筋トレ効果が出ないときは「自重スクワット&ランジ」で可動域を広げる
どの筋トレ種目であっても、可動域いっぱいで行うことが原則です。ですが、その可動域自体が狭いと、筋トレを行っても充分な範囲で筋肉を働かせることができません。その結果、筋力強化の効果が上がらなかったり、記録が頭打ちになったりしてしまう人が見られます。特に中高年以上の男性に、その傾向が多いようです。
下記の写真は、重量挙げの種目であるスナッチのバーベルをキャッチした瞬間です。重いバーベルを頭上に持ち上げながらスクワットの姿勢を取るためには、肩、手首、腰、股関節、足首など多くの関節部分で高い柔軟性が求められます。
今回は、筋力強化と同時に可動域を広げる効果があり、器具を必要とせず、自宅でできる筋トレワークアウトをいくつか紹介しましょう。
1.ウォール・スクワット
壁に向かって近い位置で立ち、両手を上に伸ばして、ゆっくりした動作でスクワットを行います。その際、壁と体との距離を一定に保ち、体のどの部分も壁につかないようにしましょう。膝をつま先より前に出さず、上体が前かがみになることを防ぎながら、かかとに体重を乗せます。
◆期待できる効果
ウォール・スクワットは正しいスクワットのフォームを習得できるとともに、スクワットで必要とされる筋力と可動域を高める効果もあります。
◆ワークアウトのポイント
壁に近づけば近づくほど難易度が高まります。初心者は無理のない位置から始めましょう。後方にイスやバランスボールを置いて、それに腰かけるやり方で始めても構いません。中級者・上級者はゴムバンドや軽い棒を両手で広く持ち、オーバーヘッド・スクワットを行えばさらに効果が上がります。
2.コサック・スクワット
片足に体重をかけ、もう一方の足を横に伸ばして行うスクワットです。上体をまっすぐに保ち、可能な限り低い位置まで腰を落とします。かかとは常に床につけ、伸ばした足のつま先は上を向くようにしてください。これを左右交互に繰り返しましょう。
◆期待できる効果
バランス力を向上させ、股関節と足首の可動域を広げる効果があります。
◆ワークアウトのポイント
写真では両手を前方に置いていますが、初心者は両手を膝に置いてバランスを取っても構いません。中級者・上級者は、片腕でダンベルやケトルベルを頭上に持ち上げながら動作を行ってみてください。さらに負荷を高めることができるはずです。
3.ベンチ・ランジ
ベンチなど膝ぐらいの高さの台に片足を乗せ、もう片方の足を前方に置いて行う片足ランジです。両膝が90度の角度になるまで体を下ろし、その際に上半身はまっすぐに保ちましょう。
◆期待できる効果
臀部とハムストリングスの筋力強化、柔軟性向上に大きな効果があります。
◆ワークアウトのポイント
初心者は片足で5~10回程度を目安にします。大切なのは両足とも行うこと。どちらかが苦手だと感じたら、それは体のバランスが不均衡な証拠です。その場合、苦手な方の回数を増やしましょう。中級者・上級者はバーベルを肩に担いだり、両手にダンベルを持ってこの動作を行ってみてください。
筋トレは重量や回数だけでなく、正しいフォームも大切
筋トレをすると体が固くなるという誤解は、未だに根強いものがあるようです。そのせいか、「筋トレでパワーをつけて、さらにストレッチで体を柔らかくしなくては」と考え、両者で別々に時間を取って取り組む人が多いようです。しかし、本来なら正しい筋トレは柔軟運動でもあります。
ここでご紹介したワークアウトに限らず、筋トレを行うときは重量や回数だけにとらわれず、常に正しいフォームを意識しましょう。それが、筋力と可動域を向上させるうえでもっとも重要です。
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[筆者プロフィール]
角谷剛(かくたに・ごう)
アメリカ・カリフォルニア在住。IT関連の会社員生活を25年送った後、趣味のスポーツがこうじてコーチ業に転身。米国公認ストレングス・コンディショニング・スペシャリスト(CSCS)、CrossFit Level 1 公認トレーナーの資格を持つほか、現在はカリフォルニア州アーバイン市TVT高校でクロスカントリー部監督を務める。また、カリフォルニア州コンコルディア大学にて、コーチング及びスポーツ経営学の修士を取得している。著書に『大人の部活―クロスフィットにはまる日々』(デザインエッグ社)がある。
【公式Facebook】https://www.facebook.com/WriterKakutani
<Text & Photo:角谷剛>