フィットネス
2024年2月7日

足首を柔らかくする「足首ストレッチ」、気持ちいい!理学療法士に聞いた効果的なやり方

足の指に手の指をはめて、ゆっくりと足首を回す。たまに行うと、とてつもなく気持ちがいいですよね。老廃物でも溜まっているのか? と感じるほどのゴリゴリ感を感じる人もいるでしょう。

こうした足首ストレッチには、一体どんな効果があるのでしょうか。また、正しいやり方とは。医療法人藍整会なか整形外科京都西院リハビリテーションクリニックの主任理学療法士・島田直也さんに教えてもらいました。

──足首をストレッチすると、どんな効果が期待できますか? 足首を柔らかくするメリットを教えてください。

足関節背屈可動域とバランス能力には相関性があると言われています。障害発生率にも有意な相関がみられたという研究もあり、転倒予防や障害予防に効果があると言えるでしょう。

また、動作中に足首がバランスよく動くことで、第2の心臓と呼ばれる「ふくらはぎ」の筋肉が働きやすくなります。それにより、末消循環の改善(冷えやむくみ)、代謝アップにも繋がると考えられます。

──「足首を回すと瘦せる」というウワサがあるのですが、足首ストレッチを行うことでダイエットによい影響を与えることはありますか?

現在、足首のストレッチとダイエットに相関関係があるといった科学的な根拠はありません。

ただし、足首を機能的に動かすことでできると、姿勢バランス能力が高まります。これにより、姿勢保持に関わる筋肉群の緊張が和らぐので、見た目では脚痩せ効果があるかもしれません。

また、疲れにくい身体になることで活動量が高まり、ダイエットに繋がることも考えられます。

──簡単にできる、足首ストレッチのやり方を教えてください。

寝ながらできる足首ストレッチ

やり方

  1. 仰向けになり、ストレッチを行う脚を曲げて、両手で抱える
  2. 膝を伸ばしながらカカトを天井方向へ、つま先をすねの方向に動かす
  3. その状態から、今度は足の甲を丸めるようにつま先を反対方向に動かす

2~3を繰り返します。動かすときは、足裏が内外に倒れないように注意しましょう。

回数

10~20回、ゆっくり20~30秒ほどかけて行います。3セット繰り返しましょう。

座りながらできる足首ストレッチ(足指伸ばし)

やり方

  1. 座った状態で、ストレッチする足を上に組む
  2. 手を足指の間に入れ、反対側の手は足の裏を固定する
  3. 手で持ちながら、足の指を1本ずつ曲げ伸ばしする

回数

10~20回、ゆっくり20~30秒ほど行います。3セット繰り返しましょう。

座りながらできる足首ストレッチ(足首回し)

やり方

  1. 床、もしくは椅子に座り、すねが動かないように両手で固定する
  2. 足のつま先で円を描くように足首を回す(時計まわり・反時計まわり)

できる限り大きく回すことと、滑らかに動くことを意識しましょう。

回数

ゆっくり10~20回行う(時計まわり・反時計まわり)

──理学療法士目線で見て、足首ストレッチにおすすめしたい器具はありますか?

以下のような器具はおすすめです。

青竹踏み/Yamuna Foot

足底部には地面の情報を伝えるセンサーが豊富に存在するため、各ツールを踏みながら刺激を入れることで、柔軟性や可動性を高めることができます。

マッサージガン

マッサージガンなどの振動刺激で足底部にあるセンサーに刺激を入れることで、柔軟性を高めることができます。

直接、ふくらはぎの筋腱移行部に使っても効果があります。

そして、上記二つを合わせた「パワープレート」というアイテムも、高価ですがおすすめです。

Dr.stretch

──足首ストレッチはいつやると効果的ですか? おすすめのタイミングがあれば教えてください。

運動前後などは、障害予防の観点ではおすすめです。

柔軟性や可動性を高めるという視点では、1日のなかで行う頻度を増やしていくようにすると、脳への運動学習効果が高まりやすくなります。

──1週間に何回やればいいなど目安はありますか?

「スキマ時間にこまめにやる」を意識するとよいでしょう。

研究によると、10秒間9回、30秒間3回でも効果は変わらないという結果が出ています。

また、ストレッチを週1回行う人と週3回行う人では、週3回のほうが効果的であったという報告があります(1週間に行うストレッチの合計時間は360秒)。

上記のことから、時間や回数を気にするより、スキマ時間に少しでもいいので、こまめに実施することをおすすめします。

──どれくらいの期間続けるといいでしょうか? 最低でも〇か月など、継続期間の目安を教えてください。

期間としては、効果が出てくるまではおよそ2か月程度は必要でしょう。

しかし、止めると元に戻りやすくなるため、効果を維持していくためには、しっかりと可動域を広げて足首を使う生活を送る必要があります。

また、先述の通り、ストレッチの効果は神経的な要素が強いため、こまめに足首ストレッチを行うことをおすすめします。

また、関節拘縮を起こしている場合はストレッチの効果は期待できません。医療機関を受診し、適切な診断・治療を行うようにしましょう。

──足首はなぜ硬くなるのでしょうか。足首が硬くなる原因を教えてください。

基本的には、足首に関わらず動きが硬くなってしまう原因には、「廃用・過用・誤用」が原因に挙げられます。ひとつずつ説明していきます。

廃用とは

「使わなくなることで硬くなっていく」ことを指します。

たとえば、現代の生活では洋式トイレがほとんどでしょう。昔であれば、和式トイレを使うためカカトをつけたまましゃがむ動作ができていましたが、現代ではできない人が増えています。

過用とは

「使い過ぎ」を指します。スポーツを行っている人に多く見られます。

身体も、使い過ぎればその場所を保護しようと硬くなります。そのため、適切な休養やケアができなければ硬くなってしまいます。

誤用とは

「誤った使い方をしてしまう」を指します。

たとえば、他の部分を怪我したため、その部分をかばう動作を行うことで足首周囲が硬くなるなどです。

足首だけでなく、どの部分も相互に関わって影響を与えていますので、バランスよくケアや運動を行うことをおすすめします。

──もっと足首をケアしたい人に向けて、足首を柔らかくするマッサージ方法を教えてください。

足首を柔らかくするマッサージ

両くるぶしを結んだ線の足裏中央に、筋肉の腱や足裏の筋肉が交差する場所があります。

その部分を両手でしっかり掴み、押さえます。その状態で足指のグーパー運動を行います。

20~30回を、2~3セット繰り返しましょう。

監修者プロフィール

医療法人藍整会なか整形外科 京都西院リハビリテーションクリニック
主任理学療法士 島田直也


理学療法士免許取得。免許取得後、地元広島の整形外科クリニックで勤務し、トレーナー活動として中学・高校バスケ、Bリーグ、3X3premier所属チームをサポートするなどスポーツ現場での経験積む。現在は、医療法人藍整会なか整形外科京都西院リハビリテーションクリニックの主任としてリハビリ業務に携わりながら、おこしやす京都ACのトレーニング/コンディショニングサポートも行っている。

<Edit:編集部/Photo & movie:医療法人藍整会なか整形外科 京都西院リハビリテーションクリニック>