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「抜き打ちドーピング検査」が我が家に!知られざる実情を紹介│寺田明日香の「ママ、ときどきアスリート〜for2020〜」#47

 みなさん、こんにちは! 陸上競技の寺田明日香と申します!

 たった3ヶ月しかなかった今年のトラックシーズンが終わり、約3週間のオフを過ごしていますが、トレーニングがなくてもママ業とお仕事(執筆や取材対応などです)には休みはないワケで……。「結局忙しいじゃないか!」と、突っ込んでしまう今日この頃を過ごしております。

 今回は、スポーツ選手は誰しもが注意しなければならないドーピングのお話です。ドーピングとはそもそもどういうことなのか、どうやって検査をしているのかなど、一般的にはなかなか知られていないことを書いていきたいと思います。

 最後までお付き合いのほど、よろしくお願いいたします!

ドーピングってなに?

 読者のみなさんの中にも、ニュースや新聞で「スポーツ選手のドーピングについて」の話題を見たことがある人もいらっしゃるのではないでしょうか?

 そもそもドーピングとは、「スポーツにおいて禁止されている物質や方法によって競技能力を高め、意図的に自分だけが優位に立ち、勝利を得ようとする行為」とWADA※が定義しています。“意図的に”と書かれていますが、意図的にではなくとも、ドーピング違反になる行為やそれを隠すこともドーピング違反と見なされます。

 具体例で言うと、「病院で診療を受け処方された薬に禁止物質が含まれていて、それを知らずに服用してしまった」「歯の治療に行った際に禁止物質を使用して治療してしまった」「ふだんから育毛剤を使用しているが実はその中に禁止物質が含まれていた」などがあります。

 もちろん、サプリメントに禁止物質が含まれていて、知らずに飲んでいたと言うこともあります。それらすべてが、“意図的”ではなくても、ドーピング違反となってしまいます。“つい、うっかり”が、選手にとって致命的なドーピング違反になることは、十分にあり得てしまうのです。

※:世界ドーピング防止機構(World Anti-Doping Agency ;WADA),日本アンチ・ドーピング機構(Japan Anti-Doping Agency; JADA)訳

ドーピング検査の方法

 では、どうやって検査しているのか、気になりますよね? 検査方法は2つ、①血液検査と②尿検査となります。

 検査のタイミングは、一番多いのが競技会での検査(競技会検査)、ほかに合宿中や国際大会派遣前手続き時、日本代表クラスの選手になると抜き打ち検査(競技会外検査)もあります。

 ドーピングの検査対象になると、検査員の方からその場で“通達”があります。通達をされた後は、検査員の目の届く範囲にいなければならないため、検査終了までは検査員と行動を共にする事が義務づけられています。これを守らないと、ドーピング違反になってしまう可能性があるため、表彰式への出席や誰かに会う時などは、必ず検査員の方に許可を得て一緒についてきてもらいます。

 検査を行うとき、つまり検体を採取するときも検査員が見ている前で検体採取を行います。私は、②尿検査しか行ったことがありませんでしたが、初めてのドーピング検査は高校生の時で、人に見られながら排尿することにかなり抵抗と緊張があり、検査終了まで最初のころ数回は2時間半かかりました(現在は早ければ15分程度で終わります)。

 検体採取をした後は、検査員の前でドーピング検査用の容器に検体を移し替えます。容器は2本セットになっていて、検査に使う諸々の道具と一緒にキットになって数セットおいてあり、そのキットの中から1セットだけ自分で選んだものを使います。2本セットになっている理由は、検体をA検体とB検体の2つに分け、もしAで陽性反応が出た場合、Bで再検査をするためです。

検査は突然やってくる!

 「ピンポーン」。10月某日の朝7時。家のインターホンが鳴りました。

 「今日の宅配便ははやいな〜」なんて、半分寝ぼけながら出た私でしたが、「JADAの検査員です!」とモニター越しに挨拶する女性を見たとき、一気に目が覚めました。

 検査のタイミングで「抜き打ち検査(競技会外検査)」があると前述しましたが、私のもとへも抜き打ちで検査員の方が来られたのでした。

 抜き打ち検査の対象になる選手は、JADAと各競技団体(私で言うと日本陸上競技連盟)から事前に、「あなたは抜き打ち検査の対象選手になりました」と言う通知が届きます。「日本アンチ・ドーピング機構」という字面を初めて見る人は、けっこうインパクトがあると思います。

 その通知を受け取ったときから、自分の毎日の居場所情報を提出する義務が発生します。居場所情報提出は、Webやアプリからできるようになっていて、3ヶ月単位で宿泊先や練習場所、仕事をしている場所など、その日に滞在する場所を記入しておかなければなりません。

 もし急な予定変更があった場合は、予定がわかった瞬間にアプリを使って内容を変更しておく必要があります。その中でも、5時〜23時までの間で、間違いなく対応できます! という1時間に対し「60分時間枠」を設定しておくのです。

 この「60分時間枠」はものすごく重要で、この時間と場所に検査員が来て不在だった場合、“検査未了”とみなされ、検査未了が12ヶ月の間に3回累積してしまうと、規則違反とみなされ、ドーピング違反をしたときとほぼ同じ扱いを受けてしまいます。なので、スタッフ(特に高野コーチ)からは口酸っぱく、「居場所情報マジでちゃんとやって」と、真面目に言われます。

 さて、ドーピングについて少しでもわかっていただけたでしょうか?

 スポーツ選手ならば誰しもが守られなければならないドーピングのこと。競技のプレーや結果だけが見えがちですが、見えないところで「そんなこともやっているのね!」と思ってもらえると、より選手のことを好きになってもらえるのでは、と思っています。

[プロフィール]
寺田明日香(てらだ・あすか)
1990年1月14日生まれ。北海道札幌市出身。血液型はO型。ディズニーとカリカリ梅が好き。会いたい人は、大谷翔平と星野源。小学校4年生から陸上競技を始め、小学校5・6年時ともに全国小学生陸上100mで2位。高校1年から本格的にハードルを始め、2005~2007年にはインターハイ女子100mハードルで史上初の3連覇。3年時には100m、4×100mリレーと合わせて同じく史上初となる3冠を達成。2008年、社会人1年目で初出場の日本選手権女子100mハードルで優勝。以降3連覇を果たす。2009年世界陸上ベルリン大会出場、アジア選手権では銀メダルを獲得。同年記録した13秒05は同年の世界ジュニアランク1位だった。2010年にはアジア大会で5位に入賞するが、相次ぐケガ・病気で2013年に現役を引退。翌年から早稲田大学人間科学部に入学。その後、結婚・出産を経て女性アスリートの先駆者となるべく、「ママアスリート」として、2016年夏に「7人制ラグビー」に競技転向する形で現役復帰した。同年12月の日本ラグビー協会によるトライアウトに合格。2017年1月からは日本代表練習生として活動した。2018年12月にラグビー選手としての引退と陸上競技への復帰を表明。2019年シーズンから競技会に出場し、6月に日本選手権女子100mハードルで9年ぶりの表彰台となる3位に入り、7月には100mでも自己記録を更新。8月には19年前に金沢イボンヌ氏が記録していた日本記録13秒00に並ぶと、9月1日に「富士北麓ワールドトライアル2019」で史上初めて13秒の壁を突破し、12秒97の日本新記録を樹立。カタール・ドーハで開催された「世界陸上」に出場。再び陸上競技選手として、2020年東京オリンピックを目指す。

◎所属企業:株式会社パソナグループ

◎主な記録:100mハードル日本記録保持者(12秒97)/100mハードルU20日本記録保持者(13秒05=2009年世界ジュニアランキング1位)/100mハードル日本高校歴代2位(13秒39)/100m:11秒63

【今後の主なスケジュール】
●2020世界室内選手権
2021年3月19日(金)~21日(日)会場:中国・南京
https://www.jaaf.or.jp/competition/detail/1416/

【関連URL】

◎公式サイト https://asuka-terada.jp/
◎公式Facebook https://www.facebook.com/Asuka.Terada.official/
◎Twitter https://twitter.com/terasu114
◎Instagram https://www.instagram.com/terada_asuka/

<Text & Photo:寺田明日香/Edit:松田政紀(アート・サプライ)>

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