアンスクワットは「美脚最強」の効果
ブルガリアンスクワットは、女性のボディメイクに高い効果を発揮します。お尻ともも裏を中心に鍛えられるため、脚を太く見せずに引き締め、美しいラインを作ることができます。
お尻ともも裏に効くフォームで脚を引き締める
上体をやや前傾させ、かかとに重心を置くと、大臀筋(お尻)とハムストリングス(もも裏)をメインに刺激できます。
このフォームであれば、前もも(大腿四頭筋)への負荷が少なく、脚の外張りを防ぎながら後ろ側を重点的に引き締められます。
ヒップラインを高く引き上げることで脚長に見せる効果があり、姿勢も自然と美しくなります。「太ももを細くしたい」「お尻のたるみを改善したい」と感じている人に最適です。
フォームを変えれば「太くなる」リスクを防げる
ブルガリアンスクワットで脚が太くなってしまう人の多くは、前ももを使いすぎている傾向があります。膝が前に出すぎると大腿四頭筋(前もも)に負荷が集中し、脚の横張りが目立ってしまうのです。
脚を前後に大きく開き、上体を軽く前傾させることで、刺激がもも裏とお尻にシフトします。正しいフォームを身につければ、「太くならないブルガリアンスクワット」が実現できます。
目的別|ブルガリアンスクワットメニュー
トレーニングの目的によって、負荷・回数・フォームを変えると効果を最大化できます。下記の表を参考に、理想のスタイルや目標に合わせてメニューを組んでみてください。
目的 | 負荷・回数・セット数 | フォームのポイント |
筋肥大 | ダンベル合計で体重の50〜60% 8〜12回/3〜4セット |
上体を立てて 前ももに刺激を集中 |
美脚・ヒップアップ | 自重〜軽めのダンベル 15〜20回/2〜3セット |
前傾姿勢で お尻ともも裏に効かせる |
体幹・バランス強化 | 自重 10〜15回/2〜3セット |
体の軸を意識し、 左右差を整える |
ブルガリアンスクワットのデメリットは?
ブルガリアンスクワットは「最強」と言われるほど高い効果を持つトレーニングですが、やり方を誤るとケガや筋バランスの崩れにつながるリスクもあります。
安全かつ効果的に続けるために、主なデメリットと注意点を押さえておきましょう。
フォームが崩れやすく、関節に負担がかかる
片脚でバランスを取るため、上体が傾いたり、膝が内側に入ったりしやすい種目です。不安定なまま行うと、膝や腰に過剰な負担がかかります。体幹を締め、背中をまっすぐに保つ意識を持つことで安定したフォームを維持できます。
柔軟性が不足していると効果が半減する
股関節やもも裏(ハムストリングス)の柔軟性が足りないと、十分に沈み込めず可動域が狭くなります。その結果、狙った筋肉に刺激が入りにくくなり、トレーニング効果が落ちてしまいます。
トレーニング前後にストレッチを取り入れ、筋肉をしなやかに保つことが重要です。
負荷の調整が難しく、慣れると刺激が薄くなる
自重でも十分な負荷がありますが、続けるうちに刺激が物足りなく感じるようになります。
そんなときは、両手にダンベルを持つ「ダンベルブルガリアンスクワット」に切り替えましょう。少しずつ重量を上げることで、筋肉への張力を維持し、筋肥大効果も狙えます。
膝を痛めやすいフォームに注意
膝がつま先よりも前に出すぎると、関節に強い負担がかかります。膝とつま先の向きをそろえ、ややかかとよりに体重を乗せることで安全に動作できます。また、台の高さは「ひざ下〜すね中ほど」に調整するとフォームが安定します。
ブルガリアンスクワットに関するQ&A
ブルガリアンスクワットは毎日やっても大丈夫ですか?
毎日行うのはおすすめしません。筋肉はトレーニングで壊され、休息中に回復・成長します。48〜72時間(2〜3日)の休息を挟むことで、筋肥大や引き締め効果が最大化されます。
毎日行う場合は、自重かつ軽めの負荷にとどめ、フォーム確認やストレッチ目的にすると安全です。
筋肉痛がこないのは効いていないということですか?
筋肉痛がなくてもトレーニング効果は出ています。筋肉痛は「ダメージの指標」ではありますが、「成長の証」ではありません。
フォームが安定してくると筋肉が刺激に慣れ、痛みが出にくくなることもあります。大切なのは、動作中に狙った筋肉に張り(収縮感)を感じられているかどうかです。
膝が痛くなるのはやり方が悪いのでしょうか?
多くの場合、膝がつま先より前に出ているか、重心がつま先寄りになっていることが原因です。前脚のかかとに体重を乗せ、膝とつま先の向きをそろえると、関節への負担を減らせます。
また、台の高さが高すぎるとフォームが崩れやすくなるため、「ひざ下〜すね中ほど」を目安に調整しましょう。
負荷を上げたい場合はどうすればいいですか?
ダンベルを使った「ダンベルブルガリアンスクワット」がおすすめです。両手にダンベルを持つことで、下半身の主要筋肉(大臀筋・ハムストリングス・大腿四頭筋)をより深く刺激できます。負荷を上げたいときは、片脚12〜15回で限界になる重さを目安に設定しましょう。
レッグプレスと比べるとどちらが効果的ですか?
レッグプレスは安定性が高く高重量を扱える一方で、体幹やバランスの要素が少なくなります。ブルガリアンスクワットは不安定さがある分、神経や安定筋を総合的に鍛えられます。脚の厚みを狙うなら両方組み合わせ、「ダンベルブルガリアンスクワット→レッグプレス→レッグカール」の順で行うと効果的です。
ブルガリアンスクワットは、フォームと意識次第で結果がまったく変わるトレーニングです。男性にとっては筋肥大を狙える『最強の脚トレ』、女性にとっては美脚とヒップアップを同時に叶える『最強のボディメイク種目』。
片脚で支えることで筋力・バランス・神経系を一度に鍛えられるため、効率性は群を抜いています。筋肉を大きくしたい人も、脚を引き締めたい人も、フォームを整えて継続することで確実に理想の下半身に近づけます。
監修者プロフィール
パーソナルトレーナー
荻田大樹(おぎた ひろき)
▼プロフィール
香川県出身の元陸上日本代表・棒高跳選手。関西学院大学卒業後、ミズノに所属し、2016年リオデジャネイロオリンピックに棒高跳の日本代表として出場。自己ベストは5m70。日本選手権優勝、アジア選手権銀メダルなど、国内外で数々の実績を残す。
現役引退後は、スポーツの魅力を次世代に伝えるべく活動の幅を広げ、陸上クラブ「SUPERIOR」の代表としてジュニア育成に取り組むほか、兵庫県西宮市・大阪京橋の2拠点で展開する「パーソナルジム CARAS」の代表トレーナーも務める。トップアスリートの経験と専門知識を活かし、アスリートから運動初心者まで、幅広い層の指導を行っている。
▼ 経歴
・元ミズノトラッククラブ所属
・オリンピック日本代表
・世界選手権 日本代表
・日本選手権 優勝
荻田 大樹 Instagram
パーソナルジム CARAS 公式サイト・Instagram
<Edit:MELOS編集部>