ヘルス&メンタル
2024年7月8日

漢方薬で痩せるメカニズムとは。ダイエットにおすすめの漢方6種類[薬剤師監修]

「漢方薬はダイエットにいい」とは聞くものの、その効果は知らないという方も、多いのではないでしょうか。

本記事では、漢方薬に期待できる効果やメリット、ダイエットにおすすめの漢方薬などをご紹介します。

解説は、薬剤師・元漢方薬生薬認定薬剤師の碇純子さんです。

漢方薬に痩せる効果はある?

体内のバランスを整えて、痩せやすい体質を目指す

漢方ダイエットは、体内のバランスを整えて痩せやすい体質を目指すものです。積極的に体重を落とすといった、直接的な方法ではありません。

肥満の主な原因として挙げられるのは、食べ過ぎや運動不足、ストレスなどです。

これらが原因で体内の血流や水分の循環が悪くなり、代謝機能も落ちてしまいます。

血液や水分の滞りは、肥満の要因にもなる冷えやむくみ、便秘などを引き起こし、代謝機能の低下は脂肪の蓄積にもつながります。

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複数のダイエット効果が期待できる

漢方で目指すのは、血流や水分の循環促進、代謝機能の改善などを行って、肥満の要因を取り除くことです。

具体的には、代謝機能やむくみの改善、脂肪燃焼の促進など、さまざまな効果が期待できます。

漢方ダイエットの3つのメリット

ここでは、漢方ダイエットのメリットについてご紹介します。

リバウンドしにくい

漢方ダイエットでは、リバウンドしにくいからだを目指すことができます。

食事制限や運動によってダイエットできたのに、やめた後にリバウンドしてしまった方は、多いのではないでしょうか。

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漢方ダイエットでは、血液や水分の循環を整えたり、基礎代謝の向上を促したりと、体質の改善を行い、痩せやすく、太りにくいからだを目指します。

運動習慣や食事管理と組み合わせることで、ダイエットの効果をさらに高めることができるでしょう。

からだへの負担が少ない

漢方薬は植物や動物など、自然由来の成分を使用しているため、西洋薬に比べからだへの負担が少ないと考えられています。

自然由来の成分が緩やかに時間をかけて、不調の根本原因へアプローチしていきます。そのため、無理なく続けやすいといえます。

”なんとなく不調”の改善につながる

風邪や病気ではない、冷えやむくみ、便秘など慢性的な「なんとなく不調」に対しても、漢方薬は効果が期待できます。

「なんとなく不調」の主な原因は、ストレスや偏った食生活、運動不足、睡眠不足などです。

これらによって心と体のバランスが乱れて、さまざまな心身の不調につながります。

代謝の向上や血流、水分の循環の改善などに働きかける漢方薬は、乱れたからだのバランスを整えて体質の改善を促します。

「なんとなく不調」の改善と、ダイエットの効果の両方が期待できるのです。

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6種類の漢方薬が、ダイエットにおすすめ

ここでは、ダイエットにおすすめの漢方薬を6種類ご紹介します。

食べ過ぎ防止と便秘対策なら、大柴胡湯(だいさいことう)

大柴胡湯(だいさいことう)は体内の余分な熱を取り除き、肝臓の働きをサポートして、脂質代謝を改善する効果が期待できる漢方薬です。

ストレスで食べ過ぎてしまう方や、便秘になりやすい方におすすめです。

大柴胡湯(だいさいことう)に含まれる生薬

柴胡(サイコ)、半夏(ハンゲ)、生姜(ショウキョウ)、黄芩(オウゴン)、芍薬(シャクヤク)、大棗(タイソウ)、枳実(キジツ)、大黄(ダイオウ)

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お腹の脂肪と便通の対策に、防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)

防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)は、脂質代謝機能を改善し、ため込んでいる脂肪を減らすのに役立ちます。

おなかの脂肪が気になり、便通が悪い方におすすめです。

防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)に含まれる生薬

麻黄(マオウ)、川芎(センキュウ)、芒硝(ボウショウ)、桔梗(キキョウ)、荊芥(ケイガイ)、芍薬(シャクヤク)、連翹(レンギョウ)、大黄(ダイオウ)、滑石(カッセキ)、生姜(ショウキョウ)、防風(ボウフウ)、石膏(セッコウ)、山梔子(サンシシ)、黄芩(オウゴン)、甘草(カンゾウ)、白朮(ビャクジュツ)、当帰(トウキ)、薄荷(ハッカ)

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むくみ解消には、防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)

防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)は、からだの余分な水分の排泄を促し、むくみを解消する効果が期待できます。色白でむくみやすい方におすすめです。

防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)に含まれる生薬

防已(ボウイ)、黄耆(オウギ)、蒼朮(ソウジュツ)、生姜(ショウキョウ)、大棗(タイソウ)、・甘草(カンゾウ)

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冷えとむくみ対策に、当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)

当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)は、からだの水分代謝を高めて余分な水分を排出することで、冷えやむくみを改善する効果が期待できます。

また、血液を補い循環を良くするはたらきがあり、こちらも冷えに対して効果的。疲れやすく、貧血症状のある方におすすめの漢方薬です。

当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)に含まれる生薬

当帰(トウキ)、芍薬(シャクヤク)、川芎(センキュウ)、茯苓(ブクリョウ)、蒼朮(ソウジュツ)、沢瀉(タクシャ)

便秘改善には、桃核承気湯(とうかくじょうきとう)

桃核承気湯(とうかくじょうきとう)は、滞った血液の循環を改善して腸の運動を活発にする漢方薬です。

排便を促すとともに、便を潤すことで柔らかくするため、便秘の改善が期待できます。

生理中の便秘に悩んでいる人や、のぼせてイライラしがちな方におすすめです。

桃核承気湯(とうかくじょうきとう)に含まれる生薬

桃仁(とうにん)、桂皮(けいひ)、大黄(だいおう)、甘草(かんぞう)、芒硝(ぼうしょう)

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生理前の食べ過ぎ防止に、桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)

桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)には滞っている血流の循環を促し、ホルモンバランスの乱れを整える効果が期待できます。

生理前になるといつもより食欲が増してしまう人に、おすすめの漢方薬です。

桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)に含まれる生薬

桂皮(ケイヒ)、芍薬(シャクヤク)、桃仁(トウニン)、茯苓(ブクリョウ)、牡丹皮(ボタンピ)

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漢方薬に副作用はある?

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漢方薬は、西洋薬よりも副作用は少ないとされていますが、体質にあっていない場合、副作用が起こることがあります。

漢方薬の種類によって異なりますが、副作用の症状には下痢や食欲不振のような消化器系のものや、発疹や発赤、めまい、発汗、動悸などがあります。

また重度のものだと、肝機能障害などが挙げられます。

最初はからだに合っていたとしても、長期的に服用することで副作用が出ることもあります。

もし、漢方薬を服用後に不調を感じた場合には、すぐに服用を中止し、病院で受診してください。

漢方薬の選び方

漢方薬を選ぶときのポイントを、2つご紹介します。

体質に合ったものを選ぶ

先述した通り、漢方薬は自分の体質に合っていないと、効果が見込めないだけでなく、副作用が起こることもあります。

また、人によってはそもそも効果が出にくいことがあるため、自己判断で服用しないよう気をつけましょう。

毎回飲みやすいのもの選ぶ

漢方薬は、すぐに効果が出るものではないため、継続して摂取することが重要です。続けやすいタイプの漢方薬を選びましょう。

漢方薬には錠剤や顆粒、細粒、速溶顆粒、ドリンクタイプなど、たくさんの剤型がありますが、どのタイプでも効果の差はあまりありません。

漢方ダイエットで効果を出すコツ

ここでは、漢方ダイエットのポイントを3つご紹介します。

即効性を求めない

漢方薬は肥満の根本原因である、体質の改善にアプローチするものです。

血流の改善や代謝機能の向上などによって、緩やかに肥満を解消していくため、継続的な摂取が必要です。

漢方ダイエットを行う際は、即効性を求めるのではなく、長期的な視点で取り組みましょう。

また、服用量を増やしても効果は変わりません。

すぐに効果を得ようとして過剰摂取をすると、からだへ悪影響を及ぼすおそれがあるため、服用量を守って適切に摂取しましょう。

漢方薬だけに頼らない

漢方薬は体質を改善し、痩せやすく太りにくい体質づくりをサポートするものです。

「飲めば痩せる」というものではないため、漢方薬だけに頼らず、日々の生活の見直しも必要になります。

食事を見直して栄養バランスを整えたり、運動不足の解消のためにエクササイズしたりなど、他の取り組みも行いつつ、ダイエットしていきましょう。

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医師・薬剤師に相談してから服用する

自分の体質にあった漢方薬を見つけるのは、とても難しいです。合うわない漢方薬を選んでしまうと、副作用が起こる可能性があります。

副作用を防ぐためにも、漢方薬を服用するときは、漢方に詳しい医師や薬剤師に相談してください。あなたに合った漢方薬を選んでもらいましょう。

漢方薬を取り入れて、効率的にダイエットしよう

漢方ダイエットは簡単に始められます。しかし、体質の改善にアプローチするため、ダイエットの即効性が期待できるものではありません。

食習慣や運動習慣の改善とうまく組み合わせて、効率的なダイエットを目指しましょう。漢方薬を選ぶ際は、医師や薬剤師など専門家に、あなたの体質に合ったものを選んでもらってくださいね。

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監修・執筆者プロフィール

あんしん漢方薬剤師
碇 純子

薬剤師・元漢方薬生薬認定薬剤師 / 修士(薬学) / 博士(理学)

神戸薬科大学大学院薬学研究科、大阪大学大学院生命機能研究科を修了し、漢方薬の作用機序を科学的に解明するため、大阪大学で博士研究員として従事。

現在は細胞生物学と漢方薬の知識と経験を活かして、漢方薬製剤の研究開発を行う。

世界中の人々に漢方薬で健康になってもらいたいという想いからオンラインAI漢方「あんしん漢方」で情報発信を行っている。

<Edit:編集部>